情報
鎖暝
鎖暝 VA
中国語: 葛子瑞
日本語: 大久保瑠美
韓国語: Son Jeong Min
英語: Miracle Chance
鎖暝 のフォルテ調査報告
共鳴力
十重の契
共鳴評価報告
「夢州 諦天鑑 ・共鳴者プロフィール」
……
この周波数を封じる術は、他者の周波数の一端を錠に収めることができ、本人が心から認めて初めて契を結ぶことができる。或いは、命が尽きかけ、意識が散りゆく間際であれば、その意志が弱まった隙に周波数を封じることも可能。
周波数があれば、その異能を借りて行使することができる。ただし、それはあくまでも残滓に過ぎず、本来の威力には及ばない。また、一つの身体に収められる周波数は最大で十本まで。そのため、扱える異能も十種までとなる。
……
「つまり、鎖暝州監は異なる周波数を十個も封じ込めていて、玄朱錠を開ければ、その周波数の主の共鳴能力を一部使えるってことか?」
「たぶんな。百年前の資料だから、読むのも結構骨が折れる……道理で整理し直せって言われたわけだ」
「なあ、もし鎖暝州監が各州の『歳主 』から周波数をもらえたら、めちゃくちゃ強くなるんじゃないか?」
「馬鹿言え。報告書には、封じ込められるのはほんの一部の周波数だけって書いてあるだろ。『歳主』みたいな格の相手じゃ、封じ込めても権能を使えるほどの量にはならない」
「『歳主』はさすがに大げさか。でも、そこらの強者の周波数ならいけるんじゃないか?なんで鎖暝州監はそうしないんだ?」
「たぶん今では、錠に収めた周波数を解放することしかできないんだろうな。本人にとって、契を結べるのは……あの九人だけなんだろう」
オーバークロック診断報告
「夢州 諦天鑑 ・共鳴者プロフィール」
……
ラベル波形は楕円形を呈し、時間領域は安定しており、異常は見られない。
オーバークロック 域は極めて高く、周波数も安定している。オーバークロックの懸念はなく、過去にオーバークロックした記録もない。
ただ、周波数の波が比較的弱めであり、共鳴エナジーに減衰の兆候が見られるため、留意しておく必要がある。
……
「安定……何も言うことはないな。スペクトルの波形はおろか、鎖暝州監の口元の角度が変わったことすら、一度も見たことがない」
「お前……その大げさな物言いは何とかできないのか?重要なのはこっちだ。『共鳴エナジーに減衰の兆候が見られる』ってところ、変だと思わないか?」
「確かに。これは百年ほど前の記録だ。もうずいぶん経ってるし、当時の検査にミスがあったんじゃないのか?」
「そうかもしれない。だが、もし記録に間違いがないのなら……共鳴エナジーが衰えている鎖暝州監は、どうやって百年もの間、生きてこられたんだろう……」
鎖暝 の大切なアイテム&好物

九方の故影
二ノ契と出会った後、鎖暝は彼に機巧兵器を一つ作ってほしいと頼んだ。二ノ契は当初、双刀や剣などを提案した。そんな武器を骨組みとして、その上でまたよろずの変化を生み出すという案だった。しかし、鎖暝はただ一言、「傘が一番良いと思うのう」と答えた。
二ノ契はそれを聞いてしばらく考えると、鎖暝の言葉の意味を理解した。嵐をもたらす「悪瘴」を前に、華亭には人々を風雨から守る一本の傘が必要なのだ。
こうして、後に「九方の故影」と呼ばれる機巧傘が生まれた。その傘は長い武器にも、短い武器にも、自由自在な武器へと姿を変え、小さな暗器として遠くの敵を狙うこともできれば、展開して堅牢な盾となり、敵の攻撃を防ぐこともできる。百の機巧、千の変化をもって、いかなる難にも応えるのである。

玄朱錠
鎖暝が「十重の契」を使用しようとする時、相手に心から認めてもらう必要があるうえ、自らも精神を割いて力を維持しなければならない。少しでも気が散ると、借り受けた異能はたちまち消え失せる。奇妙な術ではあるものの、使える機会はそう多くなかった。
やがて禁鎖の十契と少しずつ絆を深めていく中で、鎖暝は自らの手で玄朱錠を作った。玄朱錠は、十二本の玄黒の柱と八枚の朱紅の蓋から成る。全部で十の錠があり、一ノ契から九ノ契に対応する九錠のほか、もう一錠には「悪瘴」を封じ込めた。この玄朱錠によって、鎖暝は九契の力を常に身に宿せるようになり、制約に縛られることもなくなった。
この錠が作られる前から、鎖暝はすでに幾分かの私心を抱いていた――たとえいつの日か、彼らが皆、去っていくことになろうとも、この錠を手放したくはない、と……

玲瓏の玉飾り
四ノ契が鎖暝とともに屋敷を離れる際、持ち出した旧物はたった一つだった――玲瓏玉からインスピレーションを得て、球状の機巧錠の構造を取り入れて作られた髪飾りである。もともとは夢州 の高官たちが彼女の一族に贈った宝物の一つだったが、四ノ契がそれを選んだのは、鎖暝の赤い髪に一番似合うと思ったからだった。
それ以来、鎖暝の髪を梳かすことは四ノ契の「特権」となり、後には九ノ契も加わった。「悪瘴」が時折静まると、二人は鎖暝の髪を結いながら、その日にあった出来事や他愛もない話を語り合った。
