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情報

景燃

景燃 VA

中国語: Qin Qiege
日本語: 河西健吾
韓国語: Lee Kyung Tae
英語: Vincent Lai

景燃 のフォルテ調査報告

共鳴力

幽気訣

共鳴評価報告

「共鳴能力測定報告 RA1169-G」 被験者の音痕は右眼に存在し、通常の感知範囲を超える遊離周波数を知覚できる。共鳴エナジーの出力がしきい値に達すると、現実世界に潜む周波数を強制的に顕現させる空間を形成することが可能。 被験者の左眼から高レベル反響生物の周波数を検出。双方は周波数のアンカーや感知、共有、および指令の送受信を行うことができる。なお、被験者は自身の生命を代償として、一時的に当該反響生物への使役能力を高めることが可能である。検査期間中、拒絶反応は確認されていない。しかし将来的に、「感知異常」や「生命力の消耗の加速」などの症状が発生しない保証はない。そのため、定期的な再検査および追跡観測を推奨する。 被験者のラベル曲線は二峰性の分布を呈しており、検査結果から、自然型共鳴者であると判断される。

オーバークロック診断報告

検査によると、被験者は比較的高い制御力を有するものの、高危険度環境下ではラベル曲線の活躍度が異常に上昇することが確認された。限界状態に対して自ら接近しようとする傾向が認められ、潜在的なオーバークロックリスクあり。 シミュレーションの結果、被験者のオーバークロックはネガティブな感情によって誘発されるものではなく、生死の狭間において持続的に増幅される共鳴フィードバックを得るための行動である可能性が示唆された。スペクトル全体の推移から、被験者は極めて高い自己制御能力を有する一方、リスクおよび死に対する認知閾値が常人とは異なることが確認された。長期間にわたり、高ストレスかつ高危険度の環境に置くことは避けるよう推奨する。また、オーバークロック傾向に変化が生じる可能性があるため、継続的な観測を要する。

景燃 の大切なアイテム&好物

古い玉佩
古い玉佩
この玉佩は、景燃が生まれた年に贈られた品だ。玉そのものは高価なものではなく、細工も決して精巧とは言えない。ただ、その片隅には細い文字で「景燃」と刻まれている。景燃の両親はその玉佩を産着の傍らにそっと置き、生まれたばかりの我が子を見つめて微笑んだ。 「生まれてきてくれてありがとう。この世界に来てくれてありがとう」 二人はこの子に「燃」という名を授けた。その名には、「燃え盛る炎のように、その命の火も末永く絶えることのないように」という願いが込められている。名を成さずとも構わない。どこにいようと、野を焼き払う炎のように、いつまでも力強く燃え続けてほしい。寒い夜に見舞われようと、烈風に吹かれようと、どんな窮地に立たされても、決して頭を垂れない人であってほしい――そんな願いだった。 だが今、その玉佩の中央には、はっきりと一本のひびが走っていた。景燃はそのひびを静かに指先でなぞる。一方、その傍らで身を縮めていた化け猫は落ち着かない様子で、無意識に尻尾をぶんぶんと振り回していた。しばらくしてようやく口を開く。「ひびを一つ入れただけだろ……まさか何年経っても根に持ってるとはな……」
帳簿
帳簿
少し使い古された帳簿である。そこには、月ごとの支出が乱雑な字で記されている。 初三:市場で柄の折れた銅鏡を買った。店主いわく、昔歳主が使っていたものらしいが、そんなわけあるか。ただこの模様が気に入ったから、30シェルコインで買った。損か得かなんて関係ねぇ。 初五:オレはソノラにいるから、しばらくは外へ出られねぇ。人に頼んで師匠の奥方へ金を届けてもらった。2000くらいだったか。ついでに妹弟子への杏の砂糖漬けも入れといた。 初七:スモモを3斤買った。1斤は飲み物にして、1斤は猫のエサにした(受け取ってくれなかったがな)。残りの1斤は自分で食べる。 初九:路地裏の連中と玉賭けをした。60シェルコイン負けちまった。 初十:また40シェルコイン負けた。鬱陶しいぜ。 十二:『尋幽記』を出版した取り分。あんだけ売れたってのに、500だけとはどういうことだ? 十五:店の窓枠を替えた。20シェルコインかかった。あのバカ猫に壊されたせいだ。いつか絶対、やつに払わせてやる。 十八:勝ったぜ! 玉賭けで20シェルコイン儲けた!今日はいい日だ。甘酒を買って祝った。 今月の残高:勘定したくねぇな……心が痛むぜ。
『尋幽記(手稿)』
『尋幽記(手稿)』
『尋幽記』最初の手稿。紙の端は反り返り、すでに黄ばみ始めている。墨の跡もところどころかすれていた。そこには景燃がソノラで見聞きした出来事が綴られている――月が昇ると甲高い歌声が響く空城、地下深くに埋もれ、時を糧とする巨木、戯台を背負ってさすらう顔なしの演者……もちろん、尾ひれを付けた話も少なくない。事実と作り話が入り混じり、ときには作者本人ですら、どこまでが本当なのか見分けるのが面倒になることもある。 最初は街の子どもをあしらうために書いたものだが、多く書くことにつれて、本となってしまった。 師匠は一度この本を鼻で笑ったことがあった。「これっぽっちのことを書いても面白くないわい、自ら行ってみたほうがずっと面白いぞ」と。しかし、ある深夜に、景燃は部屋にまだ灯りがついていることに気付く。あのじじい、自分がすぐそこに来たことにも気付けないほど、手稿に耽っていた。 今、このページはまだ残っているが、それを持つ者はもういない。 昔のこの手稿を改めて目にすると、景燃はたまに思うことがある:あのじじい、今も地下で暇を持て余しているのなら、この物語を繰り返し読んでいるのかな、と。 ただ、こんなふうに思うたび、またすぐ考えるのを止めてしまう。 ――やめておこう、考えたってしょうがねぇからな。

景燃 のストーリー

第1回:つづく
景燃のインスピレーションが枯渇した。墨をたっぷり吸い込んだ筆が紙の真上に懸かり、墨の雫が一滴、パタッと音を立てて紙に落ちた。それでも景燃は一文字も書くことができなかった。
机には手稿がたくさん乱雑に散らかっている。よく見たら、ソノラの奥深くにあるひとけのない古城や、月明かりを追って大移動するブロンズの鳥の群れ、砂に埋もれ、雷雨の日になると決まって鳴り響く古き鐘……などのような文章が書かれている。今までは順調に筆は進めたんだが、この段落になると、思考が詰まったかのように、なかなか筆が乗らない。
景燃は長い間紙を見つめていた、しかし、一面の空白からインスピレーションの欠片も得られなかった。諦めたかのように景燃はため息を一つついた。
「ダメだ」
彼は筆を適当に筆置きに戻すと、後ろに倒れ、大の字になって床に仰向けになった。

