情報

ショアキーパー VA

中国語: CV:Tang YaJing
日本語: CV:諏訪彩花
韓国語: CV:Kim Bo Na
英語: CV:Stephanie McKeon

ショアキーパー のフォルテ調査報告

共鳴力

音で紡ぐ物語

共鳴評価報告

「抽出されたアーカイブ- A.A1001」 オブジェクト:第2インスタンス 記録者:▇▇▇▇ 記録内容:A.A-000 第2インスタンスは高純度の反響エナジー結晶で構成されており、▇▇▇▇理論の実行可能性を証明している。 a.「ブレーザー」のコピーと「アンカー」を用いて吸収、凝縮し、反響エナジーを実体化させる。 b.実体化されたエナジーに情報をインプットすることで、自律思考を持つ知能の確認をした。 一般的な共鳴理論と異なり、第2インスタンス(ショアキーパー)は反響エナジーを直接使用できる。能力を使用する際、胸元に淡い青色の光が見られた。周波数は純粋な反響エナジーと一致している。しかし、インプットされたモジュールの影響により、能力を行使すると恒星の進化過程に似通った数値を表した。バタフライ星雲と似た視覚的特徴を持っている。 ▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇ 第2インスタンスの活動も、当システムこと▇▇が継続的に行う。

オーバークロック診断報告

「抽出されたアーカイブ- A.A1001」 オブジェクト:第2インスタンス 記録者:▇▇▇▇ 記録内容:A.A-311 ▇▇▇テストの結果は、概ね制御可能な範囲に収まっている。体内の反響エナジーは複数回崩壊しており、過度に負荷を与えると結晶の消耗や損壊に繋がる可能性が見られた。▇当システムは、大量のデータで悲鳴の解析を試みたことが原因と考えられる。意外にも、ショアキーパーは自身の問題に気づいており、損傷箇所を新たなエナジー結晶に置き換え、対策を行っていた。彼女の肩や脹脛に見られる波のような形をした痕は、治療によるものと推測する。 根本的な原因の解決には至っておらず、測定および交換頻度を検討する必要がある。▇▇▇テストの結果が制御可能な範囲を超えた場合の対応策が求められる。

ショアキーパー の大切なアイテム&好物

崩れ落ちた星の欠片
崩れ落ちた星の欠片
ショアキーパーの体から砕け落ちた結晶。すでにエナジーは尽きている。 波が引き、星が答えを示すと、ショアキーパーは自らの使命に向き合う決意をした。媒介となっている体は、繰り返される悲鳴に苛まれてきた。光を失った欠片が崩れ落ちると、新たな反響を結晶化し補う。 壊れた部分の修復を繰り返す様は、まるでテセウスの船。彼女は変化を受け入れながら、エナジーの尽きた欠片を拾い上げた。それは彼女の過去、そして今を存在する証。
周期タイマー
周期タイマー
ブラックショアの地下では、いつまでも夜空に星が輝いているが、そこに四季は存在しない。そこで漂泊者は、時間の流れが分かりやすくなるように砂時計型のタイマーをショアキーパーに贈った。この装置は手で返す必要がなく、エナジーによって42日ごとに自動で切り替わることで、内部のミニチュアが繁栄と消滅を繰り返す。この「42」という数字は、テティスシステムの演算周期を表している。有限と無限の異なる概念を内包する「42」の数字で、漂泊者はショアキーパーの長きに亘る使命に終止符を打った。彼女の心が、少しでも救われるように願いながら。
「私たち」
「私たち」
反響エナジーを媒介に作られたレコード。無限のストレージの容量を持つ。 このレコードには、ショアキーパーが集めてきた星のあらゆる音が記録されている。風や雨、雪、雷、鳥のさえずり、鯨の唄、様々な時代の音楽に50種類以上の言語の母音……それらは、この星に存在した命、科学、そして文明の記録を意味する。 ショアキーパーは、漂泊者と共に奏でた音をレコードの最後に残した。このレコードから音が鳴り続ける限り、いつまでも二人の足跡は続く。