今では、鎖暝は髪を結うたび、四ノ契と九ノ契の玄朱錠を取り出してはそばに置き、その日に経験した出来事を言い聞かせるようにしている。まるで今でも、あの二人はそばにいて、彼女の髪を結いながら、世の中の出来事を楽しげに語ってくれているかのように。
鎖暝 のストーリー
町に帰る
雨水が鎖暝の目に沁みる。最後にもう一度両親の顔を見られるよう、彼女は肩で目尻の雫を拭った。それがすでに「悪瘴」に蝕まれ、面影のない姿であっても。そして、自分の背丈ほどもある鉄のシャベルを握りしめ、最後の一掬いの土をそっとかぶせた。墓の向こう側では、後に一ノ契となる少女もシャベルを下ろした。幼い頃より鎖暝の両親の世話になっていた彼女にとって、二人は親も同然だった。
「これから……私たちはどうすればいいの?」
鎖暝は遠くに目をやり、漆黒の雨の帳の中、固く閉ざされた華亭の城門を指差した。
「あやつらは門を閉ざし、我々を『悪瘴』の餌食にした……妾は、皆を連れ戻す」
しかし、華亭の城外はすでに見捨てられた土地となっていた。「悪瘴」の脅威だけでなく、賊や悪党が徒党を組み、幅を利かせている。鎖暝は華亭の外にある村々を一つひとつ歩き回り、家を失った孤児、悪党に追い払われた民、「悪瘴」にすべてを奪われた生存者たちを目にした……城外の民には新たな秩序が必要だった。そして鎖暝にも、人々の暮らしを維持するための物資と拠点が必要だった。そこで彼女は賊や悪党を追い払い、「悪瘴」に立ち向かい村を守りきった。歳月が流れるにつれ、ますます多くの人々が彼女のもとに集まってきた。華亭の城外にも、彼らが生活できる場所ができた。鎖暝もまた、万全の準備を整えていた……
ようやく、その時が来る。その日、「悪瘴」が再び押し寄せた。華亭の守衛軍はいつものように、城内に引きこもって脅威から目を背けていた。彼らの務めは人を救うことではなく、城門を守り、誰一人として中へ入れないことだった。
鎖暝は一人、「悪瘴」とともに現れた残像 に立ち向かった。その一方で、一ノ契は人に作らせていた「千鈞機」を持って城門へ向かった。機巧が動き出す音とともに、「千鈞機」は固く閉ざされた城門をゆっくりとこじ開けた。次の瞬間、待ちわびていた人々が華亭の城内へと押し寄せた。鎖暝が最後の残象を斬り伏せ、城門をくぐった時、兵士たちは武器を固く握りしめ、民衆と対峙していた。怯えた様子で、早く城門を閉めるよう民衆を急かしている――まるで、その門がある限り、「悪瘴」という名の災厄が、華亭の町に降りかかることはないと言わんばかりに。
鎖暝の視線は、不安に怯える人々を越え、軒を連ねる家々を越え、最後には町の中央に高くそびえる屋敷へと向けられた。それは華亭の主簿の邸宅だった。風雨にさらされる城内にあってもなお綺羅びやかな姿を保っている。
鎖暝は軽く頷いた。長年にわたって思い描いてきた道は、この時ようやく、第一歩を踏み出した。
「これから……私たちはどうすればいいの?」
鎖暝は遠くに目をやり、漆黒の雨の帳の中、固く閉ざされた華亭の城門を指差した。
「あやつらは門を閉ざし、我々を『悪瘴』の餌食にした……妾は、皆を連れ戻す」
しかし、華亭の城外はすでに見捨てられた土地となっていた。「悪瘴」の脅威だけでなく、賊や悪党が徒党を組み、幅を利かせている。鎖暝は華亭の外にある村々を一つひとつ歩き回り、家を失った孤児、悪党に追い払われた民、「悪瘴」にすべてを奪われた生存者たちを目にした……城外の民には新たな秩序が必要だった。そして鎖暝にも、人々の暮らしを維持するための物資と拠点が必要だった。そこで彼女は賊や悪党を追い払い、「悪瘴」に立ち向かい村を守りきった。歳月が流れるにつれ、ますます多くの人々が彼女のもとに集まってきた。華亭の城外にも、彼らが生活できる場所ができた。鎖暝もまた、万全の準備を整えていた……
ようやく、その時が来る。その日、「悪瘴」が再び押し寄せた。華亭の守衛軍はいつものように、城内に引きこもって脅威から目を背けていた。彼らの務めは人を救うことではなく、城門を守り、誰一人として中へ入れないことだった。
鎖暝は一人、「悪瘴」とともに現れた
鎖暝の視線は、不安に怯える人々を越え、軒を連ねる家々を越え、最後には町の中央に高くそびえる屋敷へと向けられた。それは華亭の主簿の邸宅だった。風雨にさらされる城内にあってもなお綺羅びやかな姿を保っている。
鎖暝は軽く頷いた。長年にわたって思い描いてきた道は、この時ようやく、第一歩を踏み出した。
契を集める
鎖暝には分かっていた。華亭に押し入り、主簿を討ち取ること自体は難しくない。だが、町の勢力は複雑に絡み合っている。主簿が死んだところで、華亭が安定するとは限らない。それに、このような行動を取った自分が、民の支持や信頼を得ることは難しい。そこで鎖暝は、主簿を裏で支えている権力者たちに狙いを定めた。
最初の標的は、町で威勢を振るう刀客だった。刀術に秀で、強大な共鳴能力を持つその男の斬撃は、鉄さえ泥のように斬り裂く。主簿に大金で招かれてからは、その威勢を借りて徒党を集め、町で主簿に不満を抱く者たちも、彼の刃を恐れていた。
鎖暝が彼を見つけた時、刀客は酒楼で酒を浴びるように飲み、遊興に耽っていた。従者たちは、やって来たのが小柄な娘にすぎないと見るや、安易に鎖暝を通し、笑いながら続けた、「子どもにも酒が飲めるのか?」と。
