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情報

オーガスタ

オーガスタ VA

中国語: Mu Xueting
日本語: 日笠陽子
韓国語: Lee Ji Hyeon
英語: Alix Wilton Regan

オーガスタ のフォルテ調査報告

共鳴力

底光りを秘めし磁界

共鳴評価報告

「█████闘技大会参加者の身体検査報告より一部抜粋」 氏名:オーガスタ オーガスタ選手の共鳴歴は長く、ほぼ年齢に等しい。先天型共鳴者と推測される。 オーガスタ選手の音痕は左手の甲に位置し、共鳴後は自身を中心として半径約10メートルの磁場を発生させ、操作することが可能。共鳴能力の習熟に伴い、能力範囲内において、鉄、コバルト、ニッケルを含む元素を自在に操り、形作ることができる。ただし、彼女の自己申告およびテストデータから推算すると、この能力は半径10メートルが実質的な限界範囲であると思われる。 「珍しい先天型共鳴者だね。だが、その共鳴能力は、良く見積もっても自身の戦闘を多少サポートする程度。評価するとすれば、『凡庸』。こんな選手が闘技大会で勝ち抜くなんて、真夜中に太陽が昇るぐらいあり得ない話さ」――検査医のコメント 子供の頃から手にあったあの音痕は、恵みであると同時に、質の悪いジョークのようでもあった。弱い共鳴能力は、かつて彼女が自身に施した枷。しかし、今の彼女はとうにそれを打ち砕いている。その足で高天へと至り、そして世に示すのだ。たとえ光を持たぬ塵に生まれようとも、赫々たる太陽の如き栄光を咲かせられるのだと。

オーバークロック診断報告

「総督府・年次健康診断レポート-アクセス権限認証済」 被検者のサンプルは楕円形の波形を示した。時間領域表示は安定しており、異常な波形は見られない。検査結果:正常。 診断結果:オーバークロックのリスクは認められない。サンプルの波形強度から鑑みても、オーバークロックの可能性は皆無。 オーバークロック歴なし。メンタルケアの必要なし。 「この時間はいつもどうしてか、成長期を過ぎてから背を測られる時のような、不思議な気分になる……」 「ですが、フィジカルテストでは、オーガスタ総督はいつもサプライ——いえ、設備の開発担当者に言わせれば、あれはサプライズというより、スリルなのでしょうが……」 「はは、そうか?」

オーガスタ の大切なアイテム&好物

太陽とグリフォンの印章
太陽とグリフォンの印章
伝承によれば、この印章を彫り上げた石材は、先祖たちが初めてセブン・ヒルズの高みに登った際に削り出されたと云う。岩の質は硬く、きめ細やかで、色は純白。表面を這うように流れる紋様は、悠久の時がこの土地に刻んだ、磨り減ることのない印である。 印章の表面には、華美な金属で鋳造されたグリフォンと太陽が嵌め込まれている。前者は不屈の勇気と先見の明の、後者は永遠と輝かしい栄光の象徴。人々は、セブン・ヒルズの街が築かれた頃の理想をこの小さな印章に授け、その所有者に初心を伝える。 オーガスタは今もなお覚えている。初めて印章に触れた時に伝わってきた温度。氷のような冷たさの中に、灼けるような熱を帯びたあの感触は、無音の中で滾る権力そのものであった。彼女は、権力の裏にあるのは栄光だけではないことを、痛いほど知っている。まるでこの印章のように。それは誰の手にも軽やかに舞うほど軽く、それでいて、ひとたび掌に受ければ、背骨を潰すほどの責務が、重くのしかかるのだ。
使い古しのヘアバンド
使い古しのヘアバンド
かつてのオーガスタが少しずつ貯めたお金で買ったヘアバンド。セブン・ヒルズの伝統的な模様が入っている。あの頃の彼女は、陽の当たらぬ場所で生きるグラディエーターの一人にすぎなかった。でも、試合の時にはいつもこれを額に巻いていた。それは彼女のすべての試合の証人であり、誰にも見せない涙をそっと拭っていた存在でもある。 ある大苦戦の前夜、オーガスタはヘアバンドを膝の上に広げた。その拙い手つきで、一針、また一針と、裏側に小さな誓いを綴った。 「血を流しても、剣を握った初心は忘れるなかれ」 その字は歪み、縫い目は拙かった。彼女は最後の糸を切り、立ち上がると、再びヘアバンドを固く額に結びつけた。 彼女は、来た道を振り返らない。 前へ進むのに、それは要らぬことだ。
「どんぐりグラディエーター」
「どんぐりグラディエーター」
幼い頃のオーガスタがオークの実で創り出した「遊び相手」。それには同じファビアヌムにある大きなオークの木から生まれ、すぐに壊れてしまった不揃いの兄弟姉妹がいた。 あの頃、オーガスタの手つきはまだおぼつかなく、彼女が次々とこしらえた出来の悪いどんぐりグラディエーターたちは、足が折れたり、頭が潰れたりしていた。彼女はその「短命」な小さな仲間たちに一つ一つ名前を付けたが、そのたびに庭に埋めてやらねばならなかった。まだ未完成の「どんぐりグラディエーター」を、父親の前に差し出した、少し蒸し暑い夜のこと。彼は、父親の手の中で「生」を受けた。それはすごく丈夫で、綺麗で、本物のエリートグラディエーターのような姿を得て生まれたのだった。 どんぐりグラディエーターは赫々たる戦功を挙げてきた。その戦績は以下の通り。 ――ヘルムに巣を張ろうとした小さなクモを打ち負かした。 ――窓から吹き込んできた激しい雨風を打ち負かした。 ――どんぐりグラディエーター「キョカン」を打ち負かした。 ――どんぐりグラディエーター「ノッポ」を打ち負かした。 幼いオーガスタが想像する広い世界では、どんぐりグラディエーターこそが「英雄王」のあるべき姿だった。 幾多の歳月が流れた今、どんぐりグラディエーターは書斎の片隅で静かに横たわっている。さながら、幾多の修羅場を潜り抜け、故郷に凱旋して引退を遂げた老練のグラディエーターのごとく。そして、かつてそれに憧れ、その姿になりたいと願った者は、今も変わらず、未来への征途を往く。