夜風が涼しさを運び、窓からそっと吹き込んできた。月明かりが長く床を照らし、外では虫の声が静かに響いている。景燃は腕を枕にして天井を見上げた。何も書けない時、彼はいつもこうして別のことを考えるようにしている。
――例えば、師匠の家に来たばかりの頃のこと。
あの頃、師匠はいつも景燃の襟首をつかみ、「手のかかるガキだ」と叱っていた。他の子どもなら、せいぜい木に登って鳥の巣を漁る程度だが、景燃は祠堂の柱を伝って梁まで登ってしまう。他の子どもたちが日暮れとともに家へ帰る中、景燃は提灯を手に荒れ屋敷へ入っていく。師匠の奥方である煙舒が洗濯物を干すためにほんの少し目を離した隙には、もう姿を消している。銜翎村中を探し回り、ようやく見つかるのは、廃れた井戸の傍らか、朽ち果てた寺の中だった。
ある年の夏、村で奇妙な出来事があった。丘の上にある長年荒れ果てた寺に、夜になるとお化けが現れるらしい。子どもたちは木の下に集まり、いかにも本当らしくその話を語っていた。なんでも、赤い服を着た女が壁の中から現れ、一晩中もの悲しい歌を歌い続けるのだとか……。話が進むにつれ、その内容はますます不気味さを増し、子どもたちは皆、肩をすくめて身を縮めた。景燃だけはますます興味をかき立てられ、その夜、一人で例の寺へ向かった。
翌朝、師匠の妻・煙舒はほうきを片手に景燃を探し回った。そしてようやく見つけたのは、寺の屋根の上でスモモをかじっている景燃だった。景燃は本当に甘いものに目がない。スモモを頬張りながら、満足そうに目を細めていた。

「お化けは?」煙舒は下から大声で叫んだ。
「いなかったぜ」
「じゃあ、一晩中そこで何をしてたの?」
景燃は少し考えてから答えた。
「コウモリを数えてた」
煙舒は危うく、ほうきの柄をへし折るところだった。

この出来事を思い返すと、景燃も思わず笑みをこぼした。
昔から、彼はいつもこんなふうに過ごしてきた。子どもの頃は荒れ屋敷へ、大きくなるとソノラへ足を踏み入れるようになった。人が必死に避けようとする場所ほど、景燃は行ってみたくなる。暇な日なんてありゃしない――そう言って師匠にはいつも叱られ、煙舒もしょっちゅう小言をこぼしていた。しかし、師匠が亡くなってからは、煙舒も以前ほど止めることはなくなった。ただ、どれほど遠くまで旅をしても、銜翎村へ帰るたび、庭にはいつも景燃の帰りを待つ灯りがともっていた。
ここ数年、彼は銅の鐘が幾つも吊るされた古城や、山奥にひっそりと佇む遺跡、そして、すでに忘れ去られた人や物を数多く目にしてきた。ソノラから帰ってくるたび、子どもたちは彼にまとわりつき、不思議な話を聞かせてくれとせがんだ。最初のうちは気長にいくつかの物語を語って聞かせていたが、やがて気づいた。語るべき物語があまりにも多く、とても語り尽くせないことに。そこで彼は、それらを書き残すことにした。
それが、『尋幽記』の誕生だ。
最初は子ども相手に書くつもりだったが、書き進めるうちに本気になり、埃や雑草に埋もれた物語や、誰も知らない喜びと悲しみ、出会いと別れを綴るようになった。ソノラの奥深くにしか存在しない奇怪な光景を、景燃は外の世界へ連れ出し、人の世に残した。
書き残しておいて損はない。いつも自分にまとわりついて離れない子どもたちに読ませ、茶屋で首を長くして待つ読者に読ませ、そして、家でいつも夜更けまでともり続けるあの灯りにも届けられる――昔はいつもどこかへ消えていたあの子が、この数年どこへ行き、どんな不思議なものと出会ってきたのかを、煙舒に知らせることもできるのだから。
そう考えると、景燃は寝返りを打ち、机の上の手稿へもう一度目を向けた。
月明かりに照らされた紙は、うっすらと白く輝いている。第百四十九回は、まだ空白のままだ。……まあ、いい。締め切りに遅れるなんて、今に始まったことじゃねぇし――と、景燃はひとりごちた。

急にその時、庭から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「景ちゃん――!」
景燃はびっくりした。
「灯りがまだついているじゃないの!また寝ないつもり!?」
景燃は床から跳ね起き、速やかに机の前に行きロウソクを吹き消した。灯りが消え、部屋も暗くなってきた。月明かりだけが床を照らした。
彼は窓の外に浮かぶ月を眺め、ふっと笑みを浮かべた。
――書けなくたっていいじゃねぇか。どうせ明日は、まだ長いんだから。
第2回:風雪をこの身に
師匠に拾われたばかりの頃の景燃は、まだ今のような人ではなかった。
あの頃の彼は無口で、師匠に「ご飯だ」と呼ばれても、返事は一言だけ。皆が食べ始めてから、ようやく景燃も箸を動かした。師匠の奥方が料理を取り分けてくれても、俯いたまま椀を持ち上げて受け取るだけで、礼の言葉を口にすることもなかった。夜もいつも部屋の隅で小さく身を縮めて眠り、朝目を覚ますたび、ここもこれまでの居場所と同じように、すぐ消えてしまうのではないかと思っていた。
景燃にも分かっていた。この家の人たちが、自分に真心から接してくれていることくらいは。だが、あまりにも久しぶりに温もりへ触れたせいで、どう振る舞えばいいのか、かえって分からなくなってしまっていた。