それから間もなく、酒楼の窓が轟音とともに砕け散った。あの刀客は鎖暝によって二階から投げ飛ばされ、長い通りに叩きつけられていた。強者を慕って集まった徒党の者たちは、しばし声を失う。そしてようやく、数日前に聞いた西の城門の噂話を思い出した――大勢を率いて城内へ押し入ったのが、背の低い赤髪の少女だった、と。
酔いの醒めた刀客は身を起こし、鎖暝と何十手にわたって激しく戦った。しかし、最後には力尽きて敗れた。鎖暝は彼に問いかけた。「これほどの武芸を身につけておきながら、なぜ悪人に使われる?妾についてくるのじゃ。ともに『悪瘴』を祓おうぞ」
三ノ契になった後、彼はこう語っている。当時、鎖暝がどのような志を抱いているかなど、気にも留めていなかった。ただ、強者でありながら弱者を虐げない彼女の姿に心服し、自分の振る舞いを恥じたのだと。
主簿の武力を削いだ鎖暝は、今度は別の勢力へと目を向けた。それは華亭屈指の豪商の一族であり、代々、玉や錦などの商いをしていた。商品は特に珍奇なものではないが、尽きることのない品揃えを武器に富を築いていた。鎖暝は当初、その財力を借りようと屋敷を訪れ、そこで一族の令嬢と出会った。その少女は僅かな言葉しか語らなかったが、すべて屋敷の外のことばかりだった。言葉を濁していたのは、あまり口外できない事情があるからである。
一ノ契は異変を察し、一旦様子見するよう鎖暝に勧めた。しかし、当主が「『悪瘴』に囲まれたことも、天が与えた好機に違いない。これを機に買い占めて値上がりを待てばいい」と笑っていたのを聞いた鎖暝は、すでに心を決めていた。その夜、彼女は屋敷へ忍び込み、少女を連れ出して、その口から真実を知った。
少女には物を模造する異能があった。一族はその力によって莫大な富を蓄え、そのために少女を生涯、屋敷の奥へ閉じ込めていた。珍品が運び込まれるたび、少女は一つずつ模造するよう命じられた。「悪瘴」によって町が封鎖されてからは、少女はますます尽きることのない富を生み出す宝の泉と化していた。長きにわたる監禁と、休む間もない共鳴エナジーの搾取によって、彼女の心はとうに枯れ果てていた。
鎖暝は少女に告げた。
「其方をここから連れ出すことはできる。だが、自由以外に、妾から与えられるものは何もない」
少女は迷うことなく、その手を取った。
後に、四ノ契が鎖暝の髪を梳かすたび、鎖暝はよく嘆いた。
「もしあの時、其方を屋敷から連れ出すだけにしておればよかった。このようなことにまで巻き込むべきではなかったのう」
しかし四ノ契はいつも首を横に振り、鎖暝の赤い髪を結いながら、新たに綴った詩を静かに詠み、自らの感謝を伝えるのだった。
最初の標的は、町で威勢を振るう刀客だった。刀術に秀で、強大な共鳴能力を持つその男の斬撃は、鉄さえ泥のように斬り裂く。主簿に大金で招かれてからは、その威勢を借りて徒党を集め、町で主簿に不満を抱く者たちも、彼の刃を恐れていた。
鎖暝が彼を見つけた時、刀客は酒楼で酒を浴びるように飲み、遊興に耽っていた。従者たちは、やって来たのが小柄な娘にすぎないと見るや、安易に鎖暝を通し、笑いながら続けた、「子どもにも酒が飲めるのか?」と。
それから間もなく、酒楼の窓が轟音とともに砕け散った。あの刀客は鎖暝によって二階から投げ飛ばされ、長い通りに叩きつけられていた。強者を慕って集まった徒党の者たちは、しばし声を失う。そしてようやく、数日前に聞いた西の城門の噂話を思い出した――大勢を率いて城内へ押し入ったのが、背の低い赤髪の少女だった、と。
酔いの醒めた刀客は身を起こし、鎖暝と何十手にわたって激しく戦った。しかし、最後には力尽きて敗れた。鎖暝は彼に問いかけた。「これほどの武芸を身につけておきながら、なぜ悪人に使われる?妾についてくるのじゃ。ともに『悪瘴』を祓おうぞ」
三ノ契になった後、彼はこう語っている。当時、鎖暝がどのような志を抱いているかなど、気にも留めていなかった。ただ、強者でありながら弱者を虐げない彼女の姿に心服し、自分の振る舞いを恥じたのだと。
主簿の武力を削いだ鎖暝は、今度は別の勢力へと目を向けた。それは華亭屈指の豪商の一族であり、代々、玉や錦などの商いをしていた。商品は特に珍奇なものではないが、尽きることのない品揃えを武器に富を築いていた。鎖暝は当初、その財力を借りようと屋敷を訪れ、そこで一族の令嬢と出会った。その少女は僅かな言葉しか語らなかったが、すべて屋敷の外のことばかりだった。言葉を濁していたのは、あまり口外できない事情があるからである。
一ノ契は異変を察し、一旦様子見するよう鎖暝に勧めた。しかし、当主が「『悪瘴』に囲まれたことも、天が与えた好機に違いない。これを機に買い占めて値上がりを待てばいい」と笑っていたのを聞いた鎖暝は、すでに心を決めていた。その夜、彼女は屋敷へ忍び込み、少女を連れ出して、その口から真実を知った。
