情報

長離 VA

中国語: CV:Li MuFei
日本語: CV:斎藤千和
韓国語: CV:Shin Na Ri
英語: CV:Ashleigh Haddad

長離 のフォルテ調査報告

共鳴力

丹く煌めく離火

共鳴評価報告

測定材料:【周波数スペクトル報告RA2326-G】 共鳴時間の特定に失敗。幼少期には既に火炎を操る力を有していたが、複数回力を暴走させた。成人後、周波数は安定している。 音痕は胸の下にあり、共鳴発生後、身体に一部の変異が見られる。具体的に言うと、毛先が色褪せしており、一部が髪の毛が鳥の羽毛の形をしている。また、左腕は共鳴能力に影響され、赤い火傷と焔のように流れる光が見られる。 共鳴スペクトル特定結果:相対的に焔に近い。テストで強い共振反応を示した。共鳴源の完全特定は不可。被検体と60%以上に符合する共鳴スペクトルは現在確認できていない。共鳴能力の表現は瑝瓏伝説にある霊鳥に類似しているのは、幼少期の経歴と関係があると推測。 被検体は火炎を羽毛の形にできる。能力を完全に解放した時は、広域に極高温の火炎を放出する。その時に、額に目玉模様が付いた羽の形の焔が出現する。被検体はそれを「心眼」と説明している。 ラベル曲線が全体的に緩やかに上昇し、現在は安定した状態を示す。自然型共鳴者と認定する。

オーバークロック診断報告

波形は楕円形、時間領域表示は安定。異常波形なし。 診断結果:オーバークロック域は広く、安定性も高い。オーバークロックリスクなし。 オーバークロック歴あり。最高レベル:低。 幼少期にオーバークロック発生。長い間危険な環境にいたため、複数回の正当防衛もしくは、他人を守るため能力を暴走させたという。身体には暴走の後遺症が見られ、一時期は命の危険にまで晒された。 オーバークロックの後遺症は左腕の火傷。被検体の成長と能力の把握により、周波数の波動も安定してきて火傷の拡散が抑制されている。ただし、身体にもたらしたダメージは不可逆であり、被検体の寿命を大幅に低下させる恐れがある。 定期検診を推奨。メンタルケアの必要なし。

長離 の大切なアイテム&好物

『乗霄烏鷺集』
『乗霄烏鷺集』
古びた棋譜。乗霄山にてある人が残した対局が記録されている。 紙は既に黄ばんでおり、縁も擦り切れている。それらは主と共に数多の危険な旅をしてきた歳月の証。今は装丁し直されていおり、もう一局の碁譜も追加されている。 長年追いかけてきたあの人が今、ここにいる。これで対局もいよいよ完成を迎えそうだ。碁を打つ人がいれば、この棋譜はずっと更新されていくだろう。
火除けの錦
火除けの錦
未知の素材を使用した柔らかい肌触りを持つ織物。火を浴びても燃えることなく、むしろより白くなり、まるで雪のように上品な光沢を放つという。この織物を作る植物は悲鳴で絶滅したため、残された一反一反は金でも買えない価値を有する。 ここに記されたのは、着任式典後、新令尹が恩師に贈ったプレゼントである。
心眼の炎羽
心眼の炎羽
長離が自分の「心火」で作った羽根。一対になっていたが、うちの一枚は今州の客人に贈られ、もう一枚は常に長離が肌身離さず持ち歩く。燃えているように見えるが、手のひらに置いても火傷にならなく、ただ暖かいと感じるだけ。共鳴能力を完全に制御した証であり、彼女の服装と同じ、完全に流れる焔が象ったものである。 遥か昔、女の子が聞いた言い伝えでは、火を浴びて生まれ変わる霊鳥は、最も貴重な尾羽を大切な人に贈るという。