あの年、夢州でとても強い雪が降った。
朝ドアを押し開けてみると、庭にある老木は雪で枝が垂れており、すっかり真っ白になっている。念ちゃんは廊下にうずくまって雪玉を作っており、鼻先が寒さで真っ赤になっても平気でいる。家の中で、煙舒はお粥を煮込み、湯気が米の香りを帯びて窓の隙間から漂ってくる。
景燃は家の外に立ち、しばらくその光景を眺めていた。この何気ないひとときが、何年も前の記憶を呼び覚ます。あの日も、今と同じような雪の日だった。父は自分にコートを着せ、母は手を引いてくれた。家族三人で雪を踏みしめながら、山へと登っていく。山神を祀る寺の前には色褪せた赤い布が掛けられ、香炉からは線香の煙が静かに立ち上っていた。供物として供えられた果物はすっかり凍りつき、景燃がこっそり手を伸ばして触れようとすると、母は笑いながらその手を払った。
突然、彼はどうしようもなく両親に会いたくなった。
誰にも気づかれないよう、灯りを手に取り、一人で家を後にした。

しかし、あの寺で景燃を待ち受けていたのは、衆生を庇護する山神などではなかった。
風雪に閉ざされたその寺は、固く門を閉ざしていた。供物台の奥にある石像にはひびが入り、その裂け目から線香の香りが漂っている。あの化け猫は金漆で全身を塗り固め、神像の皮を被って供物台の上に鎮座していたが、その口から語られるものは、真の神託とは程遠いものだった。
蝋燭の炎が揺れ、風雪が吹き荒れる。景燃が化け猫を命灯へ封じ込めた時、彼自身もまた全身を血に染めていた。命灯を杖代わりに体を支えながら寺の門を押し開けると、雪はなおも降り続いている。だが、ここへ来る時に歩いた石段は、跡形もなく消えていた。山を下る道も、今や深い雑草に呑み込まれている。
「目くらましか」
景燃は鼻で笑い、命灯を高く掲げると、一歩、また一歩と雪を踏みしめながら歩き出した。

家に着いた時には、日がすっかり暮れてきた。景燃は誰にも気付かれずに壁を飛び越えて入ろうとしたが、着地する瞬間、隣の窓が開けられた。念ちゃんが枕を抱きながら頭を乗り出し、瞬きをして言った、「兄ちゃん、血が出てるよ」
景燃はドキッとした、「しっ」
「母ちゃん知ってる?」
「知らねぇ、早く戻って寝るんだ!」
念ちゃんは一瞬考えて頭を引っ込めた。次の瞬間、庭中から彼女の元気な叫び声が聞こえていた、「母ちゃん――兄ちゃんが怪我してるよ――!」
景燃がすぐに逃げ出した、しかし逃げられなかった。煙舒はもう廊下から出てきた。

その後、景燃があの夜のことを思い出すたび、もう一度化け猫と喧嘩をしたほうがマシだと彼はいつも思っている。
部屋の中の灯りは眩しいほどに明るい、薬の苦味が塗り薬の匂いを混ぜて景燃を襲う。念ちゃんは瓜子を手に、床几を取って隣で景燃を見ている。煙舒は景燃に薬を塗りながら彼を叱っていた。景燃はただ俯いて聞いているだけだった。薬で怪我が痛んでも、一言も声を出さなかった。
「これでいいわ」煙舒が最後の傷口に包帯を巻いた。そして彼の額を軽く叩いた、「もう二度とこんな無茶をしないように」
景燃は額を撫でる、珍しく口答えしなかった。念ちゃんのほうこそ、目をパタパタしながら、「もう許してあげて、兄ちゃんはもう謝ってるから」と言ってくれた。
「謝ってねぇ」
「謝った!」
「謝ってねぇ」
「謝った」
ちゃんの声は風鈴のように澄んでいて、聞いているうちに景燃は少し頭が痛くなってきた。言い合いを聞き流しているうちに、景燃はふっと笑みをこぼす。部屋の中は灯りに照らされて暖かく、煙舒は包帯や薬瓶を片付けている。念ちゃんはまだ一人で景燃と言い争っているが、当の本人がもう上の空になっていることには気づいていなかった。
景燃は目の前の湯気の立つ椀へ視線を落とした。苦い薬の匂いが湯気とともに鼻をつく。椀を持ち上げ、眉をひそめながら半分ほど飲み干すと、苦さに思わず顔をしかめた。その様子を見た煙舒は振り返り、机の上の果物の砂糖漬けを景燃の前へそっと押しやる。
火の明かりがゆらゆらと揺れ、三人の影を長く床へ映し出していた。家の外では、雪混じりの風が屋根をかすめ、軒先のつららに触れるたび、まるで遠くで誰かが鈴を鳴らしているかのような、かすかな音が響いている。
景燃は砂糖漬けを一つ口に運んだ。甘さが、ゆっくりと口いっぱいに広がっていった。
第3回:帰らぬ夢
15歳のあの年、景燃は正式に尋幽客の一員となった。
彼は多くのソノラに入っていた。あるソノラは、果てしない湖の上を漂っており、数十棟もの楼閣が濃霧に支えられ、水面の上を浮いている。昼は特に何もないように見えるが、夜になると灯りがつく。門を押し開けてみると、中には客でごった返しになっている。しかし、翌日の朝、霧が晴れると、楼閣には埃の積もった机や椅子しか残っていない。夕べまだここにいた客たちはとっくの昔に、水底で眠る骸骨となっている。
あるソノラは山々の地下深くに埋もれている。地底には逆さまに懸かった石城があう。その石城には生きた人間はいないにも関わらず、街の両側には灯ろうがたくさん掛けられている。夜中になると、風もないのに勝手に燃えてしまう。暗い緑色の火の明かりが街に沿って、石城の中央にある祭壇まで続いていく。景燃はそこで3日も滞在したが、最後はやはり自分の両目で出口を見つけた。
ある日、景燃は師匠に聞いてみた、「尋幽客っていったい何を探してるんだ?」
師匠は火のそばにうずくまって、饅頭を焼いている。景燃の問いを聞いたら、振り返ることもなく答えた、「死人を探してるんじゃ」
景燃はまたかと言わんばかりに一瞬白目をむいた。師匠は景燃の心を読めたように笑って言った、「じゃあ聞くぜ、ソノラに一番多くあるものはなんだ?」
「……死人?」
「死人が残したものなんだ」師匠は答えた、「今日賑やかに騒いでる連中も、80年や100年後になったら、いなくなって空城や墓碑、或いは訳の分からない言葉しか何も残せない。しかしな、そんなものも掘り出して見てみなければならんよ、それが分かれば、昔の人たちがどうやって死んだのかが分かる、そしたら今を生きる人の生き方が分かるようになるってわけだ」
師匠は焼きたての饅頭を景燃に投げかけた、「よく覚えておくんだな」