ショアキーパー のストーリー

最初のショアキーパー
鼓音が始まりを告げると、私たちは暗闇のなかで踊る心臓を月と称するようになった。その月は、あなたの存在で構成されている。

偶然から生まれた命もあれば、必然から生まれた命もある。
世界は凍てつく寒さに覆われ、静寂な死を迎える。その運命を知った者は、あの人に希望を託した。皆が祈り捧げる――明るい未来のために。しかし、その先は長く険しい、孤独な道のりだった。残響を補足するためには、時間の概念を超えるデバイスが欠かせなかった。そして、誰もが力を合わせ、それを実現させる。これが、あの人のために皆で何かをする最後の機会となった。「アンカー」で反響エナジーを吸収すると、繭の形をした淡い青色の結晶が生まれる。ショアキーパーは意識が目覚める前から、方法は知らずとも自らの使命を全て予知していた。

デバイスが完成すると、今度は指示を下す使い手の存在が求められた。
ショアキーパーは、気が遠くなるほどの刻を実体のない「空」で待ち続ける。
波が運ぶ海風の香りと共に、段々と近づいてくる鼓動を微かに感じながら。

完全な無音の世界で、調律者が大地を見下ろす。断続的な悲鳴の咆哮が遠ざかると、闇夜に残ったのは鼓のような音だけ。
「大地の下にも、星空と同じ輝きを持つ何かが必要なのかもしれない」……そう考えた{Male=彼;Female=彼女}は、ある地に目をつける。しかし、テティスを起動する前に結晶に触れると、共振する周波数によって割れてしまう。そこから噴き出したエナジーは、まるで恒星誕生時に生じる星雲のようでもあり、繭から羽化する蝶のようでもあった。やがて少女の形を成すと、「それ」は自らに生を吹き込んだ存在に話しかけた。

「私は、ショアキーパー。あなたの道具」
「あなたが望む通りに、テティスが悲鳴の源を割り出せるように手伝う」
たった今、人の姿になったばかりのショアキーパーは抑揚のない声で説明を果たしたが、一向に返事が来なかった。
「ショアキーパー……秘密を保持し、岸を浸食から守る存在。分かりやすいが、{Male=名前には聞こえないな;Female=名前には聞こえないね}」
「道具に名前は不要。指示を完了するために支障はない」
二人の視線が交わる。調律者は適切な言葉を探しながら黙り込む。金色の目を見つめるショアキーパーの顔には、疑問が見て取れた。
やがて、調律者は柔らかい息を漏らし、沈黙を破る。
「{Male=……そうだな、これから話し合いをしていけばいい;Female=……そうだね、これから話し合いをしていこう}」
生きることよりも大事なもの
白昼夢を見る者は、夜に昇る太陽を見た。

演算コアとして活動範囲が地下に制限される前、ショアキーパーはブラックショアの他の場所にも足を運んだことがある。
文明が発展していくなかで、調律者は組織に「ブラックショア」と名付け、多くの仲間を集めた。ショアキーパーは、仲間が持ち帰った残響を分析するための演算を行っていた。
再現されたソノラのなかで、ショアキーパーは全知の観測者だった。望めばいつでも自由にデータを遡り、人の行動や反応を見られる。そんな彼女は、他の物事と同じように人の行動を分析しようとしたが、失敗に終わってしまう。ショアキーパーは、理解に苦しんだ。
なぜ喜んでいる時も悲しんでいる時も、同じように涙を流すのか。なぜ望み通りに行動しないのか。なぜ後悔すると分かっていながら先に進むのか。なぜ不可能だと知りながら諦めないのか。なぜ躊躇せず他人を傷つけたかと思えば、他人のために犠牲となるのか……そこに規則性はなかった。何らかの結論を出そうとしても、それを覆す行動が観測される。彼女は困惑したが、疑問が残っていても支障をきたさないため、見切りをつけようとした。そんな時、ある場所で確認された悲鳴の前兆を確認をするために、現地まで足を運ばないかと調律者に誘いを受ける。「データを収集しながら、何か問題があれば解決しよう」と。

