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情報

穂穂

穂穂 VA

中国語: Sun Yanqi
日本語: 福圓美里
韓国語: Park Ji Yoon
英語: Emily Piggford

穂穂 のフォルテ調査報告

共鳴力

山河の宴

共鳴評価報告

「共鳴能力測定報告 RA1034-G」 被験者の音痕は額の中央に位置し、具体的な共鳴現象としては周囲の水と共振でき、水域内における流れの軌跡や位置エネルギーの分布を感知でき、大気中の水気や雨露、渓流などを集めて、制御下の水域を形成できる。激しい豪雨を小雨へと変え、荒れ狂う奔流をも静かな流れへと導くことができる。 その共鳴周波数は高い一貫性を示しており、共鳴力を発動すると水扇と水袖は流れるように舞い、波たゆたう山河の景観を織り成す。それはまるで千里に及ぶ画巻を現実へと引き寄せたかのようである。 被験サンプルのラベル曲線は緩やかな上昇傾向を示し、最終的に滑らかな高値域の波動へと収束している。検査結果は自然型共鳴者と判断される。 「ほとんど乱れや断層は見られず、周波数全体も終始緩やかで安定している……ふむ、被験者本人の気質によく一致していますね。」――華胥研究院の医師との談話より抜粋

オーバークロック診断報告

被験サンプルの波形は規則的な楕円形を呈しており、全体として均整が取れている。異常な乱れや不規則な変動は認められない。 診断結果:オーバークロック限界値は低い。被験者は共鳴周波数に対する耐負荷性が高く、暴走の危険性は認められない。 遡り検査の結果によると、オーバークロック歴は確認されない。 スペクトル全体の趨勢から推測すると、被験者は芯が強く、感情の変動に左右されにくい。高度な自己制御能力を備えた人物であると評価される。

穂穂 の大切なアイテム&好物

翠玉の玉佩
翠玉の玉佩
穂穂が幼い頃から好んで集めている美しい装飾品。色鮮やかに染められた羽根も、きらきらと輝く玉も、すべて自分の小さな箱へ大切にしまい込んでいた。年月が経つにつれ、箱の中の宝物は少しずつ増えていき、穂穂はそれらを使って秧秧を飾り立てるのを何よりの楽しみにしていた。 箱の中でいちばんのお気に入りといえば、やはり両親から贈られた碧玉の佩玉だろう。水のようにしっとりとした碧色の玉は、翼を広げた飛鳥の姿に彫られており、今にも空へ飛び立ちそうに見える。「碧玉を身に佩き、心は大空を目指す。重明鳥のごとく羽ばたき、澄んだ目で己の道を見失わぬように」
「太平有象」
「太平有象」
この扇子は、夢州の名工によって作られたものだ。扇面には細やかな碧糸と金糸で山河の景色が刺繍されている――遠山は黛のように霞み、近くの水辺には薄く靄がたなびく。数匹の錦鯉が水草の間を悠々と泳ぎ、その眺めは実に美しい。穂穂が初めて商会を任された年、商会は一度、すべてが覆りかねない大きな危機に見舞われた。競合する商会は手を組んで圧力をかけ、盟友たちも次々と離れていく。穂穂は三日三晩書斎に籠もり、敗北を認める契約書に署名しかけるほど追い詰められていた。 だが四日目の朝、気分を変えようと窓を開けたとき、ふと机の上に置かれたこの古い扇子が目に入った。それは、彼女が商いの世界に足を踏み入れたばかりの頃、初めて稼いだ金で買った品だった。 「――この山河を、この手に収めてみせるわ」かつてそう胸に誓ったことを思い出し、穂穂は扇子を握って共鳴力を流し込んだ。すると扇面の水紋がゆるやかに揺れ始める。それを見つめるうちに、絡まり合っていた思考も少しずつ静まっていった。 結局、その危機を穂穂は乗り越えた。それ以来、この扇子は常に彼女の傍らにある。扇面に広がる波濤、空を舞う鳥、水を泳ぐ魚。その景色を眺めるたび、穂穂は自分の愛する太平の世を見ているような気持ちになるのだった。
姉妹箋
姉妹箋
穂穂が12歳の頃、秧秧と一緒に桃の花の汁で二帖の詩箋を染め上げたことがある。穂穂は筆を握り、詩箋の隅に寄り添う二羽の小鳥を一生懸命描いた――右が自分、左が妹だ。 その後、秧秧は今州へ渡り、踏白となった。一方の穂穂は変わらず各地を巡って商いを続けている。二人はときおり手紙を送り合い、穂穂は妹から届く手紙を一通一通丁寧に畳んで、その姉妹箋に挟んでいた。 それから幾年もの月日が流れた。あの詩箋はとうに使い切ってしまったが、最後の一枚だけはどうしても使う気になれず、今も書斎の机に大切にしまわれている。隅に描かれた二羽の小鳥はすでに少し色褪せているが、何度も指先でなぞられてきたせいか、どこか以前よりも柔らかく見えた。妹の手紙を取り出して読むたびに、穂穂は思う。たとえ千里を隔てていても、あの拙い筆致で描かれた二羽の小鳥だけは、いつまでも寄り添ったままなのだと。