それから何年もの間、彼は埃に埋もれた昔話を数え切れないほど見てきた。例えば、ある昔の国の将軍が、死に際に山奥に残していった遺言や、破けた本に書いてある亡国の夜、ある石碑が主とともに数千里もの帰り道を歩いた話。
やがて彼は、師匠の言っていた言葉の意味を理解できるようになってきた。
死とは、灯りが消えるようなもの。しかし、このまま消え散るには悔しすぎる何かが必ず残る。そんなものは壊れた石碑や本の中に隠れ、空城の古い街に隠れ、風の音を借り、余響を借り、過去の物語を何度も何度も後世の人々に伝え続けている。だから景燃はそんなものを埃から掘り出し、日の光を浴びられる人の世に持ち帰ることにした。

あの数年間、景燃は師匠と行動を共にすることが多かった。
二人の関係は、親子のようでもあり、師弟のようでもあり、ときには敵同士のようでもあった。二人は高値の古い玉を巡って本気でやり合ったこともある。景燃は師匠にナイフの峰で石碑に押さえられていたが、最後は持ち前の弁舌で言い負かした。師匠は「前世の借りを取り立てに来た罰当たりめ」と毒づいた。
景燃は祖師を拝むこともなく、お香を供えることもない。ただ己の流儀を貫いてきた。そのやり方を邪道だと言う者は多いが、誰一人として景燃を本当の窮地へ追い込むことはできなかった。
本人曰く、「祖師様はオレの命を奪うつもりかもしれねぇが、オレはあげるつもりなんざねぇ。どっちが間違ってるか言ってみろよ」
彼はいつも気ままでだらしなく見えるが、どこまで踏み込んでいいのか、どこに危険が潜んでいるのかは、誰よりもよく心得ている。時折、一人で月を見上げ、遠くへ目をやるその眼差しは、まるでもう二度と帰れなかった者たちの数を数えているかのようだった。
師匠と最後に向かったのは、師匠自らが選んだ場所だった。噂では、そこは龍脈が断たれた洞窟で、煞気が天を衝く地だという。景燃は師匠の後を追って奥深くまで進んでいったが、最後のところでソノラが崩れた。崩れ落ちる岩の中、師匠は景燃を裂け目の外へ一掌で突き飛ばし、自らは身を翻して崩れゆく深淵へと落ちていった。
一年後の雨の夜、あの狂ったじじいが景燃の夢に現れた。景燃の顔をしげしげと眺めると、少し笑って言った。
「怪我も病気もなさそうじゃな。なかなかいい暮らしをしてるようじゃ」
景燃が返事をする間もなく、師匠はくるりと背を向け、ひらりと手を振りながら霧の奥へと消えていった。
景燃ははっと目を覚ました。
窓の外では、しとしとと雨が降り続いている。屋根から滴る雨は細い糸のように流れ落ち、部屋の中は静まり返っていた。机の上の灯はとっくに消え、かすかな煙だけが残っている。
夢もまた、あっさりと消え去った。残されたのは、夜に響く雨音だけだった。
第4回:川月を道連れに
午後の街はいつも活気に満ち、さまざまな屋台や露店が軒を連ねている。飴細工を売る老人はゆっくりと飴を煮詰め、金色の飴がスプーンの動きに合わせて美しい糸を描いていく。饅頭屋からは湯気が立ち上り、唐辛子と肉の香りが辺りに漂う。広場には機巧の戯台がいくつも据えられ、人形たちが太鼓のリズムに合わせて軽やかに踊り、そのたびに観衆から大きな拍手と歓声が沸き起こった。
景燃はまず絹屋へ向かい、煙舒のために月白の細布を選んだ。それから、念ちゃんにはひとりでに跳ね回る機巧の玉兎を買った。会計の時、「なかなかいいセンスをしてるね」と店主に褒められたものの、景燃はあまり自信がなかった――師匠の奥方と妹弟子への贈り物を選ぶのは、ソノラへ入るよりも面倒だからだ。前には念ちゃんへ機巧のでんでん太鼓を贈ったこともある。でんでん太鼓には丸い福人形が描かれており、揺らすと頭もつられて揺れ、手に持った「吉祥如意」と書かれた札も開く。景燃はなかなか面白いと思っていたのだが、念ちゃんは腕を組んだまましばらくそれを眺めると、ため息交じりに言った。「兄ちゃん、私もうこれで遊ぶ歳じゃないんだけど……」
結局、そのでんでん太鼓は景燃の手元に残ることになった。彼は残念そうな顔をしながら、灯りの下で長いことそれを回して遊び、「結構面白ぇのになぁ」と首をかしげた。それでも今なお、なぜ気に入ってもらえなかったのか分からずにいる。
そのことを思い出した景燃は、機巧の玉兎も買ってみた。今度こそ気に入ってもらえるはずだと信じて。
町を離れる前に、彼は菓子屋へ立ち寄り、「雪映えの満月」を買った――真っ白な生地を幾重にも重ね、まるで雪でできた満月のように仕立てられた菓子だ。店主に「ご家族へのお土産ですか」と尋ねられたが、景燃は何も答えなかった。ただ包みを手に、川辺へと向かっていった。
今日、仇遠は夢州を発つ。
渡し場には強い風が吹き、川面は金を散りばめたようにきらきらと輝いている。景燃は思い出した。何年も前、師匠は酒が入るたび、仇遠のことを「奇才だ」と口にしていた。あの日からずっと気になっていた人物だ。ようやくこうして顔を合わせることができたというのに、剣を交える機会はなさそうだった。
仇遠も景燃の到来に気付いた様子で、振り向いて軽く頷いた。
景燃は手を振って歩み寄る。そして欄干の隣で止まった。彼は川を見ると、気だるそうに口を開いた、「例の物はちゃんと仕舞い込んだか?」
木禺から得た活字のことを言っていると仇遠は知っている。だから頷いて口を開こうとする。しかし、景燃は手を挙げて止めた、「おっと、ストップだ」
「――アンタら明庭のつまらねぇ話には興味ねぇよ。オレが知るべきことはもう全部知ってるし、知るべきじゃねぇことには興味もねぇ。だから、わざわざ教えてくれなくていい」
風が川面を吹き抜け、黄金色のさざ波を立てた。
「だが今回は、アンタが欲しがってたものを手に入れる手助けをしてやった」景燃は片手を軽く広げ、仇遠へ向かって眉を上げる。「この貸しは、オレがしっかり覚えとくぜ。」
仇遠もわずかに首を傾げたが、その灰色の瞳に動揺は浮かばない。
「何を望んでおるのだ?」
「まだ決めてねぇ」景燃は笑った。「その時が来たら、返してもらうさ」
仇遠はしばらく黙り込んだあと、「いいだろう」とうなずいた。
すると景燃は満足そうに、ずっと持ち歩いていた包みを仇遠へ差し出した。
「別れの餞だ。受け取ってくれ」