長離 のストーリー

噂の裏
ここ2年、辺庭に来る人には、参事の長離となかなか会えていない。
公の場に姿を現すことは滅多にないが、令尹の側近として、その名は誰もが知っている。故に彼女に関する噂も後を絶たない。
「長離様が明庭にいた時、各地の悲田院の修繕を上奏し、悲鳴がもたらした災いで居場所を無くした人々に安住を与えた」「湾刀の戦いの後も、中央庭に諌言して今州の商業税を軽減させ、食糧費を特別に支給させ、今州の回復が早まった」
「辺庭に着任して早々、面会を通じて簡単な罠を仕掛け、今州に巣くう2つの野盗団を反目させ、相殺させ、共に滅ばしたという」
「長離様は歳主が令尹を選出してから参事になったのではなく、代理として今州の政務を仕切りながら、幼い今汐様の師となり、少女にとって重すぎる責務を一部担ったという」
「それ、ほんとなのか?」「それって全部前任の長史がやったことで、長離はただお偉いさんに嫌われたから、こんな辺鄙な地に左遷されたって聞いてるけど」
「玄渺真人の弟子だし、前任長史からの推薦も得られたほどのお方だ。さらに各地で高名を残しているんだし、佞臣なわけはないだろう」
「それも違うな。俺が聞いたところによると、ある修行を積んだ隠者の末裔で、今州に来たのは家族の使命を果たすためだと……」
このように、長離に関する議論が飛び交っている。しかし、本人はあまり気にしていない。たまに人が自分の身の上を議論しているところを見たとしても、彼女は黙して優しいながら人の心を見抜く目つきで彼らを見つめるだけ。その視線は無益な議論を瞬く間に遮るのだ。
今州の令尹は「角」によって選定された。誰もがそれは成人式すら完遂されていない小娘だとは想像がつかなかった。「長離は単にあの子を傀儡にして自分が令尹になるつもりだ」という風説も浮上しつつある。
式典が終わった直後、長離は政権を今汐に委ねた。今汐は従って令尹の権限を以て長離を令尹参事に任命したのである。それから、3年が経った。今州が軌道に乗り、民は令尹の施政に感服した。その施政のどれだけが参事の助力によって成立できたのは、誰も知る由もなかった。
長離と対面した人は皆、「いつも優しく微笑みながら、将軍平民問わず、誰にも同じ態度で接してくれるが、独りでいる時はなぜか度し難い威圧感を帯びていて、なんか声をかけづらい感じがする」と彼女について述べた。
「巡寧所で長離様と会ったことがある。なんか興味深く庭の木を見ていたので、私もついに近寄ってしまった。しかし、その視線の先にあったのは荷物をコツコツと運ぶ蟻の行列だった……長離様はそれを日中ずっと見ていたんだ」
「それから……?」
「それから指名手配犯の人が急に自首してきたんだ。びっくりしたよ。なにか罠かとも思ったが、あの犯人が長離様を見ると酷く動揺したようで、自分の罪と他の未解決事件の手掛かりと思われる情報も全部白状したの!それが、私が今まで直面した一番大きな事件だったな」
「その後、長離様は?」
「いつの間にか、気付いたらもうその場にいなかった。本当に掴みどころのないお方だね……」
師と臣
今汐の師になる前に、長離は幼い汐と一回会ったことがある。
長離が今州に訪れた時だった。辺庭を歩く時、側殿からうっすらと読書の声が聞こえ確認すると、声の主は幼い女の子だった。女の子は自分よりも高い本に囲まれて、難しい文書を一生懸命に覚えようとしている。
「『乱れの根源を知らぬ者に、法令を作る権力を授けるべきではない……』でもどうすれば他の人にはない見方と見解を入手できるだろうか?」
その意味など知らないまま、女の子は依然として本を読み上げていく。
その姿は長離に昔の自分を思い出させた。そうだ、自分もうそうやって知識を、情報を飲み込み、大人になろうとしていた。
ついに、彼女は身をかがめて、女の子の疑問に答えた。
「勉強になりました」と、少女は幼い声で礼を言った。そして、その答えを反芻し、もう一度顔を上げて問いを長離に投げた「……なら、どのようにすれば、民を守る令尹になれますか?」
「なぜ、その質問を?」
「今州の人々は、戦争で苦しんでいます……だから、太平の世を、この手で叶えたいです」
「……そう簡単にはできないわ」
「わかっています。ただ、それでも最善を尽くしてやってみたいです」
——太平の世を、この手で叶えたい。
女の子の透き通った目を見つめながら、長離は恰も火花が燃え散る音が聞こえた。小さいながらも、力強く。
「ならば、その願い、妾が成就させよう」