オーガスタ のストーリー

「囁き」
「パァン!」
手中の剣が音を立てて弾き飛ばされると共に、少女の意識もまた、混沌の底へと叩き落された。
火照った手足は次第に感覚を失い、張り詰めていた神経は一本、また一本と冷たい闇に呑まれていく。
何度負かされたのか思い出せない。あと何度挑まねばならないのかも分からない。
心の底から這い上がってきた恐怖がまるで繭のように、崩れ落ちそうな彼女の意志を優しく包み始めた。
彼女は恐れていた。もう後戻りはできない自分が、起点の手前で朽ち果ててしまうことが。
「その感情を受け入れるのだ、オーガスタ……」
その時、あの声が彼女の耳元で響いた。
あたかも、古の闇の中に、一筋の火が差し込んだかのように。
「恐怖を味わい、そして学べ。それがお前の最初の授業だ……」
「自らの矮小さを認めよ。弱きを知ってこそ、初めて強きを知るのだ……」
「弱者である屈辱をその身に刻んで初めて、お前は力の価値を理解するだろう……」
「栄光への道はお前のために敷かれたものではない。だが、その道を最後まで歩めば、それはお前のものとなる」
「英雄への渇望を抱いてこそ、英雄への道は開かれる……」
「往け、オーガスタ……お前にはそれ以外の道はなく、選ぶ必要すらない……」
「光に身を焼かれる愚かな蛾ではなく、誰も直視できぬ、太陽となるのだ」
「さあ、立ち上がるのだ、オーガスタよ」
その囁きは繭を焼き尽くし、冷たい闇の下へと彼女を曝け出した。
神経を灼くような冷たさの中、彼女は立ち上がる。
足を引きずりながらも、地に落ちた剣を拾い上げた。
そして、もう一度――彼女は、カトーという名のグラディエーターに挑む。
戦いの最後に――
彼女は最初の勝利を以て、栄光の道を踏破する長旅を始めたのである。
強者の特権
対峙、観察、剣閃。そして、試合終了の宣言と、万雷の拍手と喝采。
彼女は観客席からの熱い視線を意に介さず立ち去る。
いつの頃からか、こうも容易く手に入る勝利に、オーガスタの心はとうに冷え切っていた。
彼女は自らを磨くための砥石を渇望していたが、もはやセブン・ヒルズに彼女を満たす者はいない。
「足りない……この程度では、まったく足りない……」
「二手で攻勢を崩し、一手で守りを破る。最後の一手で勝敗を決する」
「この程度の相手、本来であれば四手で制圧できたはずだ……」
控え室でオーガスタは戦いを省みていた。
「焦ることはない、オーガスタ……」
「お前は既に強者の心構えを身につけている。それは良いことだ……」
「隙を狙い活路を見出すは弱者の術。強者とは、勝利の先を見据えるものだ」
囁きがいつものようにオーガスタの耳元で響いた。
それはさながら、懇々と諭す師であり、厳しさの中に優しさを秘めた年長者のようであった。それはいつも最も必要とする時に現れ、彼女に教えと箴言を授けるのだ。
「強者……だと?」オーガスタは剣の柄を固く握り、その声には一抹の不確かさが混じる。
「私は本当に……強者になったと……?」
「もちろんだ、オーガスタ。今のお前は、もはやあの非力な小娘ではない」
「弱者から搾り取り、更なる強者を、糧とするのだ……」
「お前は彼らが築き上げた階段を踏みしめ、玉座へと登るだろう……」
「……!」
まるで氷の棘が脊髄に突き刺さったかのように、オーガスタははっと目を見開いた。
「どうした、オーガスタ?」
「何でもない……ただ……」オーガスタは自らの顔を覆い、眉をひそめた。
「ただ……私は今日の相手を忘れるほど、非情だったのかと……」