穂穂 のストーリー

のどかな春の日。明庭の庭には花が咲き誇っていた。
穂穂は絵筆を手に、机の前に突っ伏している。頬には赤褐色の絵の具がひと筋こすりつけられていた。しばらく夢中になって絵を描いていた穂穂は、ようやく身を起こし、自分の大作を眺める――紙の上には青や藍、そして赤褐色の絵の具が重なり合い、何を描いたのかは定かではない。それでも、どこか温もりを感じさせる絵だった。穂穂は満足そうに頷くと、絵を手に外へ駆け出した。スカートの裾が風を巻き起こし、紙はぱらぱらとめくれながら、さらさらと音を立てていた。

「秧秧!秧秧――」

その一枚の絵は、あっという間に秧秧の手へと渡った。穂穂は琴の置かれた机に両手をつき、妹の顔を見つめる。
「何を描いたか分かる?」
秧秧はしばらく絵を眺めると、まず右側の金色のものに指先で触れ、それから左側の白いものに触れた。「……寄り添っている2羽の小鳥かな?」
穂穂は目を光らせ、机を叩いた。
「そうよ!小鳥なの!これだから大人たちは見る目がないんだから。みんなヒヨコだって言うのよ!」
「ヒヨコじゃありません」秧秧は絵を机に置き、首をかしげながら見つめる。
「ヒヨコさんの尻尾は下がっています。でも、この小鳥さんの尻尾は立っています」
「でしょう!」穂穂は妹を抱き上げて回りたいほどだった、「秧秧以外、誰も分からなかったんだから!」
秧秧は褒められても得意げな顔はせず、口元にかすかな笑みを浮かべただけだった。そして手を伸ばし、右側の淡い金色の小鳥を指差す。
「この子は姉さんですか?」
「そう!右が私で、左は秧秧なの!」
穂穂も絵の前に来て、筆で左側の真っ白い鳥を指した。
「ほら、秧秧みたいにちっちゃいでしょう?」

あの春の日々、穂穂はいつもこんなふうに過ぎていった。窓の外には咲きたての花々が棚いっぱいに咲き誇り、ピンクと白の花が、葉っぱを押し下げているほどだった。風が吹き抜けると、花びらがひらひらと舞い落ち、琴の机に、絵に、そして姉妹二人の髪先に落ちる。日の光が柔らかく差し込み、庭にあるすべてのものが薄い蜜色で染まっている。鳥は軒下で遊び、琴の音とともに軽やかで明るくさえずる。穂穂はそんな春ののどかな景色の中で机に突っ伏してぼんやり過ごしたり、廊下に座って画用紙を高く掲げ、陽の光に透かしながら色が溶け合う様子を眺めたりしていた……。
あの頃は、本当に時の流れがゆっくりだった。軒下の光と影が少しずつ移ろい、そうしているうちに午後は過ぎていく――そしてふと気がつけば、いつの間にか数十もの春の日々に別れを告げていた。
夏に入ると、庭はまるで蒸されているかのような暑さだった。
蝉の声が朝から晩まで途切れることなく耳にまとわりつき、止む気配もない。軒先の花々もぐったりとして見え、それは今の穂穂の気分とどこか似ていた。彼女は窓辺にもたれ、強い日差しに照らされながら、白く霞んだ空を見上げている。秧秧は後ろの腰掛けに座り、琴の練習をしていた。すでに七、八度も繰り返している秧秧の琴の音は、熱気に歪められているかのように感じられる。穂穂はしばらくそれを聞いていたが、これ以上ここにいれば、自分の頭まであの琴の音のように溶けてしまいそうだと思った。
「姉さん、出かけるんですか?」穂穂が立ち上がる気配に気づき、秧秧が手を止める。
「川辺に行ってくるわ」穂穂は家を出て、長い髪を振らしながら振り向いて妹に微笑んでみせた。
「家の中はあまりにも蒸し暑いから、風に当たりに行くの」
「でも外は日差しは強いですよ……」
「平気よ!」との声は、庭の曲がり角から聞こえてきた。