あの幼い女の子が歳主に今州の令尹に選定された日から、辺庭の明かりはずっと付いたまま。長離はずっと今汐のそばにいる。師として教えを諭し、臣として策を授けるため。
一般市民にとって、英雄など遠い言い伝えにすぎない。食卓に並ぶ食べ物の豊かさこそが、暮らしが好転した確たる証拠。
「汐、政を為す者は、決して自分を宮殿に閉じ込めてはならない。民と共に過ごし、彼らの声を聞け」
「肝に銘じます」
斯くして、願い事をする風習を通じて、今州の民の声が聞き届けられて、やがて今州の状況を好転させた。
今汐を囲む市民を長離が観察する。彼らの顔から無気力が消え、幸せという感情と令尹への感謝が溢れている。
これほどの実績を残せば、民にも中央庭にも、もう今汐の能力は非難されないだろう。
「思いついたことを実行すればよい」
「何かあれば、妾が解決しよう」
師とは、種を蒔く者、蝋燭を掲げて道を照らす者。やがてその微々たる火の光に集う灯火は、天をも照らす。
まだ未熟なこの子が今州を守る令尹に成長するのは、もはや時間の問題である。
彼女にできるのは、己の師がしたように、自分の生徒のために道を敷くこと。
零れ落つ一枚の羽
延慶書斎の店主・常慶に、最近不思議なことが2件起きた。
1つ目は店の商売にて。
瑝瓏は物産が豊富。それ故、娯楽と流行も常に変わる。最近の世代だと、活字離れも進んでおり、店の売上も下がる一方。なのに、ここ数日はなぜか売上が良い。客も以前と違って波のようにやって来る。
格好からすると、客の多くは中央庭の職員だろうか。客人にここに来る理由を尋ねてみたところ、「長史様が勧めてくれた場所だから」という返事が多かった。
長史?何となく新長史が着任したニュースは耳に入ったが、そんなお偉い方がこのボロい店と一体何の関係が?
2つ目は店の店構え。
商売が悪いせいで、長らく延慶書斎の店構えは変わっていない。隣の雑貨屋の店主も首を横に振りながら、
「店構えをなんとかしないと、本当にどこかのボロい倉庫だと思われるぞ!」
「はあ?うちのどこがボロい倉庫なんだよ。明庭あたりの店には敵わないけど、市場に出回っていない孤本なら、この延慶書斎より在庫が多い店は他にないぞ!口コミが良ければ、客は自ずと来る」
実は常慶もそれが気になってはいるが、もうとっくに重い仕事はできない歳だ。最近は売れ行きも良くなっているし、人でも雇うか。
と思った矢先に、次の日店に来たら、もうそこにボロい店構えの影もなかった。看板も入口もリニューアルされて、看板に乗せている店名が金色に輝いている。
カウンターには、一通の手紙が置かれていた。その内容は恩返しのため、というもの。
署名はないが、紙に載っている燃える羽の模様が見た憶えがある。常慶が手紙を握ったまま座り込み、思い出に耽けていった。
それは、何十年か前、まだ商売が良かった時のことだった。いつも8、9歳くらいの女の子が行き来する客に紛れ込んで店が閉まるまで立ち読みしていた。
最初は気にしなかった。商売の邪魔や商品の破壊さえしなければなんでもありというのが方針だから。
しかし、これから数日、妙に客が減って、売上も急落した。
「あの店は暑すぎる、もういられん、他の場所に行こう」
秋を迎えたのに、なぜか店内は真夏よりも暑かった。常慶は額の汗を拭きながら、店を回ってみる。本棚の脇には痩せた小さな影。読書に夢中になっている女の子だった。