数日後、オーガスタの元に一通の招待状が届いた。
それは闇闘技場からだった。本来であればグラディエーターとして出場するはずのオーガスタが、今や、貴族たちと席を同じくする上客として奉られていた。
「その招待を受けるがいい、オーガスタ。お前には視野を広げることが必要だ。狭い檻を出た者にこそ、セブン・ヒルズの頂を狙う機が与えられる」
断るつもりであったオーガスタは、しかし囁きの導きを受け入れた。肌に馴染まぬ柔らかな椅子に身を沈め、口に馴染まぬ言葉で上流の者たちの社交辞令を交わす。居心地が悪い。彼女は闘技場に意識を集中させるしかなかった。
まさにその時、オーガスタは闘技場の鉄柵の向こうに、たくさんの闘士たちが控えていることに気が付いた。一つの試合でこれだけの人数は戦えない。
「オーガスタ、闘技場で最も輝ける明星よ!」彼女の隣に座る貴族が口を開いた。「誰もが貴女にふさわしい挑戦者を期待しているのですが、残念ながら見つかりそうもありません」
「そこで、我々はこの闘技を催したのです!かつてない、斬新な試合形式。いかなる制約もなく、ただ生死のみを決する大混戦を!」
なんとも言えない感覚がオーガスタの心臓を貫き、その血に混じり込んでいく。
「ご覧なさい、オーガスタ。入場を待つあのグラディエーターたちは、皆、貴女の前に敗れ去った者たちです」
「我々は敗者に二度目の機会を、再度お前に挑戦する資格を与えたのです」
「そしてその資格を得るのは、この試合で最後まで生き残った、ただ一人にのみ属します」
頭に鳴り響く。血の脈動が鼓膜を叩きつけている。
「その目に焼き付けるのだ、オーガスタ……」囁きが彼女の耳辺を旋回する。
「お前のために用意されたこの饗宴を。これこそ、強者のみに許された特権……」
「強者の……特権……」
囁きとオーガスタの呟きがぶつかり合い、まるで火打石のように眩しい火花を散らした。
その火花はオーガスタの血と、ずっと抱いてきた疑問に火を点けた。
「余計な世話だ……」
オーガスタの左手の甲の音痕が光を放った。風を切る音と共に、腰の剣が宙を舞い、彼女の手に収まる。
貴族たちが驚愕する中、彼女は身を躍らせ闘技場に降り立った。
「私に挑むのに、『資格』など不要!」彼女は剣を地面に突き立て、誰もが聞こえる声で高らかに叫んだ。
「もし貴様らが同じ渇望を抱いているというのなら、それを向けるべき相手に向けるがいい!」
彼女の言葉が終わると共に、鉄柵がゆっくりと開き、グラディエーターたちは次々と闘技場へと足を踏み入れ、彼女を幾重もの円で囲んだ。
その瞬間、数えきれないほどの記憶がオーガスタの頭の中に押し寄せた。彼女は周りを見渡す。百にも及ぶ、獲物を狙う眼差しの中に、見知らぬものは一つもなかった。
彼女は全員の名前を、技を、長所を、そして弱点をもなぜか知っていた。
彼女はグラディエーターたちの突撃の合図を、静かに待ち構えた。

その日、彼女は最後まで立っていた。誰一人の命も奪わずに。
その日、彼女は無数の喧騒を耳にした。だが、あの囁き声だけは、ついに聞こえることはなかった。
「完璧」な英雄
「あの者は?」
「おいおい、冗談言うなよ、あれはマグノ総督じゃないか!お前、セブン・ヒルズ出身じゃないのか?セブン・ヒルズ人に彼を知らないやつなんていないぞ」
「総督……か」
オーガスタは街角の物陰で乾いたパンを口に放り、広場で演説をしている背の高い男を遠くから見つめていた。年は三十過ぎくらい。その顔は彫刻みたいにきりっとしているが、明るく優しい笑顔を浮かべている。演説が一番盛り上がったところで、彼は両腕を広げた。それに合わせて、周りの歓声は波みたいに、どんどん高くなっていった。
表の闘技大会では未だ一敗も喫したことのない絶対王者、不世出の天才グラディエーター。かつてサングイス狩猟台地で7匹のコロサウルスを斬り伏せ、その血を浴びた「コロサウルス・スレイヤー」――その頃セブン・ヒルズでは、まだそのような伝説が語り継がれていた。
彼は民衆の願いを拒むことのない傾聴者であり、私欲のない実行者であった。セブン・ヒルズの人望を集めた総督であると同時に、その時点において最も「英雄王」の預言にふさわしい人でもあった。
オーガスタにとって、ずっと遠い夢物語だと思っていた「英雄王」。あの玉座にこれほど近い人が存在するなんて思いもしなかった。
オーガスタの心に、火が点いた。信じられないような武勇伝も、心を奮い立たせる伝説も、自分が生きているこの時代に、本当にやり遂げた人がいる――つまり、彼女の夢は、ただの夢でなく、到達しうる目標だ。
だが、その昂ぶりも束の間、彼女の思考は冷めていく。彼女は男の顔を、その一点の曇りもない完璧な笑顔を見つめた――
「なぜ、これほどの強者でも……ファビアヌムを救えなかったのか……」