ちょうど作物が実りを迎える季節だった。ショアキーパーは調律者と共に畑近くを歩いていた。土は柔らかく見えたがしっかりとしており、垂れ下がった麦の穂は粒がぎっしり詰まっている。風が吹くたびに、稲穂の熟した香りが漂ってきた。全て、ソノラで認識していたはずが、奇妙なことにまったく違って見える……その感覚に驚いたショアキーパーは、初めて家の外に出た子どものような驚きを見せた。顔からは興奮した様子が伝わってくる。調律者は地元の人々と親しげに言葉を交わす。方言交じりの他愛もない会話をしていると、心優しいお婆さんが手料理を分けてくれた。彼女の手はゴツゴツしていて、抱かれる赤ちゃんの手のひらは汗でしっとりとしていた。
しばらくして、テティスが示した通り、全てを飲み込む災いが発生した。
村人は混乱に陥ると、泣き叫び物資を奪い合い、険悪な顔を見せる……この日、ショアキーパーは人の反応を初めて直接観測した。悲鳴が発生した影響で、人はどう変化するのか知った。
調律者もショアキーパーの予想と異なる行動をした。{Male=彼;Female=彼女}は集まってきた共鳴者と共に残像に立ち向かい、増援が到着するまで守り抜こうと皆を励ました。定められし結末を変えるために。なぜ赤の他人のために、これほど力を尽くすのか。テティスは「明日、起こる変化は決定している。我々は、それを変えるべきではない」と言っていたにもかかわらず。

「{Male=俺;Female=私}は無関心のままではいられない。これが明日を繋ぐために必要な代償なら、そんな明日なんて来なくていい」
「……理解できない。けど、いかなる状況であれ、あなたの望みが最優先」」
黒い髪と金の瞳を持つ者の隣りで、ショアキーパーは星図を広げ治療と防御の領域を展開した。

日が暮れる頃、ようやく増援が到着した。二人はその場を離れようとしていると、両親を失ってしまった子どもに声をかけられた。
「ま、待って。行っちゃうの?僕も一緒に悪者と戦いたい!」
少年の黒く輝く瞳を見つめる調律者は、目線を合わせてから胸元の黒花を指差す。
「{Male=俺;Female=私}たちと一緒に戦うには、まだ早すぎる。大きくなってからも気持ちが変わらなければ、この花を持っている人を探すといい」」
二人は桟橋から手を振る少年に見送られながら、船で出発した。今日だけで不思議な行動に何度も戸惑ったショアキーパーは、気持ちを打ち明ける。
「テティスは演算を行わなかった。あの子は選ばれていない」
「演算は、あくまでも参考。人は予想を超える可能性を持っている。それに、今は選ばれていなかったとしても、未来のことは誰にも分らない。あの子は、いずれ自分で答えを見つける」
「何かを選択する自由は、答えを与えられるよりも大事なんだ。あなたにも、いつか分かるかもしれない」
「自分の目で見て、手で触れてほしい。データや記録に存在するものが全てじゃないから。{Male=そうだな、;Female=そうだね、}みんなを仲間だと考えてみるのは?」
「仲間……」
ショアキーパーは、無意識に言葉を漏らす。調律者から命令を受けたわけではなかったが、自分の心にほんの僅かな変化を感じた。彼女にとって、初めての感情だった。
「人がこんなにも不思議な生き物とは……果たして、分かる日は来るのか」
待つ時間よりも長く感じるもの
私のためには嘆かないで。どこかへ消えたわけではない。けど、私はそこにいないから。

ロボットたちからドロネーという名前を聞くと、ショアキーパーは全ての情報をすぐに思い出した。確かにエナジー体は情報の保存や記録に長けているが、ドロネーはそれだけ特別な存在だった。なぜなら、彼女は自らブラックショアを見つけ、加入を申し出てきた数少ない存在だからだ。
明るく快活な少女は、ここに辿り着くまでの苦労を興奮気味に話し始める。「きっと誰かが悲鳴を止めてるって、私は信じてたよ!」と誇らしげに。
最高権限を持っている調律者は、旅に出た直後。地上で活動していたショアキーパーの手を、少女は目を輝かせながら握ってくる。その瞳や手は、火傷しそうなほど熱かった。しかし、ブラックショアに参加したいと熱く語る様子を見て、どう反応すれば良いのか分からなかった。
ショアキーパーはドロネーの意思を尊重して、彼女に選考の資格を与えた。テティスの演算による決定ではないが、調律者の言う「可能性」を思い出し、こうするべきだと感じたからだ。少女の気持ちを無駄にしないために。こうしてドロネーは、晴れて選考に合格してブラックショアのメンバーとなった。

しかし、このような状況でドロネーと再会するとは、微塵も思っていなかった。
十数年の時を経て、快活な少女は落ち着きを持った大人の女性に成長していたのだ。ショアキーパーに向かって、ドロネーは震える手を伸ばす。その腹部には穴が空いており、血が止めどなく流れていた。彼女の命は今にも尽きようとしている。誰もが直感的にそう思った。
「悲鳴が発生して、残像を8体倒したところまでは……けど、テヴァラたちは運が悪かった。これは、倒した残像のデータ。受け取ってほしい……」
別れの時が刻一刻と迫っている。その場にいる者は皆、厳しい表情をしていた。ショアキーパーとドロネーの関係性を他の人たちは知らないはずだが、特別な仲であることを察して、その場を少し離れる。