川は家からそう遠くない。通りを二本抜ければすぐに着く距離だ。穂穂は足が速く、扇子を握りしめながらぱたぱたと手のひらを打っていた。川の土手に着くや否や、ほのかな潤いを含んだ涼風が、水草の甘い香りとともに吹き抜けてくる。
川辺には多くの人が集まっていた。近くの屋台では中年の店主がそろばんを弾いており、珠の音がぱちぱちと響き、口では数字を唱えている。穂穂は頬杖をついてしばらく眺めていたが、いつの間にか少しずつ近づいていた。顔を上げると店主と目が合い、驚いたように言う。
「どこの家の娘だ?」
「劉店主、全部で三百二十七巻きでしょう?」穂穂は問いには答えず、先に数字を言った。
劉店主は帳簿と穂穂を交互に見て、再び顔を上げた。髭に隠れた口元をわずかに歪めた。
「俺のそろばんで数えたのか?」
「そろばんを見る必要なんてないわ。あなたが言った数字を私が暗算したの」
穂穂は楽しげで、まるで怯まない。
「さっきの茶葉は百六斤半でしょう?それも聞こえていたもの」
劉店主はそろばんを机に置き、穂穂を一通り見やった。
「お前……うちの店で働かないか?」
「お給料はどれくらい出してくれるの?」
隣の人々はそれを聞いて笑いだし、劉店主も思わずつられて笑い、扇子の骨で穂穂の額を軽くつついた。
「このおませさんが……もういい加減どっか行きな、邪魔だよ」
穂穂はそれを聞いても怒らず、再び扇子を揺らしながら隣の薬材の屋台へと歩いていった。そこには水路で運ばれてきた薬材がずらりと並んでいる。穂穂は気になって尋ねた。
「陸路で運んだ方が、もっと早いんじゃないの?」
「それはもちろんだ。だがな、陸路は揺れが激しい。薬材はもろいからな、壊れてしまったら、売り物にならない」
穂穂は薬材を一つ手に取り、軽く匂いを確かめると、そっと元の場所へ戻した。水路なら七日、陸路なら三日。しかし、途中で傷めば大きな損失になる。時間の短さと安全性を秤にかけるような取引だ――そう考えると、穂穂にはそれが妙に面白く思えた。
やがて日はゆっくりと沈み、川辺の人々も一人、また一人と帰っていく。
最後の貨物船が縄を解き、帆を風に膨らませた。船の影は、散りばめた金のように輝く水面を滑りながら遠ざかっていく。
穂穂はなお石段に腰掛けたまま、扇子を動かす手も止めていた。
見上げれば、船は浅瀬を抜け、沖へ出て、やがて視界の中で小さな点になっていく。
「どこへ向かう船なんだろう……」
答える者はいない。だが穂穂の中には、すでに一つの答えがあった。
あの船は食料や布、薬材を積み、北から、南から、山から、水辺から集まったものを運んでいく。川を渡り、山を越え、まだ見ぬ遠い場所へ――自分がまだ行ったことのない場所へ。

「いつか私も、あの船に乗りたい。船首に立って、荷の目録を手にして」
日が完全に暮れる前に、穂穂は立ち上がり、スカートの埃を払った。夕日に温められた石段には、まだかすかなぬくもりが残っている。振り返れば、川の向こうに夜が広がり、そこにいくつもの灯火が揺れていた。なんと美しく、そして恋しい太平の世だろうか、と彼女は思った。
明庭の秋、風が枯れ葉を窓辺に巻き上げては、また遠くへと運んでいく。まるで誰かにめくられる古い書物のように。
秧秧はもうすぐここを出る。今州へ、踏白になるために行く。その話が決まってから、すでに半月が経っていた。家族は口には出さないものの、それぞれがどこか落ち着かず、準備に追われている。まるで彼女の旅立ちに備えること自体が務めであるかのように。
穂穂は部屋で、妹の荷物をまとめていた。クスノキの箱は半日ほど開け放たれたままで、中には昨年干されたヨモギが敷かれている。わずかな苦みを含んだ香りが、かすかに鼻をかすめた。穂穂は服を一枚ずつ広げては、丁寧に畳み直していく。窓の外では虫の声が途切れずに響き、秋の訪れを惜しんでいるかのようだった。

クスノキの気配が混じる秋の日差しが、穂穂の手の甲にやわらかく落ちる。ふと視線を上げると、部屋の柱が目に入った。
そこには無数の刻み跡がある。膝の高さから、耳のあたりまで。
一番低い二つは、七歳と九歳の秧秧のものだ。父がしゃがみ込み、慎重に刻んだ痕で、怪我をさせぬよう浅く彫られている。
その頃の秧秧はまだ一人では立てず、柱に掴まらなければならなかった。穂穂はそれを覚えている。小さな体でありながら聡明で、見ているだけで胸が誇らしくなるほどだった――この子は私の妹だ、と。
その上に刻まれているのが、穂穂自身の痕だ。十四歳の年。家を出て世間に出たいと言い、さらに医を学びたいと口にした頃だった。
父は止めなかったが、この柱の前に半日立たせた。刻まれる傷を見つめながら、穂穂は自分の成長を確かめていた。
だが今になって思えば、その歩みは速いようで遅い。背は伸びたが、まだ一人で世を渡るには経験が足りない。学ぶべきことは多い。
秧秧の痕跡も上に行くほど多くなっていく。去年の旧暦師走の頃に秧秧が自分で刻んだものだ。もう今の穂穂より指半分しか低くなくなっている。今年の春を迎えてからは、もうほとんど同じ背丈になっている。