オーガスタは困惑を抱えたまま、その男の前に立った。
「おめでとう、アーシノサに認められし若き強者よ。今日から、君は新たな『チャンピオン』だ」
授章台の上でオーガスタはマグノの前に立った。マグノが勲章を授けるのを待つその僅かな間、彼女は笑顔の奥に、深く疲れ、濁った一対の瞳を見抜いた。
それは、英雄の目ではない。「コロサウルス・スレイヤー」と謳われた勇者の瞳に灯された火は、既に消えていたのだ。
オーガスタは静かにマグノからの授章を受けた。そして最後に、彼女はマグノにしか聞こえない声で聞いた――
「お主にまつわる数々の伝説、果たしてまことなのか?」
返ってきたのは、やはり沈黙の笑顔のみであった。

しばらくの後、闇の闘技に名もなき一人のグラディエーターが現れた。
彼は顔を隠すヘルムを被り、漆黒の甲冑をその身に纏っていた。彼はまるで死を求めるかのように最強の相手にのみ挑んだ。その戦い方は手段を選ばず、節度も尊厳もない。彼がいる場所は栄誉を求める闘技場ではなく、ただ生死を語る狩り場のようだった。
「ネームレス」の勝利は瞬く間に積み重なり、すぐにオーガスタの注意を引いた。既に「チャンピオン」となっていたにも関わらず、オーガスタは「ネームレス」の挑戦を受け入れた。
しかし、剣が交わったまさにその瞬間、オーガスタは「ネームレス」の正体を見抜いていた。重厚な防具は顔を隠せても、疲れ混濁に満ちた瞳までは隠しきれなかったのだ。
オーガスタには理解できなかった。なぜ、高みに立つべき総督が、勝利も栄誉も手にした英雄が、身分を隠して闇の闘技に参加するのか。だが、その瞬間、オーガスタはすべての疑問を脇に置いた。彼女の心が捉えていたのは、ただ一つ。それはいかにして、眼前のこの強敵を打ち負かすか。
二振りの剣は、まるで永遠に終わることなく互いに打ち合った。埒が明かない、そう思うと「ネームレス」の剣に雷光が走り始め、やがて緋色になった。緋色の雷光を成す刃。彼がすべてを注ぎ込んだ、必勝の一撃であった。
雷光が炸裂した瞬間、オーガスタは伝説にあるあの姿を見た。それは、サングイス狩猟台地に立つ一人の勇者の姿。剣を高く掲げ真紅の雷が暗雲を貫き、戦士たちに勝利の希望をもたらす姿だ。
だがその直後、オーガスタの音痕もまた、目を刺すように光り輝いた。もちろん、彼女は「ネームレス」のようにきらびやかな電撃を生み出すことなどできない。彼女の共鳴能力は、取るに足らないほど微弱である。
しかし、その取るに足らないほどの僅かな力が、雷の方向をわずかに逸らした。
勝機が見えた。オーガスタは渾身の力を込め、最後の一剣を振り抜いた。
あの日を境に、「ネームレス」の姿は地下闘技場から永遠に消え去った。人々はオーガスタの勝利のみを語り、一つの伝説が静かにその役目を終え、忘れられていったのだった。

それからほどない、ある穏やかな日のこと。オーガスタは一通の親書を手にした。それは、総督府からの招待状であった。
いばらの玉座
「まず、私から一つ確認させてほしい」
「君は……ファビアヌムの出身では?」
「その通りだ」
「やはりか……まさか、ファビアヌムの生き残りが、セブン・ヒルズの『チャンピオン』になるとは……」
「驚いたか?」
「いや、私はただ……無念だと……」