「あれから、もうこんなに時間が経ったとは……あの日は、今でも思い出せる」
「私、うまくやれたかな……?それとも、ガッカリさせちゃった?」
ドロネーの声は少し震えていたが、その瞳は出会った日と同じように輝いていた。調律者なら、どう応えるだろう。……分からなかった。お手本は存在しない。ショアキーパーはドロネーと目が合うたび、胸が締め付けられ、言葉にできない感情が込み上げてきた。そして、あの日と同じように例外的な行動を無意識に取る。
「お疲れ様。よくやった……本当に」
彼女は自分の口で言葉を紡ぎ、自ら手を伸ばす。こうすれば、彼女は喜んでくれるはずだと感じたのだ。その手は、少女だった日と変わらぬ温かさを持っていた。
「ありがとう……ありがとう、ショアキーパー」
安心したのか、ドロネーの体から力が抜けた。そして、ゆっくりと語りかける。「きれいな星ね……私も、いつか星の仲間になれるかな……そうすれば、空からあなたを見守れるし、あなたに見つけてもらえるから」
最後の涙は、彼女の体温を盗んでいった。

その後、ショアキーパーは亡くなった仲間の周波数を「星」にして、輝きを空に残す。今となっては、きっかけを忘れるくらい当然のように。波に打たれ黒花が枯れてしまっても、空だけは永遠だった。これからも、星は輝き続ける。
星空の下で、ショアキーパーは明るく照らされたブラックショアに立ち、遠くを眺めていた。調律者が自分に権限を渡した選択は正しかったのか。自らの行動は正しかったのか。あの人が託してくれたブラックショアを守れているのか。どれだけ帰りを待っているのだろうか……いくら悩んだところで、ただ待つしかなかった。
無限のループから始まる
あなたに、私が守ってきたこのコアを渡す——これは、言葉を持たず、夢と交わらず、時の流れや喜び、苦難にも染まらない不変の存在。

事後救済だけでは、被害を被った人にとって不十分だ。そこで悲鳴のデータを収集し、発生後に危機を収束させるのではなく、発生そのものを阻止する試みを調律者は行った。{Male=彼;Female=彼女}はショアキーパーをはじめブラックショアのメンバーを率い、悲鳴の発生前に警報を出せるようになったが、成功率は全体の10%にも満たなかった。
メビウスの輪から抜け出し、さらなる可能性を求めて、調律者はある決定を行う。
それは、別れを伴う選択だった。
調律者は記憶を捨て、ブラックショアの外で漂泊の旅をする道を選んだ。これまで共に進んできた仲間たちは、当然のように{Male=彼;Female=彼女}の足跡を追いかけた。
しかし、ショアキーパーだけは留まった。
これで良かった、こうするべきだった。彼女にしかできないことが、ここにはあるからだ。ブラックショアはテティスシステムの「悲鳴を悲鳴で予測する」アルゴリズムを放棄したが、次なる手段の検討とそれに必要な演算が求められていた。調律者から権限を受け継いだショアキーパーは、まさに最適な存在。
一人ひとり、自らが道を選んだ。ショアキーパーも例外ではない。エナジーで構成された存在として、彼女は重要なコアとなる。テティスに送られてきた悲鳴のあらゆるデータをショアキーパーは解析していく。そのたびに、ショアキーパーは被害に遭った人たちと同じ苦しみを味わっている。



鬱屈、抵抗、枯渇、壊死。
怯えた鳥は落ちながら、虚ろな目で大地を見つめる。
苦難、混乱、喪失、消滅。
散りゆく花は押しつぶされ、美しい生命は形を失う。硬直した手で何かを掴もうと、不自然に歪む。
恐怖、憎悪、憤怒、怨恨。
一点の亀裂は、やがて大きな地割れとなる。体の奥底から、何かが砕ける音が響き続ける……「ガシャン、ガシャン」と。
苦痛?苦痛……苦痛、苦痛!
過去に発生した全て、現在発生している全てが、彼女に集約する。輝きを失った不完全な体が、徐々に崩れていく感覚を静かに味わう。

しかし、問題はない。道具は使えるものと使えないものとが存在するだけ。当然、いつかは壊れる。エナジーで構成された体は、再構成すればいい。次のショアキーパーは、いつでも用意できる。
大丈夫、問題はない。
選択は収束する。あなたもメビウスの輪の一部。多くの者は知らない事実を、あなたは最初から知っていた。使命を与える前から、結末は決まっている。
……なのに、諦めきれなかった。
これが、未練?