庭からまばらに鳥のさえずりが聞こえてくる。穂穂が戸を押し開けて外へ出ると、秋の日差しがほのかな温もりを帯びて頬を照らした。軒下の青い雀が枝から飛び立ち、羽ばたきながら数枚の枯れ葉を散らしていく。
その頃、秧秧は庭の向こうからやって来ていた。階段の前でふと足を止め、廊下に立つ姉の姿を見つけると、そのまま歩み寄ってくる。穂穂もまた、彼女に微笑み返した。
「いつ出立するの?」
「明日の朝です」
穂穂は小さく「そう」とだけ答えた。本当はまだ何か言いたかったが、言葉は喉元で消えてしまう。代わりに手を伸ばし、秧秧の外套の襟を整えた。秧秧は身じろぎもせず、穂穂の手が離れるのを待ってから、小さく言った。
「また帰ってきますから」
穂穂は笑って言う。「行ってらっしゃい。今州は風が強いから、体には気を付けてね」
それに「はい」と答える秧秧。ちょうど両親に呼ばれ、秧秧はそちらへ向かう。歩みは速くなく、背筋はまっすぐ伸びていて、すでに踏白として振る舞うことに慣れているかのようだった。
こうして廊下には、また穂穂ひとりが残された。青い背の小鳥はいつの間にか戻り、再び枝にとまって二度ほど鳴いた。葉は階段に幾重にも積もっていく。穂穂はかがんで一枚を拾い上げ、どの本に挟もうかと考えたが、結局どこでも同じだと思い直す。
どうせ秋は、やがて過ぎ去っていくものだから。

穂穂が立ち上がると、院の外から遠く馬の嘶きが聞こえた。まるで今州の方角からの残響のように。あり得ないと分かっていながら、穂穂はしばらくその音に耳を澄ませ、やがてようやく部屋へ戻る。
クスノキの箱はまだ開いたままだった、まるで穂穂が閉めるのを待っているかのように。
夢州の冬はめったに雪が降らない。しかしよりによってこの年に、たった半日で湖面は雪に軽く覆われた。船頭が櫂を漕ぐ手が遅く、終始口を開くことはなかった。
穂穂が船首に座り、膝には白磁の急須が置かれている。急須の口から立ち込める湯気は出るなり消え散っていく。穂穂は向こうに座っている人に一杯注いだ、そして自分の目の前の湯のみにも注いだ。お茶の湯が湯のみに落ちる音はとても軽いが、櫂の音よりは大きく聞こえる。
商談は順調ではなかった。相手は自分の利益を譲りたがらないでいる。そしてこの対局はすでに3日も続いた。今朝、穂穂は相手に、一旦商談のことは置いておいて、船で湖を見に行かないかという旨の書き付けを送った。しかし、相手はなかなか来ない。日が暮れかけた時になって、やっと灰色のマントを羽織って現れた。上船した時も軽く頷いた程度の挨拶しかしなかった。
小舟は湖の中央へと流れていく。湖面には薄い靄が立ち込め、遠くの山影も少しずつ霞んでいった。
せっかくの穏やかなひとときだ。穂穂はもう商いの話を持ち出さなかった。彼女はいつだって場の空気を読むのがうまい。だから穂穂は、まず故郷の話から始めた。底の石一つひとつまで見えるほど澄み切った川のこと。幼い頃、河岸で商隊の荷下ろしを眺めていたこと。高く積み上げられた麻袋は自分の背丈をはるかに超え、大人たちは岸辺で帳面を広げ、そろばんを弾いていた。その乾いた音がたまらなく好きだったこと。そして、家を離れた年に降った雨のこと。しとしとと降り続く雨の向こうでは、見送りに来てくれた両親の顔さえよく見えなかった――。
そんな遠い日の記憶は、一艘の小舟に揺られながら、時を越えて夢州の雪に覆われた湖へと辿り着いていた。
「私にとって、たくさんのものを見てきたからこそ、この人の世はいっそう愛おしく思えるの」穂穂はそう言って続けた。「だから私は、良いものを本当に必要としている場所へ届けたい。食糧は飢えに苦しむ人々のもとへ、薬材は病に伏す人々のもとへ、布は寒さに耐える人々のもとへ。でも、それらが勝手に歩いて必要な人の手へ届くわけじゃない。誰かがそれらを結びつけ、運ばなければならないの。私は、ただ眺めているだけの人にはなりたくないわ」
相手は答えなかった。ただ湯呑みを膝の上に置き直し、横顔を湖へ向ける。穂穂は、その指先が湯呑みの縁を強く握っては緩め、緩めてはまた握り直すのを見ていた。やがて漏れたのは、かすかな吐息ひとつだけだった。船が岸へ着いた頃になって、穂穂はようやく雪がさらに強くなっていることに気づいた。夢州の雪は綿毛のように細やかで、まるで誰かが空から綿をほぐして落としているかのようだった。相手は石段を上りかけてふと振り返り、穂穂を一瞥した。
「続きはまた明日」
そう言い残すと傘を開き、雪の帳の向こうへと消えていく。雪景色の中へ溶けていく灰色の背中を見送りながら、穂穂は悟っていた。――この商談に、ようやく転機が訪れたのだと。