なんと彼女の前に、火が漂っている。しかも彼女の感情の起伏に応じて、焔もより燃え盛る。道理で店が暑くなったわけだ!
「あんた、どこの子だ?店を焼き払う気か?」
急に焔が消え、怒られた女の子が震え始める。そして、彼女に握られた本が徐々に焦げ始め——
「なな、なにをする……!」
女の子が急に本を捨てて、焦げた本と常慶に交互に視線をチラッと投げながら、慌ただしい表情を見せる。
「ご、ごめんなさい……ここ暗すぎるから、明かりを作りたくて……」
愛書家は大事な孤本が酷い目に遭ったところを見たら、頭には右肩下がりの売上が浮かんでくる。棚の脇に置いてあるほうきを手に取って、女の子を殴ろうとしていた。
しかし、女の子の動きは思ったよりも素早かった。流れる焔のような髪があっという間に店外へ出て雑踏に紛れ込み、怒り心頭の常慶を独り残す。
「もう二度と来るな!クソガキが!」
「どうした?こんなにも怒って」隣の雑貨屋の店主がニヤニヤと店を出て彼の視線を追う。「あの子か。火を操られるらしいぞ」
「あのガキと知り合いなのか?危うく店を焼き払われるところだった!」
「そんなことはない!いい子だよあれは。食べ物を上げたら、色々と手伝ってくれるしな。それに、かわいそうだ。村が残像潮に襲われて、生き残ったのは彼女だけとは……」
「……知ってるならはやく言えよ」
「聞かなかった常ちゃんのほうが悪いではないか!でもこの様子じゃ……もうこっちには来ないだろう。」
女の子の姿はもう道が曲がったところに消えた。たまには隣人の子供たちが遊ぶ声が聞こえる。地に落ちた本を見つめて、常慶の心情が複雑になる。
赤く燃える鳥は、いつか森へと帰る
いつの間にか延慶書斎今まで通りに日々に戻っていた。その代わり、行き来する客の中に、あの棚の影に体を丸めて本を読む女の子の姿はない。
常慶を唖然とさせることがあった。1週後、あの子が戻ってきたのだ。
「ここに……私が稼いだすべてのお金があります!盗んだのではありません!ちゃんと私が稼いだんだ。足りるかはわからないけど……ごめんなさい、本を燃やしちゃって……でも、私が見たかった本はここにしかないんです……」
唇を噛んで、女の子はかき集めたシェルコインをカウンターに置く。つま先で立ってもカウンターに届くか届かないかの身長だった。疲れ飢えていたせいか、身体が微かに震えている。それでも、揺るぎのない目つきで真っ直ぐにこっちを見ている。
「……あのことはもういい」
どうせ過ぎたことだと、常慶は思いながら手を振る「もう行け。あんたの金はいらん。商売の邪魔はしないでくれ」
女の子はこれ以上話をしなかった。お辞儀をしてカウンターを離れていく痩せた背中を一瞥し、常慶は女の子を引き留める。
彼は明かりを持って女の子に近寄ると、それと店の合鍵を渡した。
「これをやる。もう火を明かりにするな。夜に客人がない時はいつでも来ていい」
「……」
「ただではない。朝、ちゃんと店を開けておけよ」
「あ、ありがとうございます……!」
それは彼が初めて見た、あの子の童心溢れる笑顔だった。
その後、女の子は延慶書斎に毎日来るようになった。いつも約束通りに夕方頃に姿を現し、棚の影で黙々と本を読み、朝、常慶が店に来る頃には、本の整理をきちんと終える。