少女には物を模造する異能があった。一族はその力によって莫大な富を蓄え、そのために少女を生涯、屋敷の奥へ閉じ込めていた。珍品が運び込まれるたび、少女は一つずつ模造するよう命じられた。「悪瘴」によって町が封鎖されてからは、少女はますます尽きることのない富を生み出す宝の泉と化していた。長きにわたる監禁と、休む間もない共鳴エナジーの搾取によって、彼女の心はとうに枯れ果てていた。
鎖暝は少女に告げた。
「其方をここから連れ出すことはできる。だが、自由以外に、妾から与えられるものは何もない」
少女は迷うことなく、その手を取った。
後に、四ノ契が鎖暝の髪を梳かすたび、鎖暝はよく嘆いた。
「もしあの時、其方を屋敷から連れ出すだけにしておればよかった。このようなことにまで巻き込むべきではなかったのう」
しかし四ノ契はいつも首を横に振り、鎖暝の赤い髪を結いながら、新たに綴った詩を静かに詠み、自らの感謝を伝えるのだった。
傘を持つ
「『千鈞機』を作れと言われたあの日から、いったい何年が過ぎたかのう?お主はあの時の約束を果たし、城外の人々を華亭へ連れ戻した。罪深きあの主簿も葬った。城外の人々が押し入った後も、華亭は混乱に陥ることなく、それどころか、次第に新たな風が吹き始めた。これもすべて、お主と、お主についてきた者たちが勝ち取ったものじゃ」
「今の華亭では、お主の言葉なら何でも信じ、お主の力をも信頼しておる。まるで、お主がひと声上げれば、皆がお主に従って城外へ出て、『悪瘴』を一掃できるかのような勢いじゃ」
「だが、城内の者たちは本当の『悪瘴』を知らぬ。黒い雨が大地を覆い、草木が枯れ果て、最愛の者が蝕まれて見る影もなくなる……そんな光景を見たことがない。だが、お主も儂も、それを見てきた。あの時、お主に頼まれて『千鈞機』を作ったのも、ただ城外の人々を故郷へ連れ戻したかったからじゃ。『悪瘴』を祓い尽くすことなど……儂は一度も信じておらん。だから、もう儂を説得するのはよせ。儂はもう、このために力を尽くすつもりはない。お主も……もう、これ以上そこに執着するのはやめたほうがよい」
鎖暝は、目の前に置かれた透明な華亭産の白茶を見つめた。湯呑みの底では、天工 部の紋章がゆらりと揺れている。
「今の華亭があるのは、妾一人の力ではない。六ノ契は人の心をよく察し、言葉にも長けておった。彼女が巷を奔走し、町の各勢力の間を取り持ってくれたからこそ、妾は民の信頼を得られたのじゃ。六ノ契がおらねば、華亭の民が妾を信じてくれたとは限らぬ」
「『悪瘴』については……其方の言う通り、冷雨が骨を蝕み、瘴雷が人を喰らう様を、その目で見た医者がおる。だが、彼女は悲しみに溺れたりはしなかった。それどころか、『悪瘴』とは何なのかを研究し、それに抗う術まで見つけてくれた。五ノ契は『悪瘴』の侵蝕を防ぐ顔当てを考案した。あとは職人が形にしてくれればよい。数を揃えさえすれば、四ノ契は性能を損なわぬ顔当てをいくつも模造できる。これでようやく、妾たちは冷雨の中へ踏み込む資格を得たのじゃ。当然、これだけでは足りぬ。妾は其方に、武器を一つ作ってもらいたい……」
老人は息を潜め、鎖暝が口を開くのを待った。
「妾は、アレの力を奪う。戦いの中で『悪瘴』を絶えず削り、たとえ冷雨の一滴、瘴雷の一筋しか奪えずとも、それを武器に封じ込める。奪える周波数に限りはあれど、妾はその力を使いこなし、アレを打ち倒す術を見つけてみせる」
「では……どんな武器が欲しいのだ?迅刀か、長刃か……機巧を仕込むとなれば――」
「傘が一番良いのじゃ」
「傘……?」
老人は窓の外へ目をやった。
「なるほど……降り注ぐ冷雨を前にすれば、華亭のために雨風を遮る一本の傘ほど相応しいものはないのう」
老人は再び鎖暝へ視線を戻した。
「であれば……お主の決めた規則に従えば、儂は何番になる?七ノ契か?」
鎖暝はようやく湯呑みを持ち上げ、滅多に見せない微笑みを浮かべた。
「この席は、ずっと其方のために空けておったのじゃ。二ノ契」
「今の華亭では、お主の言葉なら何でも信じ、お主の力をも信頼しておる。まるで、お主がひと声上げれば、皆がお主に従って城外へ出て、『悪瘴』を一掃できるかのような勢いじゃ」
「だが、城内の者たちは本当の『悪瘴』を知らぬ。黒い雨が大地を覆い、草木が枯れ果て、最愛の者が蝕まれて見る影もなくなる……そんな光景を見たことがない。だが、お主も儂も、それを見てきた。あの時、お主に頼まれて『千鈞機』を作ったのも、ただ城外の人々を故郷へ連れ戻したかったからじゃ。『悪瘴』を祓い尽くすことなど……儂は一度も信じておらん。だから、もう儂を説得するのはよせ。儂はもう、このために力を尽くすつもりはない。お主も……もう、これ以上そこに執着するのはやめたほうがよい」
鎖暝は、目の前に置かれた透明な華亭産の白茶を見つめた。湯呑みの底では、
「今の華亭があるのは、妾一人の力ではない。六ノ契は人の心をよく察し、言葉にも長けておった。彼女が巷を奔走し、町の各勢力の間を取り持ってくれたからこそ、妾は民の信頼を得られたのじゃ。六ノ契がおらねば、華亭の民が妾を信じてくれたとは限らぬ」