穂穂は岸辺にしばらく佇んだのち、その場を離れて湖の東にある住居へ戻った。家に入ってから初めて、靴の底が完全に濡れていることに気付く。穂穂は囲炉裏の前で火を起こした。火は、少し火花を散らしたらようやくついた。熱気が炭から昇り、穂穂の手の甲を、そして頬を温めた。窓の外の雪は今も音なく舞い落ちている。穂穂は囲炉裏のそばで座り、ゆっくりまぶたを閉じた。
故郷の夏の夢を見た。まだ日差しが白くまばゆかった、家は木の香りすらするほどに焼かれていた。商隊は固形茶を卸し、船員たちは塩の袋を背負っている。銅銭が店の机に置かれ、チリンチリンと楽器の音よりもいい音色だった。子どもの穂穂は大人の腰くらいの身長しかなかった、帳場の窓の下で、爪立ちして窓の中を見ていた。あまりにも見入ってしまったせいで、呼ばれても答えず、ただただ目を光らせていただけだった。
あの頃の穂穂は、商いというものが何なのかすら知らなかった。ただ、この世でいちばん面白いことがすべてこの窓の向こうにある――そんなふうに感じていた。帳場の中にいた人は穂穂に気づくと、ふっと笑い、筆立てから使い込まれた古い筆を一本抜き取って差し出した。穂穂はそれを受け取る。その筆は指よりも太く、手の中でずっしりと重かった。それでも穂穂は大事そうに握りしめたまま、ゆっくりと窓辺から身を起こす。銅銭の触れ合う音、馬鈴の響き、店先の呼び声、船頭たちの威勢のいい掛け声、そんな音のすべてが押し寄せ、小さな穂穂を包み込んだ。穂穂は思わず笑みをこぼした。目を細めるほどに、その胸は喜びでいっぱいだった。
彼女が歩んできた季節
夕暮れになると、玄方地界は暮れの色に染まっていく。
穂穂は靴音を鳴らし町の中をゆっくりと歩いている。まだ日が暮れきらぬ頃の街は、淡いあかね色に覆われる。軒にぶら下がっている灯ろうはまだつかず、軽く風に揺れているだけ。屋台も一つずつ片付けられ、行き交う人々は皆忙しくしている。たまに人のお喋りの声も聞こえるが、はっきりとは聞こえない。夕日に向かって歩いていく穂穂の後ろには、長い影が付いている。

もうすぐ朝月会が開かれる時期だ。通りの店先には色とりどりの絹織物が積み上げられ、店の者たちが忙しく運び出している。女将は扉にもたれながら、微笑みを浮かべて数を数えていた。子どもたちは穂穂の脇を駆け抜け、街角で湯気を立てる機巧鍋の前を通るたび、決まって足を止める。熱々の料理を見つめながら唾を飲み込み、名残惜しそうに去っていくのだ。穂穂は顎に手を添えて少し考えた。その店が売っているのは「紅霞の旨辛肉団子」だった。湯気をまとった肉団子には鮮やかな青ねぎが散らされ、整然と蒸籠に並んでいる。その様子はたしかに人の食欲を誘う。穂穂は肉団子に指差した。
「紅霞の旨辛肉団子を一皿ちょうだい」
店主は顔を上げると、目の前に立つ若い娘を見てにっこりと笑った。穂穂は紅霞の旨辛肉団子を受け取って代金を払い、それからさらに数枚のシェルコインを差し出した。
「さっきここを通っていった子たちにも、一人一つずつあげてちょうだい」
穂穂は袋を持ち上げながら、軽い調子で言った。
「私が買ったことは内緒でお願いね」
店主が一瞬呆気に取られているうちに、穂穂はもう人混みの中へ紛れてしまっていた。

日が完全に暮れると、茶屋にも次々と灯がともり始めた。温かな黄色の明かりが窓からこぼれ、地面をやわらかく照らしている。穂穂は熱々の肉団子を提げながら、そんな灯りを踏むように進んでいく。風に吹かれて耳元の髪が頬にかかっても、それを払う手はない。
今日は少し急いでいたせいで、水扇を持たずに出かけてしまった。でも穂穂は気にした様子もなく、かすかに微笑む。何せ、穂穂に扇子を使わせるような事態などそうそうないからだ。本当の緊急事態なら、玄方城を守るために戦ったあの数日のうちに、すでに過ぎ去っている。今の日々は、また以前の穏やかな日常へと戻っていた。こうして街を歩き、人々がどのようにありふれた夕暮れを過ごしているのかを眺められるほどに。
穂穂は少し足を速めた。
あの狭い路地を抜け、その先の橋を渡れば着く。あそこには妹がいて、そしてあの人もいる。二人のいる場所にも、ここと同じように灯りがともっているだろうか。二人はこの料理を気に入ってくれるだろうか。穂穂はそんなことを考えていた。
彼女は明庭で、水面がきらきらと揺れる美しい春と夏を過ごした。幼い頃の穂穂は、人いきれと喧騒の中を駆け回り、風に長い髪をなびかせていた。彼女の目に映るのは、生き生きとした人々の営みばかりだった。
そして夢州では、湖霧の立つ朝に舟の上で商談をし、雪の夕暮れには一人窓辺に座って、囲炉裏の火に温まりながら、遥か故郷から届いた手紙を何度も読み返した。墨の文字が熱気に滲んで見えるほどに。そんな秋と冬も過ごした。
そして今、穂穂は今日という夜へ辿り着いた。
今踏みしめているのは玄方地界の道。手には、大切な人のために用意した食べ物がある。
穂穂は袋を提げる手を持ち替え、さらに足を速めた。路地の奥から吹き抜ける風が袖を揺らす。街のあちこちには朧な灯りがともっている。穂穂は目を細め、道を急いだ。
橋はもうすぐそこだ。