「初めて外に出てから、あなたは変わった。{Male=俺にはよく分かる;Female=私にはよく分かる}」
「テティスの指し示すものを、そのまま受け入れなくなった。疑問を抱いたら、それを口にするようにもなった」
「これまで、{Male=俺;Female=私}が直接答えることはなかった。なぜなら、自分で答えを見つけてほしいから。でも、今日は違う。別れる前に、{Male=俺;Female=私}の考えを伝えなければならない」
「この岸が持つ意味は?最高権限を持つ管理者として、{Male=俺;Female=私}は励ましの言葉を贈るべきだと分かっている。けど、これだけは忘れないでほしい。この島を、ブラックショアを……みんなの家にしたいんだ」
「ここは、始まりの場所。{Male=俺たち;Female=私たち}は仲間だ……いつまでも、ずっと」

大丈夫なわけがなかった。
あの星空の下で、あなたが私を目覚めさせた。
あなたと畑を歩いた。
あなたは答えを探すよう言った。
あなたの秘密を、そして岸を守り、帰りを待った。
他の誰でもない、あなたの私が。

無限のループが突然の終わりを迎える。彼女はデータの海から顔を出すと、大きく息を吸い込んだ。何も失いたくなかった。ここに留まっていたくなかった。まだ消えたくなかった。なぜなら――

私はショアキーパー。
あなたのために生まれた。
あなたが仲間に受け入れてくれた。
あなたと共に歩んできた全ての経験、記憶、感情を今も忘れない。
あなたのおかげで、唯一無二の存在になった――私は、ショアキーパー。
最後のショアキーパー
あなたは、まるで静寂と星が浮かぶ夜空のよう。

長い時を経て、私たちの岸に再び帰ってきた。 記憶は失っていたが、{Male=彼;Female=彼女}は同じ選択をした。そしてテティスの過ちを正すと、ネクロ・スターの人々に安息が訪れた。
しかし、ただ喜ぶだけにはいかず、戸惑いの感情が入り交じっていた。彼らが与えてくれたもの、テティスが下したもの、調律者が教えてくれたもの……それらは、今日までの道のり。これから先に訪れるであろう未来は分からない。ショアキーパーは賑やかなメンバーを横目に、そっと会場を離れる。気がついたら、いつもの海辺に辿り着いていた。
当てもなく歩き続ける。これは、漂泊の旅に出た調律者を待つ間にできた習慣だった。彼女に睡眠は不要だった。それならば、海を眺め懐かしい時間を思い出していたかった。あの人が帰ってくる時まで、全てを心で覚えておくために。

いつもと変わらない景色。昼も夜も、目に映るのは星空。足元から続く暗い道の先に、ショアキーパーは手を伸ばす。すると、何かが変わったことに気づく。生まれたばかりの存在が、自分の進むべき道を悟るように。右も左も分からないはずが、答えを導き出す感覚。
選び取る自由を手に入れた。この世界は、誰のものでもない。
「何を望む?何を満たす?」
「満ちる」
「満ちよ」
「満ちた」
彼女に導かれた数々の星が、囁いてきた。音もなく寄り添う光が、始まりの予感を告げる。

足音が近づいてくる。あの人は、最初からそうだった。ほんの些細な変化にも気づく。{Male=彼;Female=彼女}は、いつものように隣に並んだ。
今度こそ、自分から沈黙を破ると決めた。
「次に会った時、名前を考える約束をした」
「答えは決まった?」
「……ショアキーパー。秘密を保持し、岸を浸食から守る者というより、漂泊する者を見守り続ける者、という意味」
「この物語で私は、漂泊の旅が終わる時に迎え入れる岸でありたい」
「それと……」少女は口元に笑みを浮かべながら、珍しくもったいぶった。
「私たちが奏でたメロディを曲にした」
「名前もつけてある。今度、聞いてもらいたい」