総督府の応接室で、マグノの顔からはいつもの笑みが消え失せていた。年の差は十数歳に過ぎないはずなのに、生命力に溢れるオーガスタに比べ、そのたたずまいは、枯れかけの老木と似ていた。
「……あの一撃、見事だった。たとえ若い頃の私であっても、やはり負けていただろう」唐突に、マグノは地下闘技場の一戦を口にした。
「なぜだ……?誰もがお主を『英雄』と讃えるのに」オーガスタは思わず問い質す。「私には、ただ自暴自棄になっているとしか考えられん」
「私は、『英雄』だったかもしれない。だが、『総督』としては、失格だった」
「『英雄』としての私は十人、百人、千人の願いを叶えた。だが『総督』として、私はセブン・ヒルズのために、何一つ理想を実現することができなかったのだ」
「セブン・ヒルズの頂に立っていながら、自分は無力だと言うのか?」
「弁明するつもりはない。むしろ、総督という肩書きを引き受ける前は、私にも人々の願いを導く自信があった」
「だが、自分を欺くことはできても、事実は偽れない。若き英雄よ、実を言うと、私はとうの昔に君の出自を知っていた。君がセブン・ヒルズに連れてこられた最初の日から、君がファビアヌム唯一の生存者であることを」
「君の存在は、私の胸に突きつけられた刃のようだった。そして、君が『チャンピオン』となった日、その刃はついに私の心臓を抉った。それから、私は自分が犯した過ちから逃れることはできなくなった――なぜなら、称号を守るためだけに、私はファビアヌムの惨劇を許してしまったのだから」
「なぜ私にその話を……?罪悪感ゆえか?」
「そうかもしれん……だが、もしかすると、私の心にはまだ一縷の望みが隠されているのかもしれない」マグノは立ち上がり、机の下の棚から一つのグラスを取り出した。
「王の地位は私に絶大な権力を与え、同時に、私を凡庸な悪人へと変えた。私はもはや、セブン・ヒルズが必要とする英雄ではないのだ」マグノは空っぽのグラスでオーガスタに合図をした。「この王冠を君に授けよう、オーガスタ。見える敵をすべて打ち負かした君なら、きっと見えざる力に対抗できる」
「なぜそこまで私を信じるのだ?お主を一回打ち負かした、それだけが理由か?」
「いや、断じてそのような浅はかな理由ではない」マグノは首を振った。「君の名を、聞いたからだ。セブン・ヒルズの上流階級から、一般市民まで。栄光に満ちた殿堂から小汚い路地裏まで。貧富も、強弱も、階級も立場も関係なく、全員揃って一つの名前によって結びついている。未来ではこの繋がりこそがセブン・ヒルズを動かす新たな力となるだろう」
「そして私も、自分の剣でその名前の重さを確かめた。これが、私が総督としての……最後の仕事だ」
「たとえこの枯れた身を薪にしようとも、偽りの安らぎに満足することなかれ」グラス越しに、マグノの瞳がほんの一瞬、輝きを取り戻したように見えた。