穂穂 のボイスライン

心の声・その一
「雲は青青として雨降らんと欲し、水は澹澹として煙を生ず」……見てちょうだい、今日の霧雨の景色はどうかしら?夢州城で行商をしてた頃、こういう天気の日はよくあったわ。でも、玄方城とも、私の故郷の景色とも違う……もしかしたら、この世に降り注いできた雨も、町によってちょっとずつ違うのかもしれないわね。細雨は道路に落ちたら水しぶきになるけど、数十年前の私には、雨が私を呼んでるように聞こえたわ。今となっては、水を意のままに流したり、止めたり……少し弄れば言うことを聞いてくれるけど。
だから今は、雨の中を歩いてる時に、傘を差すことも雨宿りすることもなくなったわ。雨は顔馴染みのようなものだから。
心の声・その二
故郷と言えば……子どもの時、明庭にいた頃の話を思い出すわ。あれは草も茂り、鳥たちも空を飛び始める3月よ。段々と日が長くなるから、私は秧秧を連れて一緒に凧揚げをしてたの。風が立つと、糸がピーンと張って、遠い空の上の雲を掴んでるかのようだったわ。でもね、私はもっと高く飛ばすために、いつもたくさん走ってた。ほかの人の凧より高くないと気が済まないの。庭の鳥たちのさえずりやキラキラと私の体を彩る木漏れ日……全部、記憶の中で一番素晴らしい景色よ。
心の声・その三
あの頃の春は、風が和やかで空も澄み渡ってたわ。たまに悠然とした楽曲が庭に聞こえてくるの。知ってるでしょ?うちは音楽に満ち溢れてるの。家のどこにいても、様々な楽器の音が流れる水のように耳に入ってくる。もちろん、父も母も、私のわがままを責めなかったわ。毎日の練習を強制されたことは一度もなかった。けど、秧秧は違う。あの子は子どもの時から、丸一曲を最後まで静かに聞いていたり、大人の真似をして小さな手で膝に拍を取ったりしてたわ……あの子に比べて、私は広くて明るい場所で舞いを踊るのが好きなのよ。足を回し、風に乗って袖を振りながら踊っていると、陽の光や周りの景色を全部抱きしめているようで、すごく気持ちがいいの。
心の声・その四
庭の外は、また別の世界ね。私は港に行くのが好きなの。貨物船が岸に着いて、係留ロープを木製の杭にきつく繋げる音や商人が大きく叫びながら何かを売る声、そろばんの玉がパチパチぶつかる音……そのどれもが、どんな楽曲よりも私の心を魅了していたの。それ以外にも、屋台の前で帳簿を見て、色々と考えてるように振る舞いながら計算したり、地図を開いて適当な場所を指差しながら、「この道は遠回りよ、水路なら2日早く着けるわ」なんて言ったり……大人たちは最初、子どもの遊びだと思って真面目に受け取ってくれなかったけど、少しずつ私の言葉にも一理あると気付いてくれた。母が父に笑いながら言ってたわ、「もしかしたら、穂穂には商売の才能があるかもしれない」って。そうね、あなたはどう思うかしら?
心の声・その五
昔は、ただ賑やかな世界としか思わなかったけど、たくさん経験したり見届けたりして、ようやく理解したの。「太平の世」が当たり前じゃないことを。維持するにはみんなの努力が欠かせないくらい、弱く脆いものだったのね。私は太平を守れる人になりたい。この地も、ここに住むみんなも、全部が愛おしいから。だからこそ、いつまでも同じ場所にいちゃいけないわ。でも、知ってるの。私一人の力は、たかが知れてることくらい。災害を受けた村、居場所を失ってしまった人々、そしてどれだけ貨物があっても満たされることのない不足を、私は全部この目で見てきた……どれも、私一人の力じゃどうにもできなかった。
ねぇ……いつか本当に、この山河を賭け金にしなければならない日が来たら、夢にまで見た理想の未来を、私と一緒に紡いでくれる人は現れると思うかしら?
私は太平で繁栄する世を求めてるの。そして、あなたの瞳には、それが現実になる可能性を見た。
だから、あなたさえよければ……私と同じ道を歩んでもらえると嬉しいわ。
好きなこと
そうね……結構あるわ。最近は骨董品や絵画を嗜んでるのよ。巷の模造品も、あれで風情があるわ――自分の目で確かめないと、分からないこともあるのよ。巷のやり方には、何度も驚かされたわ。実は私も少し描いてみたんだけど、なかなかいい出来だったから、見てみないかしら?
悩み
悩み、ね……ほとんどの悩みはお金でなんとかできるけど、ひとつだけ悩んでるわ。妹が大きくなったら、どうすればいいの?はぁ……いつの間にか、私の手を引いてくれなくなったのよ。
好きな食べ物
それはもちろん、色々なお菓子ね!エンドウで作られた蒸しケーキやインゲン豆の餡入りのもの、それと柔らかいお餅も最高だわ。甘さはほどほどで、口に入れたらすぐ融けるのよ……そして、ここ夢州の「雪映えの満月」ってお菓子も好きだわ。モチモチでふんわりした香りは、私の故郷の味と全然違うわ。いつか実家に持ち帰って、みんなにも食べてみてもらおうかしら。