風が川面から吹きつけ、二人の裾を揺らした。遠くでは船頭が乗船を急かし始め、渡し場もにわかに活気づく。仇遠は包みをしまい込むと、振り返って船へ向かって歩き出した。数歩進んだところで、ふと足を止める。
「景燃」
「どうした?」
「某の代わりに、師匠へ線香を一本供えてくれ」
景燃は少し呆気に取られた。ややあって、笑いながら答える。
「おうよ」

船がゆっくりと岸を離れていく。川面が船縁を叩き、小さなさざ波を広げる。船は流れに乗り、夕暮れの色と霧に包まれながら、やがて姿を消していった。景燃は岸辺に佇み、その後ろ姿が黄昏の彼方へ溶けていくまで、じっと見送っていた。
夜風が川面をかすめ、岸辺の葦を揺らした。
景燃はふと、何年も前のことを思い出した。師匠が庭に腰を下ろし、落花生を剥きながら、剣に長けた一人の青年について語っていた日のことだ。話の途中で、師匠は笑いながら景燃の肩を叩き、「お前も悪くはない。もう少し大きくなったら、重州へ連れて行って、あいつと手合わせさせてやる」と言ってくれた。あの頃の景燃には、遥か彼方にある重州の姿など想像もつかなかった。ただ師匠に言われるまま顔を上げ、夢州の空を見上げた。夕暮れの色が山の向こうからゆっくりと広がり、鳥はさらに遠い空へと飛び去っていく。
景燃は小さく笑みをこぼすと、踵を返して帰路についた。
その頃には、夕日はすでに山の向こうへ沈み、空には糸のように細い金色だけが残っていた。街の両側では灯籠に火がともり始め、あたたかな灯が石畳に沿ってどこまでも続いている。その灯りをたどっていけば、家へ帰れる。
本に記されていないこと
昼の茶屋はいつも賑やかだ。店内には十数卓の机が並び、店員たちは銅製の急須を手に、机から机へと忙しなく行き交っている。茶の香りと酒の匂いが、人々の笑い声に溶け合いながら漂っていた。二階の窓際には、一人の少年が腰を下ろし、片手で頬杖をつき、もう片方の手でゆっくりと落花生をつまんでいる。階下では講談師が身振り手振りを交えながら物語を語り、その声が茶屋中に響き渡っていた。
「コクタンの古船が霧を突き破ると、船首に掲げられた三百もの灯が姿を現した。その灯が千年の古き海を明るく照らし出す。船には大勢の人が乗っていたが、その顔色は皆青白く、生きた人間には見えない。その船へ乗り込み、よく目を凝らしてみると……」
拍子木が鳴り響くと同時に、茶屋は一瞬にして静まり返った。誰もが息をひそめ、固唾をのんで続きを待つ。――ところが講談師は、おもむろに湯呑みを持ち上げ、一口お茶をすすった。
「さて、その先はいかなる展開となるのか――続きは次回のお楽しみ!」
一瞬の静寂のあと、茶屋中から一斉に不満の声が上がった。講談師は困ったように肩をすくめて説明する。「皆さん、私が話を止めているわけではありません。実は『尋幽記』の最新話が、ちょうどここで止まっているのですよ……」
その言葉を聞いた途端、文句の声はさらに大きくなった。
「また肝心なところで終わってるじゃないか!」
「締め切りを過ぎてもう半月だぞ!」
「半月ならまだマシだ!」隣の机を叩きながら叫ぶ者までいた。「前の『提灯下げの化け猫』なんて、丸三か月も音沙汰なしだったんだぞ!」
景燃は口に含んでいた落花生で危うくむせるところだった。何食わぬ顔で窓の外へ視線を向け、この騒ぎとは無関係を装う。――だが、その時ちょうど向かいの椅子が引かれた。
「当の本人が、こんなところにいたとはな」
向かいに座ったのは、青い衣をまとい、分厚い原稿の束を抱えた男だった。『尋幽記』の校閲と印刷を担当する守詞である。景燃は顔を上げて相手を認めると、にやりと笑った。
「ちょうどいいところに来たな」そう言って手招きし、
「今日はオレのおごりだ」
「理由もなく奢ってくれるなんて、何か企んでるんだろう?」
守詞は抱えていた原稿をパタンと机に置いた。
「第2巻の進捗は?」
それを聞いた景燃の微笑みは少し消えた。骨がなくなったかのように机に突っ伏し、顎を腕に置きながら気だるげに言った、「インスピレーションが湧かねぇんだ――」
「抜かせ」
「本当だって」景燃はため息をついた、「毎日ソノラの廃墟ばかり書いたら、飽き飽きでしょうがねぇんだよ」
守詞が眉を上げた、「だから?」
「だから主役を変えてみようと思ったのさ」
今度は守詞が呆気に取られる番だ。それで景燃は指で数えながら説明した、「第1巻もそろそろ終わりだろう?ちょうど新鮮な物語に変えてみる頃合いだ。毎回オレが提灯を下げて歩き回るのもつまらねぇだろう?」
「お前の本の主役になれる人物っているのか?」
景燃は少し考えた、「きっと……底の知れねぇ人だな」
彼は顎を支えながら、窓の外へ目をやった。
「こんな人を見たことねぇか?穏やかで自制的だが、それでいて頼りになるし、他人がまだ損得を勘定してる時に、あの人はもう自分の行くべき先が分かった。人が他人のために選択を急いでいる時、あの人はいつも選択する自由を相手に残してやってる」
守詞は聞いていてますます理解できなくなってきた、「そんな人いるはずないだろう?寺にでも供えられてる神像くらいだぞ」