「『悪瘴』については……其方の言う通り、冷雨が骨を蝕み、瘴雷が人を喰らう様を、その目で見た医者がおる。だが、彼女は悲しみに溺れたりはしなかった。それどころか、『悪瘴』とは何なのかを研究し、それに抗う術まで見つけてくれた。五ノ契は『悪瘴』の侵蝕を防ぐ顔当てを考案した。あとは職人が形にしてくれればよい。数を揃えさえすれば、四ノ契は性能を損なわぬ顔当てをいくつも模造できる。これでようやく、妾たちは冷雨の中へ踏み込む資格を得たのじゃ。当然、これだけでは足りぬ。妾は其方に、武器を一つ作ってもらいたい……」
老人は息を潜め、鎖暝が口を開くのを待った。
「妾は、アレの力を奪う。戦いの中で『悪瘴』を絶えず削り、たとえ冷雨の一滴、瘴雷の一筋しか奪えずとも、それを武器に封じ込める。奪える周波数に限りはあれど、妾はその力を使いこなし、アレを打ち倒す術を見つけてみせる」
「では……どんな武器が欲しいのだ?迅刀か、長刃か……機巧を仕込むとなれば――」
「傘が一番良いのじゃ」
「傘……?」
老人は窓の外へ目をやった。
「なるほど……降り注ぐ冷雨を前にすれば、華亭のために雨風を遮る一本の傘ほど相応しいものはないのう」
老人は再び鎖暝へ視線を戻した。
「であれば……お主の決めた規則に従えば、儂は何番になる?七ノ契か?」
鎖暝はようやく湯呑みを持ち上げ、滅多に見せない微笑みを浮かべた。
「この席は、ずっと其方のために空けておったのじゃ。二ノ契」
策を決める
八ノ契が禁鎖の十契に加わってからしばらくして、ついに玄朱錠が完成した。鎖暝はこれを使って禁鎖の十契の共鳴能力を借り、「悪瘴」に立ち向かおうとした。しかし、これまで一度も試したことのない方法だったため、平静を装ってはいても、心の内にはいくらかのためらいがあった。誰から力を借りるべきか決めかねていたその時、七ノ契が自ら名乗りを上げた。軍策府 の一員として、まず自分が先陣を切るべきだというのだ。
かつて鎖暝が華亭の主簿を討ち取ったことで、軍策府もようやくその束縛から解き放たれた。それ以来、軍策府の者たちは本来の務めを果たしながら、鎖暝に協力することを惜しまなかった。ただ一人、七ノ契だけは頑として首を縦に振らなかった。たとえ主簿が罪深い人間であったとしても、正当な華亭の統治者であることに変わりはない。鎖暝は所詮一介の民にすぎず、それに取って代わるべきではない――彼はそう固く信じていた。そのため、あの頃の彼は何かにつけて鎖暝と対立していた。そんな七ノ契も、鎖暝に華亭の外へ連れられ、村が冷雨に呑まれていく光景を目にしたことで変わった。崩れた家々の前に長く佇み、やがて目を赤くした彼は、鎖暝に尋ねた。
「華亭を……二度と、こんな目に遭わせないことはできるのか?」
答えは、言葉にするまでもなかった。
それ以来、七ノ契は相変わらず何事にも規律を重んじ、責任があれば自ら引き受ける男であり続けた。そして、鎖暝が今どのような立場にあろうとも、彼女もまた華亭の民の一人であることに変わりはない、自分は皆を守るために力を尽くすのだと、いつも口にしていた。鎖暝がそんな彼の申し出を断るはずもない。すぐさま七ノ契の周波数の一部を錠へ封じ込めると、次の瞬間、彼女の掌に淡い霧がゆっくりと集まり始めた。弱々しくはあるものの、それは紛れもなく七ノ契の異能だった。そして同時に、傍らに置かれていた鎖暝の傘が突然震え出した。轟音とともに、傘から赤黒い雷が迸り、庭の塀を轟然と打ち砕く。
一同が驚きに息を呑む中、八ノ契は崩れた塀の前まで歩み寄った。瓦礫の間でなおも弾ける瘴雷をしばらく見つめた後、口を開く。
「あなたは以前……二つの力を同時に操ったことがありましたか?」
鎖暝は首を横に振った。
「あなたは常に精神の一部を割いて、傘に封じた『悪瘴』を抑えているんですね。そこへ七ノ契の力を借りたことで、このような変化が起きたのかもしれません」
八ノ契を鎖暝に紹介したのは七ノ契だった。鎖暝は、初めて彼女と会った時のことを今でも覚えている。
八ノ契は単刀直入に、これまで鎖暝が「悪瘴」と交戦してきた一部始終を、最初から最後まで詳しく聞かせてほしいと頼んだ。話は丸一日に及び、夕暮れが迫る頃になって、ようやく二人は部屋を出た。鎖暝は皆に告げた。「悪瘴」を打ち倒す策は、すでに整っている。八ノ契の計画では、誰か一人が鎖暝とともに「悪瘴」を包む黒雲の中へ飛び込み、鎖暝が「悪瘴」を牽制している隙に、八ノ契の共鳴能力を込めた短刀をその身に突き刺す。そうして黒雲の庇護から引きずり出し、皆の前で決戦に持ち込むのだ。
しかし、禁鎖の十契はそれぞれが担うべき役目を持っている。誰もこの任を引き受けることはできない。ならばもう一人、最後の一人を……
かつて鎖暝が華亭の主簿を討ち取ったことで、軍策府もようやくその束縛から解き放たれた。それ以来、軍策府の者たちは本来の務めを果たしながら、鎖暝に協力することを惜しまなかった。ただ一人、七ノ契だけは頑として首を縦に振らなかった。たとえ主簿が罪深い人間であったとしても、正当な華亭の統治者であることに変わりはない。鎖暝は所詮一介の民にすぎず、それに取って代わるべきではない――彼はそう固く信じていた。そのため、あの頃の彼は何かにつけて鎖暝と対立していた。そんな七ノ契も、鎖暝に華亭の外へ連れられ、村が冷雨に呑まれていく光景を目にしたことで変わった。崩れた家々の前に長く佇み、やがて目を赤くした彼は、鎖暝に尋ねた。