嫌いな食べ物
夢州に来て長いけど、漬け物には慣れないわ……はぁ、残念ね。どれも透き通ってるうえに、とてもきれいに作られてるのに、見てるだけで食べられないなんて……本当に残念だわ。
私は別に、この地の富を求めてるわけじゃないわ。貨物をスムーズに運輸できて、人々が自由に出かけられる。そして、先の世代も安住できるような町にしていきたいと思ってるの。
伝えたいこと・その一
水餃子、おいで……ねぇ、見て。この子、面白いでしょ?この子は水が大好きなの。私が共鳴能力を使って水の流れをコントロールしてる時、水餃子はいつもこうやって辺りを飛び回るのよ……ふふっ、小鳥はそういうもの。あやしやすいんだから。
伝えたいこと・その二
私が思うままに行動することを両親はいつも許してくれてたけど、商人になると決めたのは気まぐれじゃないの。最初は町に行って、店主たちがどうやってルールを決め、商売をしてるのか聞いたりしてたわ。そこから自分もやってみて、帳簿の数字が変わったり、元々はなかった商売事が増えていったりする様子を見届けてたわ。そして私の手を経由した貨物から、食料や布が人の手に渡り、薬材になるところを見た時……とても達成感を感じたわ。商売は数字の計算だけじゃなくて、人が生きていくために必要な手段よ。
秧秧について
子どもの頃から言われ続けてきたわ。私と秧秧は顔だけが瓜二つで、性格は全然違うって。私は出かけることが好きなの。何かあったら、いつも野次馬になってたくらいよ。秧秧は私よりも優しくて内気だわ。二人の違いがどんどん大きくなるにつれて、周りはからかってきた。本当に実の姉妹なのか、なんてね。まぁでも、私も秧秧もそういうからかいには腹を立てることはなかったわ。だって、私たちは知ってるもの。この世には、私たちほど似通った人は存在しないって。私の妹は、見た目こそ優しくて弱そうだけど、実は誰よりも勇敢で気骨があるの。私は知ってるわ、あの子は風をもたらす人でもあり、後ろにいる仲間のために風を防ぐことも厭わない人でもあることを。
心について
瑝瓏の他の場所の歳主と違って、心は何だか……神様なのに手が届きそうに思えてくるわ。それどころか、彼女には「人」としての一部を垣間見ることさえできる。心が世界をあまねく愛してることを知ってるからこそ、私は何の疑いもなく、彼女の目の前に行ったのかもしれないわね。
清宵について
私の商隊から報告を受けたんだけど、玄方地界の近くで残像に囲まれて困ってる時、とある「仙人」に助けられたらしいの。この前、ちょっとしたお礼を用意して、清宵司騎を訪ねたわ。街を守ってくれた分も合わせて感謝するつもりだったのに、私が淹れたお茶だけ飲んで、お礼の品は何も受け取ってくれなかったのよ。あれ?そういえば、仙人も好んで飲むお茶ってことは、なかなかいい商機になると思わないかしら?
景燃について
「提灯下げの化け猫」……巷では、随分と大層な名前で噂されてるようね。なんでも、薄暗い提灯を下げて、黒ずくめの姿で影のように行ったり来たりと……その身振りから、どこか幽冥な気配を感じるとか……私も彼とは数回しか会ったことがないの。見た目は若いけど、たくさん大変な経験をしてるように感じたわ。一筋縄ではいかないかもしれないけど、自由気ままな性格には興味がそそられてしまったわね――そういう人には、大事にしてる何かや自由を制限できる何かがないのかしら。
母親について
母のことを話す時、みんなは「作曲の名手」って呼ぶわ。でも私にとって、母は雨の日になると廊下に座って、私と秧秧を抱きながら、世界各地の物語を聞かせてくれる愛しい母親に過ぎない。いつも物語の続きを聞きたくて母を急かしてたんだけど、年下の秧秧は完全には理解してないような顔で、大人しく母を見つめてるだけだったわ……ふふっ、私たちはこんな風に過ごして育ったのよ。
父親について
この世には、うちの父ほど融通が利く父親は存在しないんじゃないかって思ってるわ。先生なのに、教師ぶって説教したことは一度もないもの。それに、話し上手で、いつも面白いことを言って、普通の会話すら物語を聞いてるかのように感じるの。父からもらった手紙を読むと、毎回笑ってしまうわ――遥か遠くで起きた出来事も、父の手にかかれば、隣で起きたことのように賑やかに感じるの。どうかしら、時間があったら明庭に遊びに行きましょ?あそこの景色も、とてもきれいなのよ。最上のお茶でおもてなしをしてあげるわ。
誕生日祝い
今日はあなたの誕辰ね、もちろん覚えてるわ。
最初は大きな宴でも開いて、たくさん料理を作って友達を誘おうと思ってたんだけど、やっぱりやめたわ。賑やかな宴は、いつでも開けるもの。今日という日くらい、自由に過ごしてほしいわ。やっぱり賑やかなほうがいいなら、賑やかな場所に行けばいいけど、静かなほうがいいなら、一人で過ごせばいいの。せっかくのいい日だから、わがままを言わないともったいないわよ。