景燃は反論しようとするその瞬間、外に目を引かれた。
正午の街は賑やかだ、行き交う人々でごった返しになっている。日の光は緑色の瓦に沿って流れ、街に暖かな金色を敷いた。人混みの中、懐かしい姿が街の入り口から歩いてきた。景燃は一瞬驚いたら、すぐに笑いながら大声で叫んだ――「{PlayerName}!」
まったく人をはばかることのない叫び声だった。その声は街を超え、あの人の耳に届いた。すると、あの人は歩みを止め、声の出所を探し始める。ちょうど、日の光があの金色の瞳に差し込んだ、目を奪うほどの明るさだった。
景燃は手を窓の外に伸ばして振っていた。そして振り向いて守詞に得意げに笑った言った、「見たか?生きた人間だぜ」
守詞は言葉も出ない、「……」
景燃の叫び声は、茶屋にいた客たちの注意も引いた。何人かが二階へ目を向け、目を細めてその姿を確かめる。
突然、誰かがバンッと机を叩いた。「ちょっと待て――あそこにいるの……『提灯下げの化け猫』本人じゃないか?」
茶屋は一瞬、しんと静まり返った。次の瞬間、何十もの視線が一斉に景燃へ突き刺さる。
「……」景燃は何も言わず、静かに箸を置いた。
「提灯下げの化け猫さん!? 本物が現れた!?」
「よし! ようやく本人を捕まえたぞ!」
「コクタンの船の続きはどうなったんだ!?」
「第2巻はいつ出るんですか!?」
机や椅子がぶつかり合う音とともに、茶屋は一気に騒然となった。茶を飲んでいた客たちも次々と立ち上がり、講談師までもが首を伸ばして二階を覗き込む。今にも押し寄せてきそうな人波を見て、景燃は目を閉じ、「やっぱりこうなったか」とでも言いたげな顔をした。
守詞」景燃は机の上にあった『尋幽記』をひょいと抱え上げると、「またな!」と言い残し、その場を飛び出した。
客たちの驚きの声を背に、彼は窓枠へ飛び乗る。二階は通りから三メートル以上の高さがあったが、隣の客が止める間もない速さで、そのまま窓から身を躍らせた。裾が風にはためき、その姿は軒先から飛び立つ鳥のようだった。次の瞬間、彼は街路へ軽やかに着地する。風になびいた衣の裾も、何事もなかったかのように静かに収まった。
「逃げられたぞ!」
誰かの叫び声が響くと、茶屋は再び大きなどよめきに包まれた。茶屋の中からは、入り乱れた足音や叫び声が次々と聞こえてくる。景燃はそんなことなど気にも留めず、服についた埃を軽く払うと、{PlayerName}の前まで歩み寄った。そして一度だけ背後の人混みに目をやり、再び{PlayerName}へ視線を戻して笑う。
「ちょうどいいところに来てくれたな。さぁ、行くか。美味いもんをご馳走してやる」
「――早く逃げねぇと、本当にあいつらに捕まって、次の『尋幽記』を書かされるハメになっちまうからな」