ショアキーパー のボイスライン

心の声・その一
あなたが離れた後、何度も何度も再会の情景を想像し、あなたに問いかけた。変わらず元気に過ごしていますか?計画を達成することは叶いましたか?でも、今あなたに伝えたい言葉はこれだけ……「この海岸に……私のもとに帰ってきてくれて……ありがとう」
心の声・その二
時間は黒い花を折り、海岸と星図に変化をもたらす。私はそれを観測し、記録している。悪い変化を遅らせ、良い変化を見守る……この行為は皆の助けになっているのでしょうか?あなたの言いつけ通り、ブラックショアを守れているのでしょうか?確かめる方法はない……あまりにも長い時間を待った。私は時間と戦っていたのかもしれない。
心の声・その三
あなたの過去については……私から伝えることはできない。あなたと約束したから。あなたは約束を忘れている。それでも私は記録し続ける。これまでも、これからも。
心の声・その四
夢は人間の願いの具現であり、私には願いがない。だから、私は人間のように夢を見ることがない……そう思っていた。ある日、あなたと一緒に見知らぬ場所を歩く私を見た。日差しを浴びながら、私に周りの物事や過去のことを教え、苦くないお茶を出す朗らかなあなたの姿……それが夢だったのかどうかは判らない。でも、私はあの瞬間がいつまでも続くことを望んでいる。
心の声・その五
次ここを発つ時は……私も一緒に行っていい?遠くからあなたの顔を見たり、あなたの声を聞いたりするだけでなく、あなたのそばにいて、もっと様々な国と風景を見て、そして、今までしなかったことをしたい。物語の主人公とその仲間みたいに……どう?
好きなこと
鍵盤を沈めると、弦が振動し音を立てる。私が処理した他の周波数と違い、ピアノの音はとても簡潔で明確でわかりやすい。欲しい音符のために、対応する鍵盤を押す。そうやって、自分の感情を明確にわかりやすく伝えられたら……私も自分の曲を作ることができたら、まずあなたに聞いてほしい。
悩み
身を以て体験していないことは、本当に認識したとは言えない。私とは無縁の成長と老化。その過程でのみ感じ取れる感情を理解できることはない。どれだけ本を読んで、ソノラで他人の人生を再現したとしても、それだけはどうしてもわからないまま。
好きな食べ物
遠い昔……あなたがまだブラックショアにいた時、皆に海の幸と牛乳と野菜を使ってシチューを作ってくれたことがある。そのシチューを飲み、「ポカポカ」という単語の意味を理解した。寒い海風に奪われた皆の体力を戻すシチュー……私も何度も作ったけど、どうしてもあなたのようにうまくできなかった。
嫌いな食べ物
嫌い……とまでは言えないけど、梅漬けといった漬け物は意図的に避けるようにしている。塩、またはそういった調味料を使うことにより、賞味期限は長くなるが、発酵食品特有の匂いと味を帯びるようになる。それは……「新鮮ではない」ということを想起させる。
私の使命は、私という存在が生まれる以前に定められていた。それは、果てしない潮汐の中で海岸を建てること。そして、悲鳴に打ち克つ未来が訪れるまで、それを守ること。例え、今はもうその指示を受けていなくても、私はそれを実行し続ける。ショアキーパーは組織外の個体ではなく、ブラックショアに所属する一員だから。災いを避けたい、皆を守りたい、この世界との繋がりを持ち続けたい。これが、私の意志。
伝えたいこと・その一
私の胸元の結晶、気になる?これは装飾ではなく、私の体内のエナジーが体外に現れ形成された亀裂。それを通じて、私のコアに至ることができる。そう、果実の芯や人間の心臓みたいに、このコアも私の命の源である。
伝えたいこと・その二
反響エナジーが集まり形成される疑似生命体の結晶。それは月の光と波が岸を打つ音を浴び……そして、呼吸と鼓動の音が鳴り始めた。その音の主は、自分の周波数で結晶を活性化させる。繭を破り蝶が現れる……そうやって私は、あなたによって始まった。
ツバキについて
彼女の言動は矛盾しているようだけど、「自分の欲望に忠実」という点は一貫している。確かに、彼女のような自由も悪くない。でも、私は彼女と異なる役割を持つ。だから、私はあなたのように彼女と接している——つまり、彼女に選択の自由を与え続けている。
アールトについて