私は欲張りなの。いい日はゆっくり過ごしたいと思うし、いい出会いは一時の賑やかさに留まらないと思ってるわ。この世界は広い、時間もたくさんあるわ。机いっぱいの美味しい料理が食べたい時も、お茶を少し飲みたいだけの時も、私に言ってちょうだい。
あなたの毎日が、今日のように楽しくて幸せな日でありますように……いつでも自由に進むことができて、その道のりの先に光があるよう祈ってるわ。
余暇・その一
よく見るのよ、水餃子……どうかしら?生き生きしてるでしょう。
余暇・その二
人々の営みが豊かに、世界が安泰でありますように。
余暇・その三
台詞なし。
自己紹介
未来に通ずる道を作れないなら、山河を心の賭け金にするわ。
最初の音
せせらぎの流れる先……春の山、そっと抱いて。
チームに編入・その一
ちょうどいいわ。
チームに編入・その二
この局面……面白いじゃない。
チームに編入・その三
潮時ね。
突破・その一
聞こえたわ……水の音、せせらぎや雨の音じゃなくて、もっと深い……万物の奥底から滲み出る共鳴、谷川を呼び起こす音。
突破・その二
しとしと細雨が落ちてくる夢州では、出かける人々の手にはいつも油紙傘が握られてるわ。軒下で雨宿りをする人もいるけど、私は構わず雨の中をゆっくり歩くの。雨は糸のように私の肩から滑り落ち、どこかへ消えていく……ええ、もっと私に近寄れば、傘なんて必要ないわ。
突破・その三
この世界で私の心を一番打つものは、目の前に広がるこの光景よ。朝、陽の光が暖かく川を照らし、水面が金を浮かばせてるかのように輝く。川には漁船が何隻か漂い、オールの音だけが聞こえてくる。そして市場が開くと、熱々の饅頭が白い湯気と共に香りを放つ。近くの茶屋から聞こえてくる音楽や子どもたちがじゃれ合う声……今の私には、聞くだけじゃなくて、後ろに存在する脈絡も感じられるようになったわ。絡み合う声や音の一つひとつは、何よりも愛しい日々の営みだもの。
突破・その四
商売を簡単に言うと、売り買いすることでしょう?商売は、すべての家庭と繋がってるのよ。北の作物に南のお茶、山の薬材、水辺の布――裁縫のように、一つひとつのものを誰かの手で繋ぐ必要があるの。こっちの余りで、あっちの不足を補うように。普段は見られない貨物の行き来も、実は多くの手のように、この社会の、人々の営みを支えてるわ……水は石を穿つこともできれば、万物を潤すこともできる。商人も同じよ、利を求めることもある一方、社会の役に立つこともする。それが、私のやりたいこと。
突破・その五
この山河は絵のように美しく、人々は賑やかに行き交う……一人で眺めるのは寂しいけど、誰かと一緒ならちょうどいいわ。だから……これからの風景は、一緒に見に行きましょう。無限に広がるこの世界には、見たことのないたくさんの風景が、私たちを待ってるはずよ。
通常攻撃・1
潤う春風。
通常攻撃・2
美しき彩雲。
通常攻撃・3
盈盈たる一水。
通常攻撃・4
霧雨止まば。
通常攻撃・5
櫂の音聞こゆ。
通常攻撃・6
雲、山に隠れ。
通常攻撃・7
渚、月に満つ。
通常攻撃・8
一葉の船。
通常攻撃・9
青き山乗せて。
重撃・1
鐘の音、水渡り。
重撃・2
霧、山漂い。
重撃・3
澄み渡るは絹の川。
空中攻撃・1
霞、衣濡らす。
空中攻撃・2
鳥、青銜ゆる。
空中攻撃・3
絵の如し。
共鳴スキル・1
華麗な絶景。
共鳴スキル・2
水天一碧。
共鳴スキル・3
染めるわ……山水の色を。
共鳴解放・1
水と雲、清く瑠璃の如く。
共鳴解放・2
浮雲、朝露、清らかに。
共鳴解放・3
山間をたゆたうは、渚の霞。
変奏スキル・1
流れに沿って。
変奏スキル・2
山水の導き!
変奏スキル・3
旅路を絵にするわ。
変奏スキル・4
私の出番ね、秧秧。
変奏スキル・5
風に乗り、舞い降りて。
回避・1
遅いわ。
回避・2
水の流れよ。
回避・3
見えるかしら?
回避反撃
焦りすぎね。
ダメージ・1
しくじったわ。
ダメージ・2
間合いを間違えたわ……
重傷・1
服が汚れるところだったじゃない……
重傷・2
この借り……覚えておくわ。
戦闘不能・1
この世が名残惜しいわ……
戦闘不能・2
この光景も、終わりみたいね……
戦闘不能・3
私の旅路は、ここまでのようね……
音骸スキル・召喚
おいで、仕事の時間よ。
音骸スキル・変身
まだ楽しめてないのかしら?
敵に遭遇
ふふっ、今度はどんな手を披露してくれるのかしら?
滑空
賑やかな営みが、すべてこの目に。
スキャン
見抜いたわ。
ダッシュ
今日は吉日ね。
補給獲得・1
上質なものね。
補給獲得・2
あら、今日は運がいいみたいね。
補給獲得・3
とても質が良さそうだわ。