その日の深夜。
掃除をしていた使用人は、総督府の玉座に座っているマグノを発見した。顔面蒼白、唇は紫色。明らかに毒を呷って絶命していた。砕けたグラスからは透き通った美酒がこぼれ、階段の下まで流れ落ちていた。
ある者は、政敵が企てた暗殺だと言った。
ある者は、元老院が賜った、死を運ぶ美酒だと言った。
そして、より多くの人々は、セブン・ヒルズは新たな「英雄」が欲しがっているのだと言った。
マグノが予言した通り、やがてオーガスタという名は風となり、セブン・ヒルズの大地を駆け巡った。
季節は巡り、総督府の玉座は、その新たなる主を迎えることとなった。
オーガスタはついに、かつては見上げることしかできなかったあの場所に立った。彼女は目の前の、無数の英雄を呑み込んできたこのいばらの玉座を見つめた。あの夜、オーガスタにはこの座に来る自分に向かってグラスを掲げ、中の毒を一気に飲み干した異なる時空にいたマグノの姿が見えた。
しかし、その想像は彼女の胸に複雑な気持ちを招かない。彼女は誰に対しても恨みを抱いていなかった。誰も恨んではいない、闇も光も味わってきた彼女のことだから。
あるのは、至って単純な発想――
全ての英雄を超え、真の「英雄王」になって見せる。
玉座に絡まるいばらなど、必要な数多の試練の一つに過ぎない。
そしてその玉座に座った彼女は、その手で、自らに枷と栄冠を戴かせた。
「オーガスタ総督、元老院より通達が。元老たちが、新たに着任された総督と……大事なことについて協議したいとのことです」階段の下で、伝令官がオーガスタに報告した。
「いいだろう」オーガスタは微笑んだ。
やっと、見えざる「敵」たちに立ち向かう瞬間が来た。ようやく訪れた。
「ならば、案内しろ」
とある日、コロッセオにて……
「英雄王」になっても、オーガスタの日常は変わらなかった。
束の間の祝宴が過ぎても、片付けるべき公文書の山が減ることはない。勝利の昂ぶりがいかに長く続こうと、結局は生活の些事に呑み込まれる。
もちろん、オーガスタはその平穏を嫌悪しているわけではない。闘技大会は今も盛大に開かれ、どのような時代であれ、セブン・ヒルズは常に火のように情熱的な国である。
全ては、より良い方向へと向かっている。今より明るい明日へと。
だが、たとえそうであっても、オーガスタの胸には一つ、小さな悩みが燻っている。
セブン・ヒルズの総督として、セブン・ヒルズのために輝かしい未来図を描きたい。だが、オーガスタという人間は、最高のフィナーレを迎えた。
幼き日から今へと続く、栄光への道。彼女は既に、その終着点にいる。
彼女は古の預言を成就させ、かつて焦がれた「英雄王」となった。
彼女は運命の盟友に出会い、絶対越えられないと思っていた壁も乗り越えた。
もし後世に伝わる物語ならば、これが「英雄王」オーガスタの物語に相応しい結末だろう。
完璧で、非の打ち所のない、最高の終着点。
だが、人生は演劇ではない。クライマックスが終わったからといって、すぐに幕を閉じるわけではないのだ。
彼女は考えねばならなかった。考えたかった――
セブン・ヒルズがオーガスタを必要としなくなった時、この土地が新たなる「伝説」を胎動させた時――
この物語が本当の結末を迎えた後、彼女は彼女でいられるのだろうか?
そんな煩悶を抱え、オーガスタは人知れず総督府を後にした。
ただ直感の導くままに足を運んだ。
彼女は考え続けた――
さらなる力を追い求めるか?更なる強敵との死闘を望むか?より広い世界へ赴き、セブン・ヒルズとは全く異なる風土に触れるか?それとも、全てが落ち着いた後、鎧を脱いで故郷に帰り、穏やかなる幸福の中にまどろむか?
彼女の目前には、あまりにも多くの可能性、あまりにも多くの道がある。
ふと我に返ると、オーガスタはコロッセオに佇んでいた。
今日は大会の休戦日、場内には誰もいない。
違う。
まるで、互いに無言の約束でも交わしていたかのように、のんびりとここまで散歩に来ていた者がいた。
{Male=彼;Female=彼女}とオーガスタの視線が交差した時、二人は心が通じたかのように、微笑み合った。
その瞬間、あらゆる煩悩はオーガスタの心から消え去った。
確かに、彼女はまだ答えを見出してはいない。しかし、まだ答えを考える時間はたくさんある。
今、それで心を悩ますのは……時期尚早のようだ。
「少し、なまっておるようだ……」
「どうだ、我が盟友よ――」
「久しぶりに、手合わせといこうか!」