組織には交渉術に長け、たくさんの繋がりを持つ人が必要。ブラックショアにとって、アールトとはそういう人。必要な情報を適した時期与えてくれる。散漫な外見の下に、悲鳴に抗う強い決意を秘めている。それこそが、彼がブラックショアに参加する理由。
アンコについて
アンコの目には、いつも幻想の物語が映っている。勇者、騎士、小さな冒険者……物語でなら、あの子は何にでもなれる。やがては魔王をも倒す。負の感情に対抗する想像の力……これが人間の言う「生命力」?あの子がテティスに選ばれた理由もそこにあるのかもしれない。
ブラックショアについて
悲鳴の観測に最も相応しい「特異点」。そこに聳える島のような黒石と黒い花を持つ人々……それがブラックショア。人類は星々を跋扈する悲鳴に抗い続ける。例え深淵に落ちようとも、最後まで光を放ち、道を照らし続ける……そのような出会いと別れを、私は何度も経験してきた。
テティスについて
私と同じ、テティスもあの文明の産物。私たちは同じ起源を持ち、同じ目的のために作られた存在。人間の基準に当てはめれば、同類と言えなくもない。しかし、残念なことに……感情、人類、命に対する見解がまったく違う。それが私たちの相違点。そして、分岐点でもある。
誕生日祝い
お誕生日おめでとう、{PlayerName}。人間の生まれる日は特別な意味を持つ日。あなたがそう教えてくれた。だから、この日のために少し準備をした。この結晶は私の体の一部。これを握り締めると、あなたのために用意されたソノラ……あなたの思うように姿を変えるソノラが発生する。あなたが望む結末を与えることはできない。それでも、あなたには幸せな夢を見てほしい。
余暇・その一
ふーん……何かが起こっている?
余暇・その二
台詞なし
余暇・その三
道を見つけるまで、星々は黙したまま。
自己紹介
あなたが覚えていなくても大丈夫。何度でも紹介してあげるから。私はショアキーパー、ブラックショアの代行者であり、テティスを補佐する演算装置。ブラックショアのすべてを守る、その中には当然あなたも含まれている。だから、これから私はずっとあなたのそばにいる。そう、昔のように。
最初の音
ショアキーパー、いい名前。あなたのための決意と信念を感じる。
チームに編入・その一
わかった。あなたがそう望むのなら。
チームに編入・その二
指示でも、そうでなくても、従う。
チームに編入・その三
救済の希望が残る地へ。
突破・その一
遠くの地から帰還を果たしたあなたは、命あるものに新風を吹き込んだ。私はそれを通じて、かつて理解できなかった境地に辿り着いた。
突破・その二
エナジーは紡績機の上を流れる糸のように、止まることなく形を変えていく。その糸をあなたが操り、新しい私を織り成した。
突破・その三
結晶が明るくなっている。そう、あなたの体温が、こうして手のひらから、私の胸元に伝わってくる。
突破・その四
あなたのおかげで、最も重要なものを手に入れた気がする。それは限りなく人間の「魂」に近い。
突破・その五
私には心臓がないのに、あなたを見ていると、なぜか胸元から「トクン、トクン」と鼓動のような音がする。それは繭を破る蝶の羽ばたきや、恒星が誕生する時の奔流に近い。一瞬の衝撃ではなく、次第に強まる渇望。もっとあなたからもらいたい、ずっとあなたのそばにいたい……この渇きが人間の言う「愛」だと私は確信している。
重撃・1
破壊。
重撃・2
消却。
共鳴スキル・1
心配しないで。
共鳴スキル・2
平気。
共鳴スキル・3
大丈夫。
共鳴スキル・4
私がいる。
共鳴解放・1
アド・アストラ。
共鳴解放・2
新生を授ける。
共鳴解放・3
星の唄よ。
共鳴解放・4
これが、「心」。
共鳴解放・5
この身を以て、誓いを為す。
共鳴解放・6
終の契りを告げる。
変奏スキル
終わりにする。
ダメージ・1
大事ない。
ダメージ・2
これが、痛み。
重傷・1
機体損傷。
重傷・2
機能低下。
重傷・3
妨害は、許されない。
戦闘不能・1
まだ、終わっていない……
戦闘不能・2
悲しまないで。
戦闘不能・3
限度……超過。
音骸スキル・召喚
入力。
音骸スキル・変身
融合。
敵に遭遇
指示を。
滑空
風を感じる。
スキャン
現れたね。
補給獲得・1
欲しいの、ある?
補給獲得・2
あなたの役に立つのなら。
補給獲得・3
忘れ去られた音。