景燃 のボイスライン

心の声・その一
面白れぇ話を聞かせてやるか。前回、匯珍坊に買い物に行った時、『尋幽記』を手に、「提灯下げの化け猫は本当にこんなことをしてたのか」ってあちこちで聞いて回ってたヤツを見かけてな。そんでオレは、「でっち上げだろ、信じちゃいけねぇ」って適当に誤魔化したんだけどよ、信じてくれなくてさ。本をめくりながら、「こんなリアルに書いてあるのに、嘘なわけがない」なんて抜かして、ペラペラと本で読んだ不思議な話を語り出したんだ。すげぇうまく語ってたもんだから、オレもうっかり聞き入っちまってよ……アンタ、何笑ってんだ?アイツは本当に、物語を伝える才能があったぜ。オレが聞き入ったのも本当さ。アンタも気になるなら、ここでオレが語ってやろうか?
心の声・その二
なんで本を書くのかって?まぁ……最初はこんなにたくさんの人に読まれるだなんて思ってもみなかったさ。あの頃はよくソノラに入ってたもんだから、戻るといつも街角でガキどもに待たれて、面白れぇ話を聞かせてくれってうるさくてな。だから適当に、作り話でも話してやったんだ。古い井戸から勝手に水が噴き出してるとか、紙人間が夜中街を歩いてるとか……結局、そういう話をしてたら、毎回毎回オレにくっついて離れなくて、いっそのこと書いてやったのさ。そしたら、いつだって読めるようになるし、ずっとオレに引っ付いてくる必要もなくなるだろ。
心の声・その三
まぁ、オレが語ってる話を一番聞いてるのは、このバカ猫だろうな。聞きたくなくても我慢しろよ。オレの寿命をもらってるんだから、会話くらい付き合ってくれてもいいだろ?もちろん分かってるさ、コイツが少しずつ確実にオレの命を蝕んでることくらい。でも関係ねぇよ。オレはつまらねぇ輪廻なんか、欲しくねぇからな。今を生きて、毎日が輝かしいものであれば充分さ。煌めくか、いっそ魂ごと派手に散るかだな。死んでもなけりゃ、生きてもねぇような「長生き」なんざ、まっぴらごめんだぜ。こんな人生だからこそ、オレは興味をそそられるんだ。
心の声・その四
ここ数年間、オレはずっと一人で生きてきた。何せ、ソノラを行ったり来たりする以上、一人のほうがいいからな。一度踏み入ったら戻れねぇこともあるし、この世に未練がある人には向かねぇ。そんで、オレは一人で琢鈞堂にもぐり込んだ……その時、オレの熱い胸の奥にある想いはひとつだけだった。「血の借りは、必ず血で返してもらう」。それ以外、どうだって良かった。
一人でいることは何も悪くねぇって、オレはずっと思ってる。身軽で、誰かのことを考える必要もねぇ。だけどよ、今回アンタと肩を並べて戦ってみたら、新しい考えが頭ん中に浮かんできてな。これからまたソノラに入るんなら、隣にアンタみてぇなヤツがいてくれたら……きっと面白れぇ仕事になるはずだ、なんてな。
心の声・その五
今までの人生で、たくさんの人に出会って、たくさんの選択を見届けてきた。光を求めてるヤツもいれば、オレみてぇに、最初から闇に紛れることに慣れたヤツもいる。アンタは空から降ってきた救世主だけど、オレは違うからな。オレはとことん「下」に向かって進んでる人間だ。ただ、今回アンタと出会ったことで、オレは今まで考えもしなかったことを考え始めた。まぁ、一応……勉強になったって言えばいいのか。前にも言ったように、この世に家族以外の未練なんてねぇ。だけどアンタに出会ってから、この世にはまだまだ面白れぇもんがあるんだなって思うようになったんだ。
だから――感謝してるぜ。今度再会する時には、地底から新しいもんを持っていってやるよ。
好きなこと
興味?そりゃ、ソノラに行くことだな。この両目のおかげで、ソノラに入ったら普段は見えねぇ周波数も全部見えるぜ。古物とか主なき巻物とかの周波数は、オレを見るなりしゃべりかけてきてよ……もう本当に、頭が痛くなるほどうるせぇんだ。まぁでも、ヤツらの語りから、生きてる人間じゃ一生縁のない怪奇な物語もたまには汲み取れるからな。まんざら、悪くもねぇ気がする。
悩み
悩みか……はぁ、昼夜逆転は悩みのひとつだな。本を書く時は、いつも夜しかインスピレーションが湧かねぇんだ。ソノラにだって、夜になってからのほうが入りやすい。時間が経つにつれて、自ずとこういう生活になっちまったんだ。たまに昼に誰かが会いに来るんだけどよ、机に突っ伏して寝てるところを起こされると、またお化けでも現れたのかって驚いちまってな。まぁ、オレに言わせりゃ、夜が短けぇのが悪いな。
好きな食べ物
強いて言えば……甘いもんだ。師匠の奥方が作った蒸しケーキは、結構うまくてよ。出来立ての湯気が立ってる柔らかいケーキに、千切りにされた砂糖漬けが乗せられてるんだ。一口噛めば、ふんわりとした香りと甘味を感じられて……おっと、話してるうちに食べたくなってきたじゃねぇか……アンタにも食べてもらいてぇな。師匠の奥方がいつも言ってるぞ。いつかはアンタに、ちゃんとご馳走してやりてぇってな。
嫌いな食べ物
……正直オレは、ほとんどの食いもんが得意じゃねぇ。その中でも一番嫌いなのが牛乳だ。あれは飲むたびに腹が痛くなっちまう……酸っぱいものもアウトだな。苦いやつも、もちろんダメだ――薬を飲むわけじゃねぇんだからさ。
木禺が死んだ以上、これで仇を討てたことになる。だからしばらくは、だらだら毎日を過ごすしかねぇな。尋幽客は、死んでも尋幽客だ。これからもこの道を進むさ。暇な時は本でも書いてもいいな。この間、町をぶらついてたら、『尋幽記』の続編はまだなのか、なんて声をしょっちゅう聞いたんだ。いても立ってもいられなくなっちまったぜ……
『尋幽記』ができたら、オレは木禺の裏の事情を引き続き追うつもりだ。玄方城で起きた出来事は、ヤツだけで成せるような業じゃねぇ。ヤツの裏には、いったいどんな勢力が潜んでるのか……オレはヤツらを根こそぎ引っ張り出して……全部、粉々にしてやる。
伝えたいこと・その一
この玉佩は両親のものなんだ。正直、もう二人の顔すらはっきり覚えてねぇ。ガキの頃、オレの誕辰になると、いつも二人に山の寺まで連れてかれて、お祈りをしてたもんだ。あの寺はいつも線香の香りがして、冬なのに日差しが心地良かったな。二人はいかにも敬虔そうに、オレの名前が書かれてる玉佩を奉ってたんだ。今のオレは、とっくに神様も仏様も信じてねぇし、記憶に残ってるのも、おみくじとか願いとかじゃなくて、雪晴れの日差しと二人がオレの手を引いて山道を歩く後ろ姿だけだ。
伝えたいこと・その二
オレの「異相眼」が気になるのか?左の緑の目は本来の色で、右目は共鳴能力が目覚めてから金色になったんだ。最初は見慣れなかったけど、追々気付いてな。この目があれば、遊離してる汚い周波数が見えることに。みんなが言う「陰陽眼」に似てるかもしれねぇ。そういや……アンタの目も金色だな。でも、その金色は他と違うような気がする。アンタは結構、似合ってるぜ。
穂穂について
名を轟かせる「花折りの重明」さんか……彼女はすごく頭が冴えるな。仕事はいつも効率的で、人付き合いもうまくこなす。昭明商会は彼女のリード下で、日々栄えてるらしいぜ。瑝瓏の各州……いや、瑝瓏以外からの珍奇物まで昭明商会で売買されてるらしくて、ちっと気になってな。オレは埋もれた古物なんかも数多く見てきた。どこに散らかってるかも分からねぇものを、一つひとつかき集めて、市場で取引できるヤツが本当にいたなら……そいつは本当に大したモンだって認めざるを得ねぇな。
清宵について