オーガスタ のボイスライン

心の声・その一
強者――初めてお主を見た時、直感で理解した。極めて稀な話だが、あの瞬間、余の心はお主を捉えたのだ。同時に確信した、いずれ必ず肩を並べて戦う日が訪れる、と。そして、この通り得難い機会を余はしかと掴んだ。
心の声・その二
脆い弱さに由来する、虚言や体裁を保つための言動は好まぬ。喜びも、苦しみも、野望も、悪意も、全て包み隠さず堂々としているべきだ。お主を評価する理由は、その目に宿る誠実な熱にある。その偽りなき真摯な心こそ、共に歩む礎。
心の声・その三
お主は総督である余から、特別な許可を得ている。故に、この門はお主のために、これからも開かれるのだ。理由か……気にする必要はない。お主は余が認めた親友だ、それで充分。もしお主が望むのなら、最後まで共に往こう。
心の声・その四
余は思うのだ……「王」という言葉には限りがある、と。気高い人の有り様を全ては表せぬ。だが、お主に適した他の言葉を見つけ出せずにいる。無論、言葉で縛る気など一切ない。ありふれた称号で言い表せるとは思っておらぬ。お主の意味は、お主自身が描くもの。ラグーナの「戴冠せし者」、セブン・ヒルズの「チャンピオン」、あるいは英雄王……これらの栄光は、全てお主が持つ側面のひとつに過ぎぬだろう。やはり、言葉だけで人を言い表そうなど、不可能に思える。
心の声・その五
よく分かっている。お主が背負う運命を考えれば、リナシータに留まっているわけにはいかぬのだろう。それが余とお主、最大の違い。余はセブン・ヒルズの総督、オーガスタとして、この生まれた地に骨を埋める気だ。故に、余の目はセブン・ヒルズの峰を捉えることはできても、海の向こうには届かぬ。だが、お主は違う――世界全てが庭なのだろう。ならば、さらなる広い天地へ踏み出すが良い。そこが真の戦場と成り得る。
好きなこと
総督府の高みに立てば、町が一望できる。政務の合間に屋上へ行き、風に当たる時間は良い。運次第にはなるが、サングイス狩猟台地から寝床に帰るグリフェックスの姿が時々見られる。遠くから響く鳴き声を耳にしながら、セブン・ヒルズを隅々まで巡る翼を見つめながら、こう思う――この大地こそ、我ら祖先が災いから奪い返した場所なのだ、と。セブン・ヒルズ人は、闘争の痛みを軽々しく口にせぬ。勝利の道が平坦ではないことを知っているからだ。輝かしい栄光を、余は未来へ繋いでいく。セブン・ヒルズの民、そして熱い大地に約束しよう。
悩み
悩みか?総督府に面倒事は付き物だ。しかし、「向き合う勇気」さえあれば、容易に解決できる。ふっ……解決できる問題など、悩みとは呼べぬ。
好きな食べ物
好きな食べ物か?はっはっは、実に難しい質問だ。セブン・ヒルズの料理はどれも余の口に合う。もちろん、他の土地に由来する食も悪くはない。お主は余の好物を自分でも食べてみようと思っているのか?だとしたら、やめておいたほうが良い。ユーノいわく、余は料理を選ぶセンスがないようだ。しかし、何か食べたいものがあれば、遠慮なく申せ。余がご馳走しよう。友がいるのなら、どんな料理も味わい深い。
嫌いな食べ物
ふっ、余は味の好みに執着しない。腹が満たされるのなら、それで良いだろう……ただ、甘い食べ物は自分から口にせぬ。幼い頃、エンジェルは甘いものを好んでいた。それで町の年寄りからもらった菓子を、いつも彼女にあげていたのだ。すると、自然に甘いものを食べなくなってな……無論、嫌いではないのだが。
総督を拝命した日、余は誓いを立てた。この身が朽ちるまで、セブン・ヒルズの栄光を守ってみせる、と。あれ以来、今日に至るまで信念は一度も揺らいでいない――歳月によって誓いは色褪せるどころか、剣を交えるたび、狩りで声を上げるたび、強固なものとなっていった。これは自ら選んだ使命。故に、貫き通さねばならぬ。
伝えたいこと・その一
余の大剣に関する話を聞いたことはあるだろうか?これは、無数のグラディエーターの剣を溶かして鍛え直したものだ。剣は取り上げるが、命までは奪わぬ……いわば、敗者に対する情けから始めた行為。グラディエーターの血は、セブン・ヒルズのために流されるべきだ。少なくとも、余はそう考えている。当時は強き剣をひたすらに追い求めていたが、今は違う。グラディエーターは闘技場で命を散らす必要などない。それに、余は剣で何かを証明する必要もなくなった。しかし、この剣は血肉のように、気づけば余の一部となっていたのだ。これまで余の過去を見届けてきた剣……もはや、これは未来を作り上げる存在と言える。
伝えたいこと・その二
余の過去……いや、本当の過去を知る者は稀だ。何も、秘密があるわけではない。ただ、子どもの頃の幼稚で向こう見ずな姿を語るのは、少々気が引けるのだ……しかし、お主であれば話しても良いだろう。信頼とは、互いの歩み寄りによって得られるものだ。
アウィディウスについて
なかなかの実力の持ち主だ。元老院が目をかけるだけのことはある。確かに元老院は腐っているが、アウィディウスは馴れ合うつもりなどないと信じよう。彼の野心の炎が行き着く先を、余は見届けたいのだ。どこまで燃え上がるのか、あるいは迷いに飲み込まれ燃え滓となるのか、その結末が気になっている。
ルパについて
「純粋」そのもの。闘技のために生まれてきた不世出の天才。早くコロッセオで出会えていれば、彼女とも阿吽の呼吸で戦う相棒となっていたかもしれぬ。あの姿を目にして、余の改革には意味があったのだと確信した。闘技場とは元来、血と栄光の地。腐敗と汚れの泥沼に沈むようなことがあってはならん。