「華亭を……二度と、こんな目に遭わせないことはできるのか?」
答えは、言葉にするまでもなかった。
それ以来、七ノ契は相変わらず何事にも規律を重んじ、責任があれば自ら引き受ける男であり続けた。そして、鎖暝が今どのような立場にあろうとも、彼女もまた華亭の民の一人であることに変わりはない、自分は皆を守るために力を尽くすのだと、いつも口にしていた。鎖暝がそんな彼の申し出を断るはずもない。すぐさま七ノ契の周波数の一部を錠へ封じ込めると、次の瞬間、彼女の掌に淡い霧がゆっくりと集まり始めた。弱々しくはあるものの、それは紛れもなく七ノ契の異能だった。そして同時に、傍らに置かれていた鎖暝の傘が突然震え出した。轟音とともに、傘から赤黒い雷が迸り、庭の塀を轟然と打ち砕く。
一同が驚きに息を呑む中、八ノ契は崩れた塀の前まで歩み寄った。瓦礫の間でなおも弾ける瘴雷をしばらく見つめた後、口を開く。
「あなたは以前……二つの力を同時に操ったことがありましたか?」
鎖暝は首を横に振った。
「あなたは常に精神の一部を割いて、傘に封じた『悪瘴』を抑えているんですね。そこへ七ノ契の力を借りたことで、このような変化が起きたのかもしれません」
八ノ契を鎖暝に紹介したのは七ノ契だった。鎖暝は、初めて彼女と会った時のことを今でも覚えている。
八ノ契は単刀直入に、これまで鎖暝が「悪瘴」と交戦してきた一部始終を、最初から最後まで詳しく聞かせてほしいと頼んだ。話は丸一日に及び、夕暮れが迫る頃になって、ようやく二人は部屋を出た。鎖暝は皆に告げた。「悪瘴」を打ち倒す策は、すでに整っている。八ノ契の計画では、誰か一人が鎖暝とともに「悪瘴」を包む黒雲の中へ飛び込み、鎖暝が「悪瘴」を牽制している隙に、八ノ契の共鳴能力を込めた短刀をその身に突き刺す。そうして黒雲の庇護から引きずり出し、皆の前で決戦に持ち込むのだ。
しかし、禁鎖の十契はそれぞれが担うべき役目を持っている。誰もこの任を引き受けることはできない。ならばもう一人、最後の一人を……
心を寄せる
「これが、妾と八ノ契が出会った経緯じゃ」鎖暝はふっと息を吐き、力を抜いて椅子の背にもたれた。「最後の九ノ契については……」
少し間を置いてから、彼女は口を開いた。
「あの子との出会いは、いたって普通じゃった。あの日、妾が一人で街を歩いておると、宙に浮かぶ……餅が目に入ったのじゃ」
その言葉に、「歳主 」は小さく頷いた。鎖暝には、笑っているようにも見えた。「あの子は腹を空かせておったのじゃろう。姿を消せるのをいいことに、街で盗み食いをしておった。そこで妾は道端に立ち、あの子が横を通り過ぎる時に足を引っかけてやったのじゃ。それで地面に転び、姿を現した。妾に何か文句を言おうとしたようじゃったが……結局口を開かなかったのじゃ」
「あの子をびっくりさせてしまったのね」
「そうじゃな」鎖暝は小さく頷いた。「その子を九ノ契にすると決めていたからのう。あの時の妾は、さぞ恐ろしい顔をしておったんじゃろう。『悪瘴』に近づき、致命の一撃を与えてもらう。そして……彼女は『悪瘴』に見つかり、命を落とす」
「全部、あの子に伝えたのね」
「ああ」鎖暝は傍らの玄朱錠に手を伸ばし、その表面をそっと撫でた。「じゃが、それでも九は、いつも妾の後ろについてきて、『鎖暝お姉ちゃん』と呼ぶのじゃ。妾が何を言おうとも、いつも頷いてくれる。髪だって、妾と同じように結いたがる。ほんの数日で、もう妾を怖がらなくなっておった。妾がどれほど言い聞かせても、何を言っても、あの子はただ笑うだけじゃった……何も恐れんかった」
鎖暝の声は次第に小さくなり、やがて沈黙へと変わった。最後に、かすかなため息だけが漏れる。「歳主」には分かっていた。鎖暝に慰めの言葉など必要ない。むしろ、この悲しみさえも、彼女は胸の奥に刻みつけておきたいのだろうと。ならば「歳主」として、すべきことはただ一つ。言葉を重ねるのではなく、鎖暝に進むべき道を示すことだった。
「鎖暝。華亭のためにしてくれたことには、感謝しているわ。でも、私にはもう、あげられる褒賞は何もない。それどころか……これからも引き続き、夢州 のために戦ってほしい」
「それで十分じゃ」鎖暝は顔を上げた。その顔からは、先ほどまでの悲しみが消えていた。「ならば教えてくれ。妾に何をしてほしい?どうすれば、『悪瘴』を二度と夢州に現れぬようにできる?」
「……ええ。玄朱錠を取り出してちょうだい。最後の頼みを、あなたに伝えるわ」
少し間を置いてから、彼女は口を開いた。
「あの子との出会いは、いたって普通じゃった。あの日、妾が一人で街を歩いておると、宙に浮かぶ……餅が目に入ったのじゃ」
その言葉に、「
「あの子をびっくりさせてしまったのね」
「そうじゃな」鎖暝は小さく頷いた。「その子を九ノ契にすると決めていたからのう。あの時の妾は、さぞ恐ろしい顔をしておったんじゃろう。『悪瘴』に近づき、致命の一撃を与えてもらう。そして……彼女は『悪瘴』に見つかり、命を落とす」
「全部、あの子に伝えたのね」