寒い季節にでもなれば、昼にも来ていいと、常慶が女の子に伝えた。店の外を嘯く木枯らしがまるで嘘のように、店内には晩春の暖かさに満ち溢れている。たまに、仕事が一段落ついた常慶は女の子がどんな本を読んでいたかをチラッと確認した。何やら難しい漢字と歴史を解説する本ばかりだった。
いつも年不相応に落ち着いた顔は、本を読んでいる時にだけ、心が躍るような表情を見せてくれる。
——ある日突然、女の子が急に店に来なくなった。残像に襲われたとか、明庭に向かう途中で深い傷を負って死んでしまったとか、でたらめな噂ばかり。
手紙に載っているあの燃える羽の模様が、女の子の焔に見えてきた。
生きてたのか、いや、そんなことは……
「ご機嫌よう」
若い女性の声を聞き、常慶は我に返る。容姿端麗な声の主は、優しい目つきでこちらを見つめていた。なにより、あの伝説の霊鳥を彷彿とさせる流れる焔のような髪が印象的だった。
彼女はシェルコインをカウンターに置き口を開く。
「妾は本をさがしております。ここでしかない本なので、一日お借りしてよろしいでしょうか?」
——あの痩せた女の子はもういない。というか、あの噂の若い新長史の姿とまるで同じじゃないか。
日の光が差し込む。店主が笑い出して寝椅子に凭せ掛けた。
「好きにしなよ。あんたを追い払いたくても、この体じゃ無理なんだからな」
古典に記されたあの人
隠者がある人の手掛かりを調べているようだ。
生涯の末を迎えつつある隠者の隣にいる幼い長離。元は弟子を取るつもりはなかったが、一度弟子を作った以上、隠者は自分のとっておきを全て授けると決めていた。
隠者はとにかく碁が好きだ。いつも旅で疲れた時、弟子とその場で碁を打ち休憩を取る。もちろん、手加減しながら。そうして、碁盤を通じて彼女に策と権力を使いこなす方法を教えた。たまには弟子にある未完成の碁譜の再現を行う。しかし、いつも中盤あたりになると、うまくいかなくなる。
そういう時、隠者はいつもあの友人の話をした。あの人は隠者が追っている人で、長離を弟子にしたのも、あの人を探すため。でも、あの人の名前と出自を聞いても、隠者は答えてくれなかった。
「まだ時機ではない」。ただそう言うだけ。
自分の最期が見えてきたあの日、隠者は碁譜と手帳を長離に託した。
「すべての因果が碁盤上にある」
長離はその遺志を引き継ぎ、前へ進む。
「……斯の世に降りし天人、乾坤を指掌に宿し、その身に音骸を納める」
「金色の瞳を有する異人が明滅する霞の狭間に現れし」
「『角』の隣に並んだ親友」
手帳を頼りに、少しずつ手掛かりを集めてきた。あの人に関する記述は、時に講談に語り継がれる美談、時に古典に記された片言、まるで高波に捩れる人類の歴史を導いてくれた灯台のようであった。
あの人は数え切れない痕跡を遺している。そのすべてを綴じてみれば、遥かに人の寿命を上回った歴史に見えた。それでも、それは確かな繋がりである。
「あの人は、いつも特別な兆しとともに訪れる。世界を変える力が、あの人に宿っている」
太平の世を叶えたいのであれば、高い位置に立ち、自分の手で追い求める未来を入手するしかない。この身に集いし数多の願いと約束を叶えるため、彼女は四方を旅してあの人のことを誰よりも深く調べた。険しすぎる道だとしても、一切厭わずに。
やっと、長史の座まで登り詰めた。これで念願の瑝覧類書へのアクセスも可能となった。情報の海を泳ぐと、彼女は一つの肝心の情報を入手した。
情報は瑝瓏の辺境重鎮であり今州を指している。