卜霊について
卜霊……ふっ、名を聞いて瑝瓏の者と分かった。初めて会った時から、妙に興味深い存在だったことを覚えている。彼女は約束通り、セブン・ヒルズに一縷の望みを繋いでくれた。あらためて、感謝する。余だけではない……セブン・ヒルズの民も、あの深い恩を決して忘れぬだろう。
エンジェルについて
エンジェル……余はファビアヌムを忘れたことはない。もちろん、あの日々も……故郷が滅びた日、オークのうつろで何が起こったのか、今となっては知る由もない。だが、心の奥から声が聞こえてくるのだ……彼女はまだ生きている、と。いや、余は信じたいのだ。いつか必ず、彼女は帰ってくる。
ユーノについて
ユーノと友となった理由は、似ている点が多いからだろう。頑固で、強情で、負けず嫌い……余と彼女は互いを意識し、影響を与え合いながら今日に至った。相手に負けじと進むことで、気づけば同じ道を歩んでいたのだ。ただ、時に思う。彼女には自由に生きてほしい、と。余は近くにいるからこそ、ユーノの深い苦しみを知っている。はたから見れば傲慢でわがままな姿も、彼女なりの信念から来る振る舞いなのだ……しかし、「正しさ」には代償が必要となる。
誕生日祝い
誕生日を祝おう、漂泊者よ。来るのだ、余の親友として受け取るが良い!セブン・ヒルズで一番の職人が打った剣……お主にこそ、相応しい業物。すでに鋭い剣を携えていることは承知の上。だが、戦士たるもの、手に馴染む剣は何本あっても困らぬ……しかし、もし意に沿わねば申すのだ。友として、最上の贈り物をするのは当然であろう。
余暇・その一
戦いを経ることで、剣は研ぎ澄まされていく。
余暇・その二
自分の力は、所詮……いや、これもうまく使えば……
余暇・その三
……ふっ、良い子だ。さぁ、行け。
自己紹介
余はオーガスタ、セブン・ヒルズの総督だ。心に刻むが良い――この名はセブン・ヒルズの高地に属し、お主の記憶に消えることのない痕跡を与えるだろう。余とお主は宿敵となるか、あるいは無二の友となるか……いずれにせよ、この剣も運命の戦いを待ち望んでいる。
最初の音
燃え盛る太陽よ、見ているが良い。やがて栄光は、余とお主の前にひれ伏すだろう。
チームに編入・その一
太陽がある限り、道は続く。
チームに編入・その二
さぁ、行こう。勝利を迎えるために。
チームに編入・その三
余の歩みは、誰にも止められぬ。
突破・その一
何度も、何度も、何度も剣を振り下ろす。闘争の炎を浴びるごとに、剣は鍛えられていく。剣を剣たらしめるものは、切れ味ではない。剣を握る者の意志なのだ。
突破・その二
余の血は、セブン・ヒルズの大地を滴る。この滾る流れは、元老院の回廊にも、コロッセオの高台にも繋がっていない。故郷の大地に深く根付き、余の足元まで脈々と続くのだ。戦いのたび、そして選択を繰り返すたび、激しくなっていく。
突破・その三
まだ、止まるわけにはいかぬ……故郷の滅亡を目の当たりにして、痛いほど理解した。天高く昇る太陽が大地を照らし続ける限り、暗闇に逃げ場はないのだと。
突破・その四
腐敗した秩序の下では、権力こそ死をもたらす刃となる。ルールを作り変えることで、セブン・ヒルズに均衡を取り戻すのだ。真の「王」となるためには、多くのことを学ばねばならぬ。
突破・その五
カンピドーノの頂きに立つと、時々疑問が生じるのだ……今ではなく、先のことについて。セブン・ヒルズが余を必要としなくなった時、全ての責務から解放された自分は、何をしているのだろうか、と。どこかの小さな町で隠居しているのか、それとも鍛冶屋でも営んでいるのか……いや、やはり闘技場に戻っているかもしれぬ。白髪の余が、歓声を浴びながら対戦相手に向かっていく姿……ふっ、この血に流れる闘技の熱は、決して老いはしない。
重撃
勝利の咆哮!
共鳴スキル・1
無駄な足掻きだ。
共鳴スキル・2
凱歌をあげよ。
共鳴スキル・3
セブン・ヒルズのために。
共鳴スキル・4
隙を見せたな。
共鳴スキル・5
一気に攻めるぞ!
共鳴スキル・6
栄光は不滅!
共鳴解放・1
これぞ、王道の勝利。
共鳴解放・2
胸を張れ!太陽の輝きに!
共鳴解放・3
栄光をセブン・ヒルズに。
共鳴解放・4
これで終わりだ。
共鳴解放・5
一撃で葬る。
共鳴解放・6
戦意は不滅!
共鳴解放・7
受けてみよ!
共鳴解放・8
もらった!
変奏スキル・1
征服を始める。
変奏スキル・2
余が出よう。
変奏スキル・3
共に戦おう。
変奏スキル・4
照らし合う光よ。
変奏スキル・5
応えるのだ、我が友よ。
ダメージ・1
なかなかの実力だ。
ダメージ・2
相手にとって不足なし。
重傷・1
これしきの痛み!
重傷・2
……歯を食いしばるのだ。
戦闘不能・1
太陽は、不滅……!
戦闘不能・2
まだ、征服の道は……
戦闘不能・3
進むか、戦って死ぬか……
音骸スキル・召喚
余に続くのだ。
音骸スキル・変身
手筈は整っている。
敵に遭遇
栄光は余が守る!
滑空
進むのだ、さらに遠くへ!
スキャン
抜かりはない。
ダッシュ
余に続け。
補給獲得・1
狩りに出た以上、手ぶらでは帰れぬ。
補給獲得・2
頂いていこう。
補給獲得・3
戦利品としては、悪くない。
補給獲得・4
波が運んできた恵みだ。