「ああ」鎖暝は傍らの玄朱錠に手を伸ばし、その表面をそっと撫でた。「じゃが、それでも九は、いつも妾の後ろについてきて、『鎖暝お姉ちゃん』と呼ぶのじゃ。妾が何を言おうとも、いつも頷いてくれる。髪だって、妾と同じように結いたがる。ほんの数日で、もう妾を怖がらなくなっておった。妾がどれほど言い聞かせても、何を言っても、あの子はただ笑うだけじゃった……何も恐れんかった」
鎖暝の声は次第に小さくなり、やがて沈黙へと変わった。最後に、かすかなため息だけが漏れる。「歳主」には分かっていた。鎖暝に慰めの言葉など必要ない。むしろ、この悲しみさえも、彼女は胸の奥に刻みつけておきたいのだろうと。ならば「歳主」として、すべきことはただ一つ。言葉を重ねるのではなく、鎖暝に進むべき道を示すことだった。
「鎖暝。華亭のためにしてくれたことには、感謝しているわ。でも、私にはもう、あげられる褒賞は何もない。それどころか……これからも引き続き、
「それで十分じゃ」鎖暝は顔を上げた。その顔からは、先ほどまでの悲しみが消えていた。「ならば教えてくれ。妾に何をしてほしい?どうすれば、『悪瘴』を二度と夢州に現れぬようにできる?」
「……ええ。玄朱錠を取り出してちょうだい。最後の頼みを、あなたに伝えるわ」
鎖暝 のボイスライン
心の声・その一
ここ百年の間、諦天鑑 は心月狐に代わって、歴代の令尹 に歳主 の言葉を伝えておった。夢州 が危険に直面するたび、令尹たちは力を尽くし、夢州を支えてきたのじゃ。そんな令尹たちのことを、妾は敬っておる。今、御者のおかげで、心月狐は大業を成し遂げ帰ってきた。まだまだ悪い存在は残っておるが、夢州の未来を楽しみにせずにはおれぬのう。
心の声・その二
心の声・その三
心月狐の命で、妾は諦天鑑 に入った。蛇菰たちの残党を排除し、諦天鑑の内部を整え、進むべき道を明らかにするために。諦天鑑の類書 で「御者」という文字を読んだ時、妾は思ったのじゃ。「歳主 」を導く存在は、どのような姿をしておるのかと。其方と出会ったことで分かったのじゃが、やはり名の通りじゃったな。
心の声・その四
禁鎖の十契のメンバーたちは、かつて常に執念を抱えておった。誓いのため、家族のため、そして妾のため。妾に惹かれ、従うことにしたと皆は言うが、実のところ……皆が望むものや力を尽くす姿に心を打たれたのは、妾のほうじゃった。おかげで、ずいぶんと背中を押されたのう。御者よ、妾は其方の身からも……似た感覚を感じておる。
心の声・その五
御者よ……あの時、もし御者が妾の立場にあったとしたら、どんな選択をしたのじゃろうか?故郷に危機が訪れるも、頼りは皆無。真正面から立ち向かえば、町は生き残れるやもしれぬ。じゃが、そのせいで友たちは命を落とすことになる……すまぬ、聞かなかったことにしてくれんかのう。妾はただ、この執念を手放すことができぬのじゃ。きっと、御者なら認めてくれると思ってのう。妾は……そんな言葉を、誰かから聞きたかったんじゃ。
好きなこと
涼風の吹きつける午後。雨雲が集まり、小雨が屋根を叩く。そんな時よく妾は、窓辺に座り、雨音を聞きながら、玄朱錠に積もった埃を拭いておる。少しばかり物寂しい光景じゃが……妾には、愛おしいひと時なのじゃ。
悩み
大きな悩みと聞かれると、夢州 の未来と「蛇菰」の行方としか答えが出ぬのう。他の悩みといえば……妾の気のせいやもしれぬが、心月狐が帰ってきてから、夢州で晴れの日が多くなったような気がするくらいじゃ。妾の両目は元々、光に弱い。ゆえに、それが悩みとなっておる。
好きな食べ物
華亭の町は昔、苦境に喘ぎ、物資に乏しかったゆえ、これといった美食はなかったのじゃ。ひとつだけあるとすれば、華亭産の白茶は逸品でのう。諦天鑑 に行っても、妾はその味を恋しく思っておった。飲むたび、妾は皆のことを思い出すのじゃ。懐かしい記憶が……すべて、あの茶の中に溶け込んでいるかのように感じてのう。
嫌いな食べ物
特に嫌いなものはないのう。ただ、以前苦味が得意ではないと漏らしてしまってのう。それ以来、妾の机には様々な甘い物が現れるようになったんじゃが、何でも妾に対する「貢ぎ物」だとか……ふっ、若者たちの戯れじゃな。好きなようにさせておけば良いじゃろう。
夢
ずっと考えておることがあるんじゃ。いつかは華亭に帰り、小屋に住みたい、とな。妾が必要なうちは、もちろん協力は惜しまぬ。じゃが、必要がなくなったら、妾は九契の皆と共に、故郷の町で穏やかな日々を過ごしたいのじゃ。まぁ、それはまだまだ先のことじゃろう。今は、心月狐と夢州 の未来のほうが大事じゃ。
伝えたいこと・その一
「契の主……身が滅んだら、我々の周波数を錠に入れてほしい」……皆は妾の共鳴能力を知っておった。だからこそ、こんな言葉をかけてきたんじゃ。ゆえに頼みを断らず、二ノ契と共に玄朱錠を作った。錠ができた時も、皆はただ囲んで「きれいな錠だ、二の旦那」、「なかなかの腕だ、契の主によく似合ってるな」と、笑い合っておったのう。まるで、この錠はただの飾りで、皆の死後のために用意されたとは思っておらぬような口ぶりじゃった……妾にできることは、あくまで皆の頼みに応えるのみ。