すべては歳主の予言通りだった。客人が今州に来訪し、難局を打開して今州は安寧を手に入れた。古典と言い伝えにしか記載されていないあのぼやけた姿は、ようやくはっきりと見えてきた。
最初に出会ったあの日、彼女は明庭から遠路はるばる今州に戻ったばかり。あの客人が雨の中の渡し場で何かを思案しているところを見た。
——客人が「角」の予言通りに動くのであれば、いつしかは会える。
その「いつしか」が、「今」に変わった。
波打つ心情を極力抑えながら、彼女は一歩一歩、あの人に近づいて行った。
霊鳥の模様が付いた紙傘を傾けると、二人の視線が交差し、傘を叩く雨音だけが残される。
そして、笑みを携え言った。
「——雨にお困りかな?」

長離 のボイスライン

心の声・その一
あなた、珍しく暇そうね。ちょうど妾の用も済んだところ。ここは一局興じる、なんてどうかしら?
心の声・その二
妾はあなたの過去についてあまり知らないけど……歴史書に記されている言葉は、かつての「あなた」が残した道標なのかもしれない。妾の運命は、その標のひとつとなり、あなたを未来へと案内する役目に繋がるのだろうね。
心の声・その三
策士とは深い湖の水面と似ている。これは妾の師匠の教え。自らの身に危険を感じたら、まずは最も寡黙な人物に伝え、警告しろ……きっと、あなたみたいな人にってことよね。でも、あなたと共に過ごす静寂は、妾にとっての安らぎでもある。
心の声・その四
妾の剣は師匠に教わったのだけど、妾が全てを習う前に亡くなってしまった。だから、これは師匠が残した教えをもとに、出来上がったもの。でも、あなたの太刀筋を見た時に強い既視感を覚えた。物事は理由もなく因果を持たないのだとするのなら、至る結論はきっと1つね。あなたの剣が師匠のそれに似ているのではない。師匠の剣があなたのそれに似ているの。
心の声・その五
妾があなたを見つけ、音場から連れ出したことは、妾の願いを叶えることに一石の意味を投じた。あなたは、誰も及ばぬほどの大胆さを持ち、変わり続ける状況に立ち向かうことができる。そんなあなたが旅の終着点に至るまで、妾の策と炎を標としてほしい、そう思っているわ。
好きなこと
碁はこの世と同じ、一瞬一瞬が変化の真っ只中にある……面白いと思わない?
悩み
体温が他の人よりも高いのが悩み。これも全部離火のせいね。おかげで今汐や散華と一緒に氷菓子を食べられない……残念だわ。
好きな食べ物
世の中には舌鼓を打つほどの素晴らしい食べ物がたくさんあるけど、昔、飢えを凌ぐために食べていたものは、決して忘れられない。
嫌いな食べ物
かつて飢えと死の道から見えた景色は、今ここから見える景色と随分違っていた。それは食べ物も同じ。きっとこの世界には想像もできないような面白い食べ物がたくさんある。そういったものは、是非味わってみたいわ。
澄んだ海に清らかな川。そんな平穏に凪ぐ世界へと歩む人々のため、妾は全力を尽くそう。でも、勝ち得たその世界をこの目で見ることはできないかもしれない……それでも、あなたが今州へ帰ってきてくれるのならば、またここで妾と茶を楽しもう。
伝えたいこと・その一
妾が前にあげた羽根は持ってる?あれは妾の心火そのもので、この世に存在するのは対となる2枚のみ。持っていれば、あなたが妾の離火で傷つくことは永遠にない。そして、あなたが望むのであれば、妾にあなたの居場所を知らせてくれる。だから、不届き者の手に渡らないように注意してね。
伝えたいこと・その二
なぜ地位を捨てて今州に来たのかって?……理由は笑っちゃうくらい単純。あの頃の今州は、令尹もいなければ、辺庭も機能していない混沌の時代にあった。その最中師匠から、出会うべき客人とそこで出会えると言われた。その時は、何のことだかよくわからなかったんだけどね。でも、今はその言葉の意味、ちゃんと理解できるわ。
今汐について