何年も昔、ある女の子が山に入って仙人を探しに行った時、残像に出会っちまったらしい。そんで、その子は慌てて逃げたら、不注意にも崖から落ちてな。でも……その時、どこからともなく現れた飛剣に助けられたって話だ。その女の子ってのが、オレの師匠の奥方さ。はぁ……この物語、ガキの頃に10回以上は聞かされたな。まぁ、オレは一度も信じなかった……あの日までは。あの日、剣に乗って空を飛んでいく人の姿を見かけたんだ。玄方地界に本物の仙人様はいねぇけど、鎮玄司騎は存在してるぜ。
木禺について
ただの道を誤った野郎だな。つまらねぇ執念のために人の命を顧みず、命を遊ぶように扱うクズだ。本当なら、無駄死にしちまった人たちの前に……それと、オレの両親の墓前にアイツを引っ張っていって、頭が割れるまで土下座させるべきだった……本当に残念だぜ、アイツの死はあっけなすぎた。
師匠について
生涯ソノラを行き来してた人が、最後は崩れたソノラと共に終わりを迎えた。ジイさんが生きてたとしても、たぶん、それが尋幽客の帰るべき場所なんだとか頷きながら言うんだろうぜ。実際、ガキの頃からそう言われ続けてきたしな。オレはかつて、珍しい古物の奪い合いでソノラの中で喧嘩したこともあるし、命が危ねぇ時にジイさんに救われたこともある。他の人だったら、これがオレたちの運命なんだって言うだろうけど、オレは運命なんざ信じてねぇからな。ジイさんの道のりは、オレが代わりに最後まで歩いてやる。オレはどこまでも進むぜ、振り返らずにな。
仇遠について
オレと仇遠の師匠は昔の知り合いだ。ガキの頃、ジイさんから仇遠の話をよく聞いたな。「まだ若いのに、剣捌きは常人の域を超えている」なんて具合でよ。それを聞かされたオレは、どうしてもその人と一戦交えたくて、うずうずしてたんだ。けど、師匠は彼について話さなくなったし、オレが何か聞いても叱られるだけだった。玄方城で仇遠に一瞬会った時、師匠が言ってた言葉の意味が分かったような気がした。まるで、長いこと鞘から抜かれてない剣みてぇだったな……いつも、暗闇で微かに唸る剣だ。
化け猫について
団子ちゃんのことか……ははっ。ああ、提灯に閉じ込めてる化け猫のことだ。アイツの呼び名は、全部オレの気持ち次第だからな。前は「匿名」って呼んでた時もあったぜ。ヤツの気に食わねぇ返事は、いい退屈しのぎになるからな。今は大人しくしてるように見えるけど、当時はコイツを提灯に入れるために随分と骨を折らされたもんだ。
誕生日祝い
誕辰おめでとう、{PlayerName}。この日を祝ったことはあんまりねぇんだけど、師匠の奥方と妹弟子は賑やかなのが好きだったから、二人の誕辰になると、いつもオレは頼まれて灯りを付けたり、おやつを買ったり、長寿麺の用意をしたりしてたな……毎年のようにやってたもんだから、そのうち慣れてきて、いつも流れでオレが用意してたんだ。
オレのことは分かってるだろ?神様仏様にお祈りなんてしねぇ性分だからな、人の幸運とか安全を祈る気もねぇ。まぁ、そもそもアンタには必要ねぇか。アンタにできねぇことはねぇからな。
今日は安心して誕辰を過ごしてくれ。面倒事なら、全部オレがやっておくぜ。
余暇・その一
『尋幽記』第146回:蜘蛛の糸が部屋中張り巡らされ、埃は雪のように宙を舞う。1本のロウソクが、机の上でゆらゆら揺れている。窓の外には、幽霊のような緑色の人影が……
余暇・その二
『尋幽記』第148回:地下宮殿の中で、幽霊と腐敗の気配が骨の髄まで染み込んでくる。振り返れば、後ろの人が泥人形の姿に。口元には、いびつな微笑みを帯びていた……
余暇・その三
ん……ラー油がかかって、いい見た目してるじゃねぇか。食いたいのか?……アンタ、遅すぎんだよ。
……チッ、辛いのは食えねぇくせに、何を強がってんだ。さっさと入れ。
自己紹介
尋幽客の景燃だ。陰陽が分かたれることない場所を行き来し、禍福の知れぬ道を踏破してる。あの世へ渡る道を歩んで、常に死地に向かって生きてるんだ。
最初の音
陰鬼を従える身だ、虚妄程度じゃ動じねぇ。
チームに編入・その一
やっとオレの出番か?
チームに編入・その二
命懸けの仕事か?オレに任せとけ。
チームに編入・その三
冥途の門が開かれてるな……望むところだ。
突破・その一
陰の気に纏われ、お化けと常にいるのは確かに面倒に聞こえるかもしれねぇ。だが慣れてきたら、これも悪くねぇって思えてきたんだ。どうせ全部、従えてるしな。
突破・その二
命灯の中で燃えてる火は、オレの命を分けたもんだ。惜しがることはねぇ。オレは命を燃やすことはあっても、惜しみはしねぇからな。
突破・その三
目から……焼けるような熱さを感じた。今までよく見えなかったモノまで、はっきり見えるようになってきたんだ。夜道を歩く時、街角を吹き抜ける風も、壁に潜む影も、地下から聞こえてくる乱雑な音も、全部混ざって聞こえてるせいで、いつもうるさくて仕方ねぇ。でも、一度本物の静けさを味わったら、今度はあえてその音を聞こうとしちまう……困ったもんだぜ。
突破・その四
最近、やけに静かに感じるぜ。やっと風の音やお化けの声……それと、人間の声を聞き分けられるようになった気がするな。前はよく、生きた人間が踏むような道じゃねぇって思ってたし、行く先にほとんど明かりはなかった。あんな日々には、とっくに慣れてるくせにな。でも知らない間に……何かが変わってるような気がするんだ。
突破・その五
オレは天命なんて信じねぇ性分だ。仮に運命が存在したとしても、そりゃ滑稽だぜ。善良で素直ないいヤツなのに、つまらねぇ死を迎えたり、人の死を踏み台に自分だけのうのうと生きてる極悪人のクセして、気持ちよく長生きしてるヤツをたくさん見てきたからな。「人それぞれの運命」なんて言葉で、すべての不公平を正当なモノにできると思ってるのか?そんなの、オレは認めねぇぜ。
もし世の中に決められた道があるとして、オレはその道を違う方向に曲げてやる。オレは運命とやらに逆らって、踏みにじってやる。
通常攻撃・1
砕骨。
通常攻撃・2
凶兆だ。
通常攻撃・3
砕いてやる。
通常攻撃・4
蝕む。
通常攻撃・5
捕まえた。
通常攻撃・6
魂を切り裂く。
重撃・1
跡形もなく消え去れ!
重撃・2
生者の引導は渡さねぇ!
重撃・3
この身を……灯す。
重撃・4
鬼神にも測り難し!
重撃・5
共に、三途の川へ。
重撃・6
避けられるとでも?
空中攻撃・1
生者の道を照らす灯りはねぇ。
空中攻撃・2
この刃で閻魔帳を開く。
空中攻撃・3
鬼神に問うことなかれ。
共鳴スキル・1
幽明、隔たれり。
共鳴スキル・2
千の魂を祓う!
共鳴スキル・3
黄泉に行けども悔いなし。
共鳴スキル・4
天に頼らぬ幽気。
共鳴スキル・5
三途の川を渡る魂よ。
共鳴スキル・6
夜が更けゆく頃に。
共鳴解放・1
鬼神朽ちれば、黄泉来たれり。
共鳴解放・2
三途の川の冷え、即ち摂理。
共鳴解放・3
百鬼帰ると、浮世は塵に。
回避
その程度か?
パリィ
口を噤め。
ダメージ
……面白れぇ。
重傷・1
打たれ強いじゃねぇか……
重傷・2
爽快だぜ……
重傷・3
血くらい出ねぇとな……
戦闘不能・1
三途の川は、静かで冷たいんだな……
戦闘不能・2
黄泉の道か……
戦闘不能・3
生も死も、同じ……
音骸スキル・召喚
百鬼よ、命令を聞け。
音骸スキル・変身
オレの魂とひとつになれ。
敵に遭遇
はっ……そうこなくっちゃな。
滑空
こんくらい高くねぇとな。
スキャン
そこに隠れてるのか。
ダッシュ
もっと速くだ。
補給獲得・1
やっといい感じのものが出たな。
補給獲得・2
悪くねぇな、もらっとこうぜ。
補給獲得・3
珍しく陰の気をあまり感じねぇな。