伝えたいこと・その二
妾の過去じゃと?うむ……良かろう。もう長いこと、過去を他人に聞かせてはおらぬのじゃが……そうじゃのう、雨の日にでも話すとしようかの。
心月狐について
華亭が「悪瘴」相手に悲惨な勝利を得てからというもの、妾は「歳主 」を憎んでおった。黒い雨が降り注ぐ時、現れてくれなかったことを。しかし、華亭から歳主の目の前までいざ行ってみたら、憎めなくなってしまったんじゃ。あの時は、夢州 も惨めな状態じゃった。歳主もひどい怪我を負いながら、全力を尽くして敵に抗っておったのじゃ。結局、妾は諦天鑑 の名を受け、歳主や夢州のために、再び力を振るうこととなった。
心について
生まれた年で言えば、心月狐は妾より年下じゃな。加えて妾は、長らく「歳主 」に協力しておったゆえ、心月狐が成長した姿を見ると、やはり嬉しく思うのう。かつて一人で「文明の匣 」を造り直したことも、こうして本当の「歳主」になっておることも含め、心月狐が「歳主」の期待に背いたことは一度たりともなかったのじゃ。
蛇菰について
州監の職位を受け継ぐ頃に、「歳主 」は妾に約束をしたのじゃ。必ずや「悪瘴」の源を見つけ、妾に砕かせてくれる、と。今になって、妾は理解した。その源は、蛇菰が「歳主」に重傷を負わせたことにある。ならば……彼女の結末は、すでに定まっておる。
九ノ契について
九は可哀想な子じゃった。「悪瘴」のせいで、町で盗みをしなければ生きていけぬほどでのう。何よりも運が悪かったのは、姿形を消す能力を生まれ持ち、妾に出会ってしまったことじゃ。妾に出会っておらねば、もっと長生きできたというのに……などといった言葉をこれ以上申すと、また九に怒られてしまうのう。もう一度くらい、あの子に鎖暝お姉ちゃんと呼ばれたいものじゃ。
誕生日祝い
州監として、どう祝福を贈るべきか悩んでおったが、結局こんな答えしか出なかったとはのう……心のこもった言葉を贈る、それが一番じゃろう。
御者よ、誕辰を心から祝おう。夢州 諦天鑑 は、いつまでも御者の後ろ盾で在り続ける。これからの道のりが穏やかなものであり、いつまでも御者が心機妙算であらんことを祈っておるぞ。
御者よ、誕辰を心から祝おう。
余暇・その一
九ノ契:鎖暝お姉ちゃん!
鎖暝:うむ。
九ノ契:うわぁ!
鎖暝:見よ。
鎖暝:む……
鎖暝:うむ。
九ノ契:うわぁ!
鎖暝:見よ。
鎖暝:む……
余暇・その二
台詞なし。
余暇・その三
む?妾を契の主とすら呼べぬとは。ふふっ、冗談じゃ。
自己紹介
禁鎖の十契の契の主にして、夢州 諦天鑑 州監の鎖暝じゃ。夢州を敵に回す輩は、妾に任せると良い。
最初の音
黒雨も瘴雷も消え……残るは、錠に収まりし執念のみ。
チームに編入・その一
戦闘かのう?承った、御者が心機妙算であらんことを。
チームに編入・その二
うむ、始めよ。
チームに編入・その三
九方の故影……準備は整っておる。
突破・その一
久方ぶりの感覚じゃ。また精進できたように感じる。
突破・その二
九方の故影は千変万化。じゃが、鍛錬せずに身につけること叶わぬ……また、あの日々を思い出すとはのう。
突破・その三
妾は三ノ契から剣術を習い、七ノ契から槍術を習った。そして今は、其方から新たな訓練を受けておる。
突破・その四
これは……凪いだ水面のように心が安らかじゃのう。御者、妾は一瞬、あの重たい執念から解き放たれたような気がしたんじゃ。ほんの一瞬じゃったがな。
突破・その五
禁鎖の十契が「悪瘴」のせいで命を落としたことは分かっておる。しかし、妾は己を責めずにはおれぬのじゃ。妾が弱かったばかりに、あのような結末になってしまったゆえ……これからは、あの二の舞を演じぬことを誓う。
通常攻撃・1
三の砕き。
通常攻撃・2
散撃!
通常攻撃・3
五の斬り。
通常攻撃・4
七の閃光!
通常攻撃・5
六の崩し!
重撃・1
八の回転。
重撃・2
回転斬り!
重撃・3
九方の故影!
重撃・4
九方の――故影!
重撃・5
機巧傘、全解!
空中攻撃
二の墜!
共鳴スキル・1
一の轟き。
共鳴スキル・2
四の削り。
共鳴スキル・3
終わりじゃ……
共鳴スキル・4
雷よ……
共鳴解放・1
雷鳴に従え、悪の雨よ。
共鳴解放・2
歩み寄ろう……黒き雨の中へ。
共鳴解放・3
ふん、九方の故影……開!
変奏スキル・1
妾が自ら!
変奏スキル・2
共に参れ!
変奏スキル・3
玄朱錠、開!
回避
簡単な技じゃな。
パリィ
見えとるぞ!
回避反撃
炸裂せよ!
ダメージ・1
チッ。
ダメージ・2
防げなかったとは……
重傷・1
裾が汚れただけじゃ。
重傷・2
ふぅ……慎重に行かねばのう。
重傷・3
二の舞は演じぬ……
戦闘不能・1
ようやく……会えるんじゃな。
戦闘不能・2
妾たちは、ここまでか……
戦闘不能・3
雨は、止んだのか……
音骸スキル・召喚
妾に従え。
音骸スキル・変身
千変万化。
敵に遭遇
この傘を開く時のようじゃな。
滑空
風と共に舞い落ちる。
スキャン
見えたのう。
ダッシュ
急ぐぞ。
補給獲得・1
悪くない収穫じゃ。
補給獲得・2
九も気に入ってくれるはずじゃ。
補給獲得・3
うむ、必要なものじゃな。