今汐は努力家だしとても賢い。将来は間違いなく優秀な令尹になる。ただ、あの子には、令尹でなくただの“汐”になることを覚えてもらわないと。あの子が気を張りすぎてるって思ったら、あなたからも注意して頂戴ね。
忌炎について
妾が今州に来た当初、一時的に辺庭の事務を引き継いだのだけど、夜帰に関する事務処理については何もすることがなかった。 今州に令尹がいなかったあの時代、あの将軍によって、今州が守られていたのだろうね。
散華について
散華は本当に優秀な近衛ね。いつ見ても寡黙でピリピリしてて……本当はもっと周りを頼ってくれてもいいんだけどね……
鑑心について
派が違えど、訓練の方法はよく似てる。彼女、とても親切で明るいの。世の中みんな彼女のようだったらって思うわ。それに、茶屋でご馳走になった金銀蓮実羹……あれ、美味しかったな……
熾霞について
熾霞はその名の通り、炎のような情熱と明るさの持ち主ね。妾が初めて今州に来た時には、色んな郷土料理を食べに連れて行ってくれたの。あの時食べたラー油ちぎり鶏……他に食べてる人はいなかったけど、辛くて美味しかったわね……
誕生日祝い
今日はあなたの誕生日ね。妾が旅をしていた頃、いろんな誕生日の祝い方を目にしたわ。それを参考に、あなたへお祝いの言葉を送ろう。月夜のような平穏と、太陽のように輝く繁栄があなたにもたらされますように……え?抽象的でよくわからない?じゃあ来年は、もっとあなたが喜んでくれるプレゼントを考えなきゃね。
余暇・その一
台詞なし
余暇・その二
台詞なし
余暇・その三
今、こうしてここにいることが、妾の幸せ。
自己紹介
今令尹の参謀、長離よ。そして、ずっとあなたを探していた者の一人でもある。もし、今州で何か不便があったら何でも言ってね。
最初の音
この時代、この場所であなたという打ち手に出会えた。これ以上の幸運はないわ。
チームに編入・その一
さあ、始めよう。
チームに編入・その二
妾の策と力、あなたに預けよう。
チームに編入・その三
次の相手は誰?
突破・その一
勝利のための剣術は、相手によって変化が必要。戦略もまた同じ。
突破・その二
初めての感覚ね……もう一度訓練に付き合ってもらえるかしら。
突破・その三
こうして何の対価もなしに教示してもらえるなんて、とても幸せなことね。師匠が亡くなって、独学でもがいていた時には考えられなかったもの。
突破・その四
この力をこれほど制御できるようになるなんて……これはお返しが必要ね。ほしいもの、何か言ってみて?
突破・その五
あなたからは何からも得難い大切なことを学んだ。死とは普遍的で平等なものだと思っていたけど、今ならあなたの考え方も理解できる。それはとても幸福なことね。漂泊者、離火が燃え続ける限り、妾はいつもあなたの側にいるわ。
通常攻撃・1
貫く。
通常攻撃・2
正確に。
通常攻撃・3
神にも劣らぬ。
空中攻撃
灰と化せ!
共鳴スキル・1
火の雨が降り注ぐ。
共鳴スキル・2
熾翎よ、焼き尽くせ。
共鳴スキル・3
逃げ場などない!
共鳴解放・1
烈火の煌めき。
共鳴解放・2
逃げ切れるかな?
共鳴解放・3
籠の中の鳥はだれ?
共鳴解放・4
逃がさない!
共鳴解放・5
断ち切る!
回避
バレバレよ?
パリィ
これでどう?
ダメージ・1
どうする?
ダメージ・2
悪手ね……
ダメージ・3
大丈夫。
重傷・1
時には捨て石も必要よ。
重傷・2
心配しないで。
戦闘不能・1
これも、定め……
戦闘不能・2
見誤ったか……
戦闘不能・3
後は、任せたよ……
音骸スキル・召喚
出番よ。
音骸スキル・変身
こんな手はどう?
変奏スキル・1
任せて。
変奏スキル・2
この力で!
敵に遭遇
気を付けて。
滑空
風に乗って~
鉤縄
台詞なし
スキャン
ふふっ……みーつけた。
ダッシュ
昼夜兼行 。
補給獲得・1
へー、そういうのが好きなんだ。
補給獲得・2
これは……使えそうね。
補給獲得・3
もらっといたら?