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流雲無痕の過客
2 Piece Set
治癒量+
4 Piece Set
戦闘開始時、SPを1回復する。
Relic Pieces
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{RUBY_B#かかく}過客{RUBY_E#}の{RUBY_B#げいしゅん}迎春{RUBY_E#}かんざし
HEAD
無名の者は長い眠りから目覚めた。遠くに感じるも馴染みのある緊張感は拭えず、幻痛は鋭利に神経を刺す。過去は鋭い破片となり、自分の名前さえも忘れた。 目的のない流浪の中、彼は雪水を啜って渇きを癒し、野獣を殺して空腹を満たし、枯れ枝を切り落として長い髪を纏めるかんざしにした。 黒い髪は湧き水のように伸び、皮膚の下の筋肉は川の鯉のように引きつり、不思議な力が体の形を絶えず変え、筋骨の断裂と復元の痛みだけがずっと伝わって来る。数えきれないほどの痛みの繰り返しに伴い、支離滅裂だった過去がまとまっていく…水面に映る自分の姿を覗き込むと、惨劇の始末を少しずつ思い出す。 水面に映る顔に慣れてきた時、無名の者は枯れ枝に花芽が付くのを見た。 彼は突然我に返った。不老不死の呪いは根強く、過去の恩讐はまだ死んでいない。彼こそが、この枯れ枝に咲いた新生の花だ。
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{RUBY_B#かかく}過客{RUBY_E#}の{RUBY_B#ゆうりゅうわんこう}游龍腕甲{RUBY_E#}
HAND
対をなす物は互いに感応するという。無名の者は片方の腕甲しか持っていないが、その指先はもう片方の温度を感じ取れる。 彼は眼を閉じ、もう片方の腕甲との微かな繋がりを捉えようとした。その位置、その持ち主を。 すらりとした力強い手はかつてもう片方の腕甲をつけ、長槍を持ち自分と武を競いあった。槍先の光は流星のように天から落ちる。腕甲の持ち主はかつて自分と無言で酒を飲み交わし、月を眺めた。そして一意孤行の末、愛する者を化け物にし、すべての人を果てしない後悔の深淵に突き落としたのも、自分と彼だ。 対を成す物はいずれ、再度巡り合う。その長く響く憎しみは陳酒のように、さぞ冷たく強烈であろう。恩讐がすべて消え去るまで、ゆっくりと飲み干そう。 もう片方の腕甲の持ち主もそう思っているだろうか?彼は知りたくない。
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BODY
無名の者は生ける屍のように、長い流浪の旅をしていた。屍の行く手を阻むのは、サングラスの女と大きな鎧だった。2人の誘いが届く前に、拒絶の刃は既に繰り出された。戦いの後、女は笑顔で彼が断りきれない取引を持ちかけてきた。 こうして無名の者は、再び文明と秩序の中に戻った。 無名の者は仕立屋に連れていかれ、採寸、製版、裁断、縫製を経て体面的な衣服を用意してもらった…伸び放題の髪と身だしなみを整え、彼は昔の姿を取り戻した。ぼうっとしている間、現在と過去が溶け合い混ざる感覚を覚えた。曖昧な古き時間の中で、手製の玉壺を友人に贈ろうとしたが、決心がついたら、その人はもういないことに気付く。 彼は悟る。この身体、命、愛憎…今身に着けている服……すべてがこの世を歩む為の借り物に過ぎないと。 彼はやがてすべてを返済して、最後の息を吐きだすのだ。
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FOOT
無名の者は奴隷の命令に従いながら、知り合ったばかりの仲間とはるか遠くまで旅した。その足は戸惑いと憎しみを引きずり、無数の世界を歩み、生死の間を繰り返し彷徨った。 彼はとっくに物を作る喜びを忘れ、一つの戦場からもう一つの戦場へと足を運ぶだけ。 かつて、彼はその身で無数の極致に至った剣光を味わい、幾度となく繰り返される敗北の中で引き裂かれた。相手はいつも心臓を貫く正確無比な一撃で彼の結末を描く。そして今、様々な傷によって身に刻まれた剣技は彼の道標となり、生死の交錯によって鍛え上げられる。彼は剣を振るい、仲間のために障害を切り裂き、幾度地に伏せても再び立ち上がった。息をも殺す専心な剣舞の中、彼は一度憎しみを忘れた。 奴隷は、彼と彼が憎んだすべてに永遠の終わり、永眠の葬儀を与えると約束した。無名の者は頷き、剣を鞘に納め、次の世界に向かった。 人生が歩みで繋がる道ならば、彼は「終点」にたどりつく前に、憎き人の血だまりを跨げる事